株式会社AlbaLink(アルバリンク)は2026年9月29日、栃木県那須塩原市と「空き家の流通促進に関する連携協定」を締結したと発表しました。発表は締結日を令和8年9月29日(火)としています。同社は本社を東京都江東区に置き、代表取締役は河田憲二氏です。市側の担当として、那須塩原市役所建設部都市計画課が挙げられています。
空き家を手当てして宿に変える入口は、こうした協定が結ばれるたびに増えて見えます。ただ、那須塩原市の資料を並べて読むと、宿泊に使えるかどうかの結論より先に期限が来るものがあることが分かります。市の改修費の補助は「工事等の契約前」に交付申請を行う必要があるとされ、対象者の要件には定住の意思が置かれています。宿にするつもりで空き家を買う場合、補助を使うかどうかの判断は、契約書に押印する前に済ませる話になります。
そこでこの記事では、発表に書かれている協定の中身を表記のまま並べたうえで、那須塩原市が公表している空き家バンクと補助金の条件を、申請の時期という切り口で確かめます。そのあとで、那須塩原市内の物件を届出住宅にする場合に、届出を受けるのが誰になるのかを栃木県の公表ページで整理します。協定の対象になる物件が宿泊に使えるかどうかは、発表からも市の資料からも判断できません。当サイトも断定しません。物件数や取引金額といった数字も、この発表には含まれていません。
協定に並んでいるのは、流通と利活用と相談です
発表は、協定の主な内容として六つを挙げています。訳ありの不動産と利用者とのマッチングに関すること、空き家等の流通促進に関すること、空き家等の利活用に関すること、空き家等の所有者からの相談対応に関すること、空き家等対策に必要な情報の共有及び発信に関すること、そしてその他前項の目的を達成するために必要な事項に関することです。用途を宿泊に限った項目はありません。
背景として発表が説明しているのは、那須塩原市の状況です。同市は那須連山の雄大な自然や温泉郷をはじめとする豊富な観光資源に恵まれ、首都圏からのアクセスも良好な地域であるとしたうえで、近年ではテレワークの普及に伴い移住・定住相談が増加している一方、人口減少や高齢化の進展に伴い、市内の空き家の増加が深刻な地域課題となっていると述べています。特に、草木が繁茂し周辺環境へ影響を及ぼす物件や、相続放棄等により所有者不明となっている物件の増加が目立ち、従来の空き家バンク等の運用だけでは再流通が進みにくい「困難物件」への対応が大きな課題となっていた、という書き方です。
そのうえで発表は、同社が持つ難易度の高い不動産の買取・再生に関する専門的ノウハウと、全国規模の投資家ネットワークをいかし、那須塩原市と協力して空き家問題の解消と生活環境の保全を推進すると説明しています。空き家所有者への早期の意識啓発を推進するとともに、これまで活用が進まなかった物件に対しても所有者へ幅広い解決策を提示し、積極的な再利用を後押しすることで、地域の再生・活性化に寄与することを目的として締結した、とされています。
観光資源と首都圏からのアクセスが背景に書かれているため、宿泊の話と結び付けて読みたくなるところです。ただ、協定の項目に並んでいるのは流通、利活用、相談、情報共有であり、用途の可否を判定する仕組みではありません。物件情報に載っていない項目をどこで調べるかは民泊の物件の探し方に整理しています。
| 項目 | 発表の記載 |
|---|---|
| 協定名 | 空き家の流通促進に関する連携協定 |
| 当事者 | 株式会社AlbaLink(本社:東京都江東区、代表取締役:河田憲二)/栃木県那須塩原市 |
| 締結日 | 令和8年9月29日(火) |
| 協定の主な内容 | 訳ありの不動産と利用者とのマッチングに関すること |
| 同上 | 空き家等の流通促進に関すること |
| 同上 | 空き家等の利活用に関すること |
| 同上 | 空き家等の所有者からの相談対応に関すること |
| 同上 | 空き家等対策に必要な情報の共有及び発信に関すること |
| 同上 | その他前項の目的を達成するために必要な事項に関すること |
| 市側の担当 | 那須塩原市役所 建設部 都市計画課 |
| 発表が挙げた課題 | 草木が繁茂し周辺環境へ影響を及ぼす物件、相続放棄等により所有者不明となっている物件の増加 |
改修費の補助は、工事の契約前に申請する組み立てです
那須塩原市は、空き家バンク登録建物リフォーム・家財処分費補助金を公表しています。対象になる事業はリフォーム工事と家財処分の二つで、リフォーム工事は安全性、居住性、機能性等の維持・向上のために行う修繕、改修、間取りの変更、補強等の工事、家財処分は空き家に残された家電製品・家具等の撤去又は処分とされています。補助対象経費の総額には下限があり、リフォーム工事は20万円以上、家財処分は5万円以上です。いずれも市内の業者が行うことが原則で、同一住宅又は同一人に対しては各区分につき1回限りの交付と案内されています。
