民泊新法/解説

家主居住型と家主不在型の違い|管理業者への委託が必要になる条件

家主居住型と家主不在型を分けるのは「人を宿泊させる間、不在となるか」の一点です。一時的な不在として認められる時間、居室数5超の扱い、隣接する住宅の例外、委託しても事業者に残る手続きを出典つきで整理します。

家主居住型と家主不在型は、住まい方の呼び名のように見えますが、制度の上では手続きの重さを分ける区分です。どちらに当たるかで、住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託する義務が生じるかどうかが変わります。

分かれ目は一点だけです。人を宿泊させる間、届出住宅に不在となるかどうか。観光庁は、家主居住型の場合は住宅宿泊事業者に対して住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を義務付け、家主不在型の場合はその措置(標識の掲示は除く)を住宅宿泊管理業者に委託することを義務付ける、と説明しています。

ただし、この「不在」は日常語より狭く定義されています。買い物に出る程度は不在に当たらない一方、居住していても委託が必要になる場合があります。この記事では、判定の基準、例外、委託したあとに事業者へ残るものを整理します。届出後に続く義務そのものは住宅宿泊事業者とはで扱っています。

委託が義務になるのは2つの場合

観光庁は、住宅宿泊事業者が次のいずれかに該当する場合は、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する必要があるとしています。1つは届出住宅の居室の数が5を超える場合、もう1つは届出住宅に人を宿泊させる間、不在となる場合です。

ここで委託の対象になるのは、法第5条から第10条までの規定による業務と、住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務です。維持保全には、届出住宅に設ける必要がある台所、浴室、便所、洗面設備が正常に機能すること、水道や電気などのライフラインやドア・サッシ等の設備が正常に機能するよう保全することが含まれるとされています。空室時における施錠の確保や、住宅または居室の鍵の管理も維持保全に含まれます。

なお、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者である場合において、自ら住宅宿泊管理業務を行う場合については委託不要とされています。

居室数が5を超える場合と宿泊させる間に不在となる場合、委託不要とされる場合、委託の対象になる業務を並べた確認リスト
どちらか一方に当たれば委託が必要です。居室の数は、居住しているかどうかと関係なく効きます。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」管理業務の委託について(確認日 2026-08-21)

「不在」の意味は日常語より狭い

不在の判定でいちばん誤解されるのが、買い物などで少し出る場合の扱いです。観光庁は、日常生活を営む上で通常行われる行為である生活必需品の購入等については一時的な不在に該当するが、業務等により継続的に長時間不在とするものは一時的な不在には該当しない、としています。

時間の目安も示されています。一時的な不在として認められる時間は届出住宅が所在する地域の事情等を勘案する必要があるため一概に定めることは適当ではないとしたうえで、原則1時間、ただし生活必需品を購入するための最寄り店舗の位置や交通手段の状況等により当該行為が長時間にわたることが想定される場合には2時間程度までの範囲とされています。

判定の主語にも注意が必要です。観光庁は、「不在」とは住宅宿泊事業者が届出住宅を不在にすることをいい、住宅宿泊事業者ではない他者が届出住宅に居たとしても、住宅宿泊事業者自身が不在としている場合は「不在」として取り扱われる、としています。家族や知人に留守を頼んでも、事業者本人が居なければ不在です。

逆の場合もあります。宿泊者が全員外出しており届出住宅にいない場合は、住宅宿泊事業者がその間不在となっても「不在」の扱いとはならないとされています。判定されるのは、宿泊者が滞在している時間帯です。

一時的に不在にする場合であっても、住宅宿泊事業者は宿泊者の安全の確保に努めることが必要とされています。時間内に収まれば何をしてもよい、という趣旨ではありません。

一時的な不在の原則1時間、事情により2時間程度まで、継続的な長時間は該当しないことなどを並べた事例カード
時間は地域の事情を勘案するとされており、示されているのは原則と上限の目安です。境目にあたる場合は窓口へ確認してください。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」管理業務の委託について(確認日 2026-08-21)

居住していても委託が必要になる

もう1つの条件である居室の数は、居住しているかどうかと無関係に効きます。届出住宅の居室の数が5を超える場合は、事業者が常に在宅していても委託が必要です。

この条件は、規模が大きくなるほど自分だけでは管理しきれないという前提に立っています。届出住宅を複数持つ場合や、居室数の多い戸建てを使う場合は、居住の有無より先にこの数を確認してください。

隣に住んでいれば委託しなくてよい場合がある

不在となる場合であっても、委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合として、観光庁は次のいずれをも満たす場合を除外しています。

1つは、住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が同一の建築物もしくは敷地内にあるとき、または隣接しているときです。もう1つは、届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が5以下であるときです。

