住宅宿泊管理業者への委託が必要な民泊では、管理委託契約を届出後に考えることはできません。住宅宿泊事業の届出書には管理業者と管理受託契約に関する情報を記載し、委託する場合の添付書類として管理業者から交付された契約書面の写しを用意するためです。したがって、委託先の調査、登録確認、契約内容の確認、書面受領は届出前に終えます。
この記事は「どの管理会社がおすすめか」ではなく、開業工程のどこで何を確定させるかを扱います。委託範囲や業者の義務そのものは民泊運営代行・管理会社、家主居住型と家主不在型の判定は民泊の家主居住型・家主不在型を参照してください。
最初に委託義務の有無を判定する
観光庁は、一の届出住宅の居室数が五を超える場合、または人を宿泊させる間に不在等となる場合、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者へ委託する必要があると案内しています。日常生活を営むうえで通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在は除かれますが、単に近くに住んでいるという理由だけで委託不要とは判断できません。
自己の生活の本拠と届出住宅が同じ共同住宅内または同じ敷地内でも、距離が著しく離れ、騒音等を認識できないことが明らかな場合などは、管理業務の適切な実施に支障がないとは認められず、委託が必要になると観光庁は説明しています。物理的な住所だけでなく、宿泊中の実際の対応体制を示して届出窓口へ確認します。
委託先は登録を確認してから契約する
委託義務がある場合、契約相手は住宅宿泊管理業者です。商号だけで判断せず、登録情報が現在の契約相手と一致するかを確認します。清掃会社、鍵の受渡し業者、予約サイトなどへ個別の作業を頼んでいることは、法にもとづく管理委託を済ませたことにはなりません。
見積金額だけを先に比べるのではなく、届出住宅の所在地へ対応できる体制、苦情や緊急時の連絡、清掃・衛生、安全確保、外国人宿泊者への案内、名簿、周辺地域への悪影響防止など、法定業務をどのように実施するか確認します。公表された全国一律の委託料相場は確認できないため、相場や最安業者の順位は示しません。
管理業務は一社へまとめて委託する
観光庁は、法にもとづき委託する場合、一の住宅宿泊管理業者へ委託し、複数の者へ分割して委託したり、対象業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行ったりすることは認められないと説明しています。管理業者が業務の一部を再委託することは可能ですが、事業者が法定の管理業務を任意に切り分けて別々の相手と契約する形とは異なります。
この点は、清掃や鍵の受渡しを別会社へ直接頼みたい場合に重要です。法にもとづく管理受託契約の範囲と、その他の業務委託を混ぜず、誰が誰へ再委託するのか、責任と連絡経路を契約前に明確にします。
契約書面で確定させる項目
委託義務の対象は、住宅宿泊事業法第五条から第十条までの業務と、届出住宅の維持保全に関する業務です。観光庁は、維持保全業務の対象範囲を管理受託契約で明確に定める必要があると説明しています。
契約前には、実施期間の始期、届出住宅と対象範囲、連絡と駆けつけの体制、宿泊者への説明、苦情対応、清掃・換気、名簿に関わる実施方法、再委託の有無、事業者へ報告する方法を確認します。ここで挙げた項目は契約書のひな型ではありません。実際の記載事項と契約前説明は、管理業者が交付する書面と法令に沿って確認してください。
管理業者から交付された書面の写しは、届出時の添付書類になります。署名前の案だけで届出準備を完了扱いにせず、締結済みの契約内容と届出書の記載が一致する状態にします。
契約の始期と届出内容を合わせる
観光庁は、委託は管理受託契約で定める実施期間の始期になされたものとみなすと説明しています。締結時の書面内容が、実際に委託を始めるまでに変わる場合、始期までに事業者が都道府県知事等へ変更内容を届け出る必要があります。
契約締結日、管理業務の始期、住宅宿泊事業の届出日、最初に宿泊者を受け入れる日を別々に管理します。署名した日から直ちに管理が始まる契約とは限りません。営業開始時に管理の空白が生じないよう、始期を確認します。
仲介の委託とは別に決める
住宅宿泊管理業者への委託は、届出住宅の管理業務を担わせる契約です。宿泊サービス提供契約の締結を代理・媒介してもらう仲介の委託とは別です。仲介を他人へ委託する場合は、登録を受けた住宅宿泊仲介業者または旅行業者へ委託します。予約サイトを選んだから管理委託も終わった、あるいは管理会社を選んだから予約受付も始められる、という関係ではありません。
自ら予約を受ける場合も、管理委託義務がなくなるわけではありません。管理と仲介を二つの契約線として整理し、それぞれ届出・営業開始に間に合うよう準備します。
契約後に変更する場合
営業開始日、管理範囲、管理業者、運用方法を変えるときは、届出内容への影響を確認します。管理受託契約の書面だけを差し替えて終わらせず、都道府県知事等への変更届が必要か、変更の効力がいつ生じるかを相談します。管理業者を切り替える場合は、旧契約の終了と新契約の始期の間に空白を作りません。
委託要否の判断は個別の運用実態に左右されます。この記事の条件だけで自己判断せず、物件所在地の届出窓口へ確認してください。契約内容について不明点がある場合は、契約前に管理業者から説明を受け、必要に応じて専門家へ相談します。
候補業者へ同じ条件を伝える
複数の住宅宿泊管理業者へ相談する場合は、所在地、住宅の種類、家主不在となる時間帯、客室数、想定する宿泊者対応、清掃や鍵管理の分担を同じ条件で伝えます。条件が違う回答を料金だけで比べると、委託範囲の不足を見落とします。
確認欄には、登録番号、契約当事者、委託する業務、再委託の扱い、緊急時の連絡、報告方法、契約開始日、解約・変更時の対応を置きます。公式の登録情報と契約書の名義が一致するかも確認します。確認できない項目は推測で補わず、質問として残します。
届出内容と契約内容をそろえる
管理委託が必要な場合、届出へ記載する管理業者と、実際に契約する相手・業務範囲がずれないようにします。契約書を先に完成させても、物件や運営方式が変われば委託内容の見直しが必要です。反対に、契約内容が未確定のまま届出情報だけを埋めません。
契約後は、管理業者へ渡した図面、設備情報、宿泊者対応手順、近隣からの連絡経路を一覧化します。契約開始日と予約公開日を合わせ、管理体制が動かない期間に宿泊予約を受けないようにします。
変更時の再確認
契約開始前には、書面を交わすだけでなく、実際の引継ぎが機能するかを確認します。宿泊者から連絡が入った場合の受付先、鍵や入室方法に問題が起きた場合の対応者、近隣から苦情が寄せられた場合の連絡順序を、運営者と管理業者の双方で読み合わせます。担当者名だけでなく、営業時間外の窓口や不在時の代替連絡先も契約書・運用手順と一致しているか確かめてください。
また、管理業者から受け取る報告の項目と保存方法を先に決めておくと、届出内容と実際の運営にずれが生じた際に確認しやすくなります。契約締結日、業務開始日、予約受付開始日、最初の宿泊日を別々に管理し、行政への届出や消防上の確認が終わる前に営業を始めない工程にします。開始直前に契約内容を変えた場合は、変更が届出事項へ影響しないかを所管窓口へ確認することが重要です。
家主の居住状況、管理範囲、客室、連絡体制が変わった場合は、管理委託の要否と届出への影響を改めて確認します。以前の判断を無期限に使い続けず、変更内容と確認先、契約書・届出の修正状況を記録してください。
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