手続きで目を引くのは、申請の時期です。市のページには、必ず「工事等の契約前」に交付申請を行う必要がありますと書かれています。入居者又は入居予定者の場合は、売買又は賃貸借の契約締結日から2年以内で、かつ工事等の契約前に申請する形です。工事が終わったあとにも期限があり、工事完了日から30日経過日、または完了年度の3月25日のいずれか早い日までに書類を提出することとされています。
金額の側も公表されています。リフォーム工事は、子育て世帯が補助対象経費の3分の2で上限100万円、居住誘導区域内では120万円、その他の世帯が2分の1で上限50万円、居住誘導区域内では70万円です。家財処分は2分の1で上限10万円、居住誘導区域内では12万円とされています。居住誘導区域という区分が出てくるため、同じ市内でも物件の位置によって上限が変わります。
宿泊に使うつもりで物件を見ている人にとって、ここは読み飛ばせない箇所です。補助を使う前提で進めるなら、契約前の段階で、その建物を何に使うのかを決めておく必要があります。届出の相談や消防の相談を契約後に始めると、その結果が出るころには申請の入口が閉じていることになります。
| 那須塩原市が公表している内容 | 記載 |
|---|---|
| 補助の対象事業 | リフォーム工事/家財処分 |
| リフォーム工事の内容 | 安全性、居住性、機能性等の維持・向上のために行う修繕、改修、間取りの変更、補強等の工事 |
| 家財処分の内容 | 空き家に残された家電製品・家具等の撤去又は処分 |
| 補助対象経費の下限 | リフォーム工事は20万円以上/家財処分は5万円以上 |
| 施工する業者 | 市内の業者が行うことが原則 |
| 交付の回数 | 同一住宅又は同一人に対し、各区分につき1回限り |
| 申請の時期 | 必ず「工事等の契約前」に交付申請 |
| 入居者・入居予定者の期限 | 売買又は賃貸借の契約締結日から2年以内、かつ工事等の契約前 |
| リフォーム工事の額 | 子育て世帯は3分の2(上限100万円、居住誘導区域内は120万円)/その他世帯は2分の1(上限50万円、居住誘導区域内は70万円) |
| 家財処分の額 | 2分の1(上限10万円、居住誘導区域内は12万円) |
| 実績報告の期限 | 工事完了日から30日経過日、または完了年度の3月25日のいずれか早い日 |
補助の要件に「10年以上定住する意思」が置かれています
対象者の要件も公表されています。入居者又は入居予定者については、空き家バンクの利用登録者であること、空き家バンク登録予定者の3親等以内の親族でないこと、補助金の交付を受けた日から10年以上定住する意思があること、市区町村が賦課する税に滞納がないことが挙げられています。空き家バンク登録予定者の側には、工事等の完了後に速やかに当該空き家を空き家バンクに登録し、10年以上継続して登録すること、市区町村が賦課する税に滞納がないことが挙げられています。
制度の目的も同じ方向を向いています。市は空き家バンク制度を、市内の空き家を有効活用し、市内への定住促進及び地域の活性化を図ることを目的とした制度だと説明しています。空き家の売却又は賃貸を希望する所有者からの申込みを受けて登録し、その情報を利用を希望する人に提供する仕組みです。あわせて、市は売買・賃貸借の媒介(交渉、契約等)は行っておらず、協会に加入している不動産業者が対応すること、協会等が行う契約については宅地建物取引業法で定める媒介手数料がかかることが書かれています。
つまり、市の資料に並んでいる言葉は定住です。宿泊事業のために用意された制度だとは書かれていません。この要件に自分が当てはまるかどうかは、物件の使い方や住まい方によって変わります。当サイトでは可否を判定しません。補助金を検討する場合は、宿泊に使う計画を伝えたうえで、担当する市の窓口に確認してください。制度の目的と自分の計画が合っていないと分かった段階で、補助を使わずに進める判断に切り替えることもできます。
那須塩原市内の届出を受けるのは、市役所ではありません
栃木県は、住宅宿泊事業法が平成30年6月15日に施行されたことを示したうえで、届出の窓口を届出住宅の所在地ごとに案内しています。届出は原則として観光庁所管のシステムである民泊制度ポータルサイト、民泊制度運営システムにより所定の手続きを行うこととされ、当該システムが利用できない等の場合には書類による届出を受け付けると書かれています。
窓口の分かれ方には、他県と違う点があります。栃木県のページは、宇都宮市内の届出についても県の医薬・生活衛生課が窓口だと明記しています。県内に保健所設置市があっても、住宅宿泊事業の届出は県が受ける形になっているという書き方です。その他の地域は、県の健康福祉センターが窓口として並んでいます。県が公表している生活衛生窓口一覧では、那須塩原市を管轄するのは県北健康福祉センターです。同センターは大田原市に置かれています。