ただし、前者には条件が付いています。住宅宿泊事業者が当該届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときは除く、とされています。観光庁は、同一の共同住宅内や同一の敷地内にある場合であっても、敷地が広範であるためそれぞれの住戸の距離が著しく離れている場合その他の自己の生活の本拠にいながら届出住宅で発生する騒音等を認識できないことが明らかである場合には、適切な実施に支障が生ずるおそれがないとは認められないため委託する必要がある、としています。

同じ敷地というだけでは足りません。騒音を認識できる距離にあるかが判断の実質です。

委託しなくてよいと認められる条件と、隣接していても委託が必要になる場合を左右に並べた図
同じ敷地というだけでは足りません。騒音等を認識できる距離にあるかが判断の実質です。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」管理業務の委託について(確認日 2026-08-21)

委託するときの決まり

委託が必要になった場合、任せ方にも決まりがあります。観光庁は、法第11条第1項に基づき届出住宅に係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならず、複数の者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことは認められないとしています。

清掃だけ自分で行う、といった分け方はできません。一方で、委託を受けた住宅宿泊管理業者が他の者に住宅宿泊管理業務を一部に限り再委託することは可能とされています。分割できないのは事業者と管理業者の間であって、管理業者から先の話は別です。

手続きの順序もあります。委託しようとする住宅宿泊管理業者に対し、あらかじめ届出書および添付書類の内容を通知する必要があります。通知する内容は、当該委託による届出事項の変更を反映する必要はなく、委託以前の内容を通知することで足りるとされています。通知の方法は電磁的な手段によることもできます。

委託は、管理受託契約で定める住宅宿泊管理業務の実施期間の始期においてなされたものとみなされます。そのため、委託の実施により管理受託契約の締結時の書面の内容が変更となる場合には、その始期までの間に、住宅宿泊事業者は都道府県知事等に対して変更内容を届け出る必要があります。

委託先を一の管理業者に決め、届出書の内容を通知し、契約を結び、始期までに変更を届け出るまでの手順図
分割して委託することも、一部を自ら行うこともできません。委託先から先の再委託は一部に限り可能とされています。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」管理業務の委託について(確認日 2026-08-21)

委託しても事業者に残るもの

委託すればすべてが手を離れるわけではありません。観光庁の説明では、家主不在型で委託が義務付けられる措置から標識の掲示は除かれています。標識は事業者自身が掲げます。

責任の所在にも注意が必要です。法第11条に基づかない委託によって常時届出住宅内にいる住宅宿泊事業者が、清掃等の一部の事実行為を住宅宿泊管理業者ではない専門業者に行わせることは可能とされていますが、この場合は法第5条から第10条までの規定が住宅宿泊事業者に適用されるため、住宅宿泊管理業務における違反等があった場合には委託者の責任になるとされています。なお、この扱いは住宅宿泊管理業者に委託をせずに住宅宿泊管理業務を自ら行う住宅宿泊事業者であって、届出住宅の居室の数の合計が5以下の者に限られます。

型は運用の実態で決まる

家主居住型として届け出れば、その後もずっと居住型として扱われる、というものではありません。観光庁は、法第11条に基づく住宅宿泊管理業者への委託をしている間、住宅宿泊事業者は必ず不在にしなくてはならないということではなく、住宅宿泊事業者が届出住宅にいる間においても「届出住宅に人を宿泊させる間、不在となるとき」の考え方は適用される、としています。

消防の扱いでも同じ考え方が示されています。観光庁は、家主居住型で宿泊室の床面積が50平方メートルを超える場合は旅館、ホテル等と同様の防火対策を講ずる必要があるが、50平方メートル以下の場合は消防法令上、住宅として取り扱われるとしたうえで、その運用実態によっては家主不在型または宿泊室の床面積が50平方メートルを超えるものとなり、住宅として取り扱うことが難しい場合も想定されるとしています。判断は各施設の実態に応じて消防部局が行うため、事前相談が勧められています。

つまり、型は届出のときに一度決めるラベルではなく、日々の運営の実態がどちらに当たるかという問題です。計画の段階で「基本は在宅、たまに外出」と考えているなら、その外出が一時的な不在の範囲に収まるかを先に確かめてください。収まらないなら、最初から委託を前提に収支を組むほうが確実です。

次に読むもの

届出後に続く業務の全体像は住宅宿泊事業者とは、営業日数の数え方は民泊の180日ルールとはで扱っています。そもそもどの制度で営業するかを決めていない場合は民泊に必要な許可とはから読んでください。

一時的な不在として認められる時間や、隣接の判断は、地域の事情を勘案するとされている部分があります。実際の判定は届出先の都道府県知事等が行うため、境目にあたる場合は届け出る前に窓口へ確認してください。

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