民泊開業の流れ/解説

民泊開業で必要な準備とは?開業前チェックリストで確認

民泊開業に必要なものは、物件の条件、添付書類、設備、運営体制、記録と予約受付の仕組みに分かれます。個人と法人で違う書類や、証明書の有効期間など受理されない条件までまとめました。

民泊開業で必要なものは、揃えるものの性質で4つに分かれます。物件の条件届出に添える書類住宅と宿泊者のための設備運営を回す体制です。この4つを混ぜて1本のリストにすると、相手のある確認と自分で買えるものが並んでしまい、着手の順序を誤ります。

特に注意が必要なのが書類です。添付書類には有効期間や記載言語の決まりがあり、条件を外すと受理されません。早く準備しすぎても期限切れになる書類がある、という点は見落とされがちです。

この記事では、この4区分に記録と予約受付の仕組みを加えて開業に必要なものを一覧で整理し、あわせて届出の必要書類だけを取り出した節を置きます。時間の流れとしての全体像は民泊開業の流れ、窓口ごとのやることは民泊開業の手順一覧で扱うため、ここでは揃えるものに絞ります。

1. 物件の条件を確かめる

準備の起点は、その物件で営業できるかどうかです。住宅宿泊事業を実施できる「住宅」は、設備要件と居住要件の両方を満たす必要があります。

設備要件は、台所、浴室、便所、洗面設備の4つが設けられていることです。これらは必ずしも1棟の建物内に設けられている必要はなく、同一の敷地内の建物について一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、複数棟の建物を一の「住宅」として届け出ることが可能とされています。一方で、届出の対象に含まれていない近隣の公衆浴場等で代替することはできません

居住要件は、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者・賃借人・転借人の居住の用に供されている家屋、のいずれかです。随時居住の用に供されている家屋については、所有者等が使用の権限を有しており少なくとも年1回以上は使用している家屋とされ、居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは該当しないと明示されています。

あわせて、賃貸であれば賃貸人・転貸人の承諾、区分所有であれば管理規約の定めと管理組合の意思、所在地の条例による実施期間の制限を確認します。

4つの設備、公衆浴場での代替不可、居住要件、承諾、管理規約、条例の制限を並べた確認リスト
ここが確定するまでは設備や備品の発注を始める理由がありません。いずれも相手のある確認が含まれます。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」対象となる住宅(確認日 2026-08-20)

2. 届出に添える書類を集める

添付書類は、個人と法人で内容が違います。個人の場合は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書、未成年者でその法定代理人が法人である場合はその法定代理人の登記事項証明書、欠格事由に該当しないことを誓約する書面、住宅の登記事項証明書、住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は入居者募集の広告その他それを証する書類、「随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋」に該当する場合はそれを証する書類、住宅の図面、賃借人の場合は賃貸人が承諾したことを証する書類、転借人の場合は賃貸人および転貸人が承諾したことを証する書類、区分所有の建物の場合は規約の写し、規約に定めがない場合は管理組合に禁止する意思がないことを証する書類、委託する場合は管理業者から交付された書面の写しです。

法人の場合はこれに加えて、定款または寄付行為、登記事項証明書、役員が破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書が必要になります。

住宅の図面には、各設備の位置、間取り、入口、階、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分の床面積を示します。面積は3種類を区別して算定します。居室の面積は宿泊者が占有する面積で内寸面積により、宿泊室の面積は宿泊者が就寝するために使用する室の面積で水平投影面積により、宿泊者の使用に供する部分の面積は宿泊室を除いた宿泊者が使用する部分の面積で、こちらも水平投影面積によります。

個人が届け出る場合と法人が届け出る場合で異なる添付書類を左右に並べた比較図
住宅の登記事項証明書、図面、承諾書、規約の写し、委託先から交付された書面の写しは、個人と法人のどちらにも必要です。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」届出の際の添付書類(確認日 2026-08-20)

必要書類を一覧で確認する

届出に必要な書類だけを取り出すと、次の12点(法人はさらに3点)になります。上から順に、入手先が違います。まとめて揃う窓口はないため、相手ごとに動くことになります。

自分で用意するものは、欠格事由に該当しないことを誓約する書面と、住宅の図面です。図面には各設備の位置、間取り、入口、階、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分の床面積を示します。

官公署から取るものは、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書と、住宅の登記事項証明書です。法人の場合は法人の登記事項証明書と、役員についての同様の証明書も必要です。未成年者でその法定代理人が法人である場合は、その法定代理人の登記事項証明書も加わります。これらは届出日前3月以内に発行されたものとされ、写し等は認められません。

相手から受け取るものは、賃借人の場合は賃貸人が承諾したことを証する書類、転借人の場合は賃貸人および転貸人が承諾したことを証する書類、区分所有の建物の場合は規約の写し、規約に住宅宿泊事業を営むことについて定めがない場合は管理組合に禁止する意思がないことを証する書類、委託する場合は管理業者から交付された書面の写しです。ここが最も時間の読めない部分です。

住宅の要件を示すものは、住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は入居者募集の広告その他それを証する書類、「随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋」に該当する場合はそれを証する書類です。どの居住要件で届け出るかによって、必要な書類が変わります。

法人が届け出る場合は、これらに加えて定款または寄付行為が必要です。

書類の記載言語にも決まりがあります。届出書の添付書類は日本語または英語で記載されたものに限られ、英語の場合は日本語による翻訳文を添付する必要があります。特別の事情で日本語または英語で提出できない場合は、その他の言語で記載された書類に日本語による翻訳文を添付することで提出できるとされています。