那須塩原市内の空き家を届出住宅にする場合、空き家の相談で足を運ぶ先と、届出を出す先が別になります。空き家バンクと補助金を担当しているのは市の建設部都市計画課住宅政策係で、住宅宿泊事業の届出を受けるのは県の健康福祉センターです。市の補助を受けられたことは宿泊に使えることの確認になりませんし、県へ届け出たからといって市の補助の要件を満たすわけでもありません。二つは別々に進みます。どの相談をどこへ持っていくかは民泊の開業を相談する先に整理しました。
なお、年間の提供日数には上限があり、それを超えて宿泊させる場合は旅館業法にもとづく許可という別の入口になります。日数の数え方は年間の提供日数の上限にまとめています。
「草木の繁茂」と「所有者不明」は、確かめる先が違います
発表が課題として挙げた二つの状態は、宿泊に使う側から見ると、手当ての向きが違います。草木が繁茂し周辺環境へ影響を及ぼしている物件は、建物と敷地の状態を直す話です。観光庁は、届出の前に確認する事項として消防法令適合通知書を入手することを挙げ、消防法令適合状況の確認の手続については届出住宅を管轄する消防に相談するよう案内しています。古い建物や長く使われていなかった建物ほど、ここで求められる措置が工事の量に直結します。相談の持って行き方は民泊の開業で消防に相談することにまとめました。
もう一方の、相続放棄等により所有者不明となっている物件は、権利の確認の話になります。観光庁は、賃借人及び転借人の場合は、賃貸人及び転貸人が住宅宿泊事業を目的とした賃借物及び転借物の転貸を承諾しているかどうかを届出の前に確認する事項として挙げています。承諾を得る相手がはっきりしない状態では、この確認そのものが進みません。借りて始める場合の承諾の取り方は民泊にできる賃貸物件で扱っています。
さらに手前の論点として、そもそも住宅宿泊事業法でいう「住宅」に当たるかどうかがあります。観光庁は、設備要件として台所、浴室、便所、洗面設備を挙げ、居住要件として、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋のいずれかに該当する必要があるとしています。長く空いていた建物は、設備が使える状態かどうかから確かめることになります。設備の考え方は民泊に必要な設備に整理しています。居住要件のどれに当てはめるかは物件ごとの事情で変わるため、当サイトでは断定しません。届出先の窓口で確かめてください。
この発表に記載のないこと
空き家を仕入れて宿泊に使うことを考えている人が知りたくなる項目のうち、この発表にも市の公表資料にも書かれていないものを並べます。埋めずにそのまま示します。
| 知りたくなる項目 | 発表・市の資料での扱い |
|---|---|
| 協定の対象になる物件の件数 | 記載がありません |
| 買取や再生の価格帯 | 記載がありません |
| 宿泊事業への利活用を想定しているかどうか | 記載がありません |
| 協定の期間や更新の条件 | 記載がありません |
| 市と同社の費用負担の分け方 | 記載がありません |
| 空き家バンクに登録されていない物件が対象に含まれるか | 記載がありません |
| 補助金を宿泊事業に使えるかどうか | 記載がありません |
| 那須塩原市内の空き家の数 | 記載がありません |
書かれていない項目が多いのは、この発表が協定の締結を知らせるものであり、個別の物件や取引の条件を示すものではないためです。数字が出るとすれば、市の計画にもとづく実績の公表か、同社の後続の発表になります。当サイトも、その資料が公表されるまでは件数や金額を扱いません。
契約の前に置いておきたい順番
このニュースから持ち帰れるのは、期限の並び方です。
空き家から入る場合、判断の材料は三つの場所に分かれて置かれています。物件の流通と改修費の補助は市の建設部都市計画課、宿泊事業の届出は県の健康福祉センター、消防法令適合通知書は届出住宅を管轄する消防です。このうち市の補助だけが、工事等の契約前という時点を締切に持っています。ほかの二つは契約のあとでも進められますが、結果が出るまでに時間がかかります。順番を逆にすると、補助を使う道が先に閉じます。
そのうえで、補助の要件と自分の計画が合うかどうかを早めに確かめておくと迷いが減ります。那須塩原市の補助は、入居者又は入居予定者に10年以上定住する意思を求め、空き家バンク登録予定者には10年以上の継続登録を求めています。宿泊事業として使う計画がこの要件に当てはまるかどうかは、計画の中身によって変わります。市の窓口に計画を伝えて確かめ、合わないと分かれば補助を使わない前提で資金計画を組み直すことになります。
最後に、協定そのものは物件の使い道を保証しません。発表に並んでいるのは流通、利活用、相談、情報共有の枠組みで、宿泊に使えるかどうかは県の窓口と消防の判断です。この記事は公表された発表と公的資料の記載を整理したもので、特定の事業者のサービスを推奨するものではありません。自分の物件で必要な手続きは、届出先である都道府県知事等の窓口に確認してください。
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