なお、一の事業者が複数の届出を行う場合、行政庁が既存の届出書等により取得している情報については、行政庁の判断で関係する書類の提出を省略して差し支えないとされています。複数の物件を届け出る予定があるなら、窓口に相談しておくと無駄な取得を減らせます。

3. 書類が無効になる条件を避ける

集めた書類が使えない、という事態は避けられます。条件が公表されているためです。

官公署が証明する書類は、届出日前3月以内に発行されたものとされ、写し等は認められません。発行元から出された書類そのものを提出する必要があります。したがって、証明書の取得は届出の目処が立ってから行います。

記載言語は日本語または英語に限られます。英語の場合は日本語による翻訳文を添付する必要があります。特別の事情で日本語または英語で提出できない場合は、その他の言語で記載された書類に日本語による翻訳文を添付することで提出できるとされています。

登記に関しては例外の扱いも示されています。増築部分が未登記であっても、届出住宅の所有者および不動産番号が確認できる限りにおいて届出は可能です。登記しているにもかかわらず不動産番号が付与されていない場合は、不動産番号の欄に登記事項の表題部欄に記載されている地番と家屋番号を転記することで届出が可能とされています。また、一の事業者が複数の届出を行う場合、行政庁が既存の届出書等により取得している情報については、行政庁の判断で関係する書類の提出を省略して差し支えないとされています。

添付書類として受け付けられる状態と、受け付けられない状態を左右に並べたOK・NGの比較図
左は観光庁が示す受付の条件、右はその条件を外した状態です。居室は内寸面積、宿泊室は水平投影面積で算定します。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」届出の際の添付書類(確認日 2026-08-20)

4. 設備と備品を整える

住宅としての設備要件とは別に、宿泊者を泊めるために求められる措置があります。居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保すること、清掃および換気を行うこと、非常用照明器具を設けること、避難経路を表示すること、火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じることです。

外国人観光旅客である宿泊者に向けては、外国語を用いて届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること、移動のための交通手段に関する情報を提供すること、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすることが求められます。掲示物や案内文は、この段階で用意しておく対象です。

営業開始時には、届出住宅ごとに見やすい場所へ掲げる標識も必要になります。

5. 運営を回す体制を決める

委託の要否は条件で決まります。一の届出住宅の居室の数が5を超える場合、または人を宿泊させる間に不在等となる場合は、住宅宿泊管理業者への委託が必要です。委託する場合は、管理受託契約の内容を届出書に記入するため、委託先は届出より前に決めておく必要があります

宿泊者を集める経路も準備の対象です。仲介を委託するなら、登録を受けた住宅宿泊仲介業者または旅行業者を選びます。事業者が自ら予約を受け付けることも可能です。

記録の仕組みも先に決めておくと後が楽になります。宿泊者名簿は本人確認を行ったうえで作成し、作成の日から三年間保存します。記載事項は宿泊者の氏名、住所、職業および宿泊日で、日本国内に住所を有しない外国人であるときは国籍および旅券番号も記載します。定期報告では前2月分の宿泊日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の内訳を報告するため、宿泊のたびにこれらを残せる形にしておきます。

6. 記録と予約受付の仕組みを用意する

「必要なもの」として見落とされやすいのが、書類でも設備でもない仕組みです。届出後に続く義務は、その場の対応ではなく記録の積み重ねで成り立っています。

まず、届出そのものに使う民泊制度運営システムです。住宅宿泊事業の届出は原則としてこれを利用して行うこととされており、定期報告も同じシステムで行えます。届出の前にアカウントを用意しておく対象になります。

次に、宿泊者名簿を作る手段です。本人確認を行ったうえで作成し、作成の日から三年間保存します。記載するのは宿泊者の氏名、住所、職業および宿泊日で、日本国内に住所を有しない外国人であるときは国籍および旅券番号も記載します。定期報告では前2月分の宿泊日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の内訳を報告するため、名簿から集計できる形にしておくと二度手間になりません。観光庁は、1人が報告月の間の月またぎで宿泊した場合は当該期間の報告月に1人と数え、報告月をまたぐ場合はそれぞれの報告月でそれぞれ1人として報告する、と示しています。

本人確認の方法も、非対面で行うなら機器の用意が必要です。観光庁は、宿泊者所有のスマートフォン等の機器による本人確認について、レンズ等の破損や充電不足など管理の及ばない要因により適切な業務に支障を及ぼすおそれがあるため、適切な代替措置をあらかじめ用意せずに宿泊者所有の機器で行うことは認められないとしています。遠隔で行う場合は自ら必要な機器を必ず用意し、確実に機能維持を行うことが必要とされています。

最後に、予約を受け付ける経路です。登録を受けた住宅宿泊仲介業者または旅行業者に委託する方法と、事業者が自ら受け付ける方法があります。自ら受け付けることも可能とされているため、どちらを使うかは開業前に決めておけば足ります。

準備の順序

相手のある確認(承諾、管理組合、消防)を先に、期限のある書類(官公署の証明書)を後に置きます。設備と備品の購入は、物件で営業できることが確定してからで十分です。

制度の選び方から見直す場合は民泊の始め方、費用の見積もり方は民泊開業費用、必要な設備の詳細は民泊の設備・備品のカテゴリで扱います。

添付書類の様式と運用は自治体によって異なることがあります。準備を始める前に、届出先の都道府県等の窓口で最新の必要書類を確認してください。

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