民泊の物件選び/解説

民泊物件の探し方|検索から契約前の確認までの進め方

民泊物件を探すときは、物件情報だけでは判定できない項目が多くあります。条例・管理規約・登記・消防をどこで調べるのか、入手先ごとに整理し、契約前に終える確認の順序を解説します。

民泊物件を探すときにつまずくのは、物件情報に載っていない項目で可否が決まることです。間取り、面積、駅からの距離、賃料は募集資料に書かれています。しかし、管理規約に住宅宿泊事業を禁止する定めがあるか、その地域の条例で実施期間が制限されているか、消防用設備の追加が要るかは、どこにも書かれていません。

そのため、物件探しは「良さそうな物件を見つける」作業と、「その物件で営業できるかを調べる」作業の2本立てになります。後者を後回しにすると、気に入った物件が使えないと分かるまでに時間を使い、最悪の場合は契約後に判明します。

この記事では、何をどこで調べられるのかを入手先ごとに整理し、契約前に確認を終えるための順序を示します。物件の良し悪しを判定する条件そのものは民泊物件の選び方、立地の考え方は民泊の立地はどう選ぶで扱っています。

探し始める前に制度を決める

最初にやることは物件検索ではありません。どの制度で営業するかを決めることです。制度によって使える立地が変わるため、決めないまま探すと、あとで候補の大半が使えないと分かることがあります。

住宅宿泊事業法の届出で進むなら、立地は原則として制限されない代わりに、人を宿泊させる日数は1年間で180日を超えられません。旅館業法の許可で進むなら、営業日数の制限はない代わりに立地が制限され、施設の構造設備が基準を満たす必要があります。年間どれだけ営業したいかが決まれば、制度は自然に絞られます。

制度が決まると、探す条件も決まります。年間を通して営業したいなら住居専用地域を外して探すことになりますし、自宅の一部を使うなら物件を探す作業自体が不要になります。

何をどこで調べるか

物件情報の外にある項目は、それぞれ入手先が違います。まとめて調べられる窓口はないため、相手ごとに動きます。

条例による制限は、届出住宅が所在する自治体で確認します。観光庁は民泊制度ポータルサイトに「各自治体の情報・窓口案内」を用意しており、条例制定状況の一覧や、各自治体の主な条例内容をまとめた資料、都道府県別に整理された担当部署と連絡先の一覧を掲載しています。届出先については、都道府県に代わり保健所設置市(政令市、中核市等)や特別区(東京23区)が届出の受理・監督等の事務を処理することができるため、担当部署と実際の届出先が異なる場合がある点も注記されています。候補地が絞れたら、まずここを見ます。

管理規約は、区分所有の建物であれば売主、仲介する不動産会社、管理会社を通じて入手します。届出の添付書類として規約の写しが必要になるため、いずれ手元に置くことになります。規約に住宅宿泊事業について定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを証する書類が必要です。

賃貸借の条件は、賃貸人または転貸人に直接確認します。賃借人の場合は賃貸人が住宅宿泊事業を目的とした転貸を承諾したことを証する書類、転借人の場合は賃貸人および転貸人が承諾したことを証する書類が、届出の添付書類になります。

登記の情報は法務局で確認します。住宅の登記事項証明書は添付書類に含まれ、届出書に記入する住宅の不動産番号もここで分かります。法務省は登記事項証明書(謄抄本)の手数料について、令和7年4月1日からの区分として、書面請求は600円、オンライン請求で送付を選ぶ場合は520円、オンライン請求で窓口交付を選ぶ場合は490円としています。

消防用設備の要否は、届出住宅を管轄する消防に相談します。必要な設備は建物の使い方と規模で変わり、判断は消防部局が行います。図面が手に入った段階で相談できます。

条例・管理規約・転貸の承諾・登記・消防について、入手先と入手できる形を並べた比較表
まとめて調べられる窓口はありません。相手ごとに動くことになるため、着手の順序を決めておきます。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」各自治体の情報・窓口案内(確認日 2026-08-20)

物件情報から読み取れること、読み取れないこと

募集資料の見方も整理しておきます。読み取れるのは、専有面積、間取り、階数、建物の構造、築年、賃料や価格です。このうち間取りと専有面積からは、居室として使える範囲の見当がつきます。

一方、読み取れないものが多くあります。管理規約の内容、管理組合の方針、条例による制限、消防用設備の状況、そして届出に必要な床面積です。届出書に記入する住宅の規模は、居室の面積を内寸面積で、宿泊室の面積と宿泊者の使用に供する部分の面積を水平投影面積で算定するとされており、募集資料の専有面積とは算定方法が異なります。専有面積をそのまま使うことはできません。

設備についても、募集資料の記載だけでは判断できないことがあります。台所、浴室、便所、洗面設備の4つが必要ですが、これらは独立している必要はなく、一つの設備に複数の機能があるユニットバス等も認められます。浴室は浴槽が無くてもシャワーがあれば足り、便所は和式・洋式を問いません。実際に見て確かめる対象です。

物件の募集資料から判断できる項目と、別途調べないと分からない項目を左右に並べたOK・NGの比較図
右の最後が特に注意です。届出書の居室の面積は内寸面積で算定するため、募集資料の専有面積をそのまま使うことはできません。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」届出に必要な情報、手続きについて(確認日 2026-08-20)

内見で確かめること

内見は、資料で分からなかったことを埋める場です。見る順序を決めておくと漏れません。

まず設備の有無と状態を確認します。台所、浴室、便所、洗面設備がそれぞれ使用可能な状態かを見ます。近隣の公衆浴場等で代替することはできないため、建物内に揃っている必要があります。

次に居室として使える範囲の実測です。宿泊者が占有する部分を居室として、内寸で測ります。台所、浴室、便所、洗面所、廊下、押入れ、床の間は居室の面積に含みません。ここから、宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保できる人数が出ます。

そして居室の数を数えます。一の届出住宅の居室の数が5を超えると、住宅宿泊管理業者への委託が義務になります。自分で運営するつもりなら、この数は選定の基準になります。

最後に避難経路と非常用照明の状況を見ておきます。住宅宿泊事業者には非常用照明器具を設けることと避難経路を表示することが求められるため、既存の状態によって工事の量が変わります。

設備の有無と状態、居室の実測、居室の数、避難経路と非常用照明を並べた確認リスト
資料で分からなかったことを埋める場です。測った面積から定員が、居室の数から委託の要否が決まります。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」対象となる住宅(確認日 2026-08-20)

契約前に終える確認の順序

順序は、止まる可能性が高いものから確かめるのが基本です。規約で禁止されていれば設備を測る意味がありませんし、条例で営業できない時期が長ければ計画そのものが変わります。

具体的には、制度を決める、候補地の条例を調べる、管理規約と管理組合の方針を確かめる、賃貸なら転貸の承諾の見込みを確かめる、内見で設備と面積を確認する、図面を持って消防に相談する、という順です。ここまでが契約前に終わっていれば、契約後に判明して困る項目はほとんど残りません。

登記事項証明書のような官公署が証明する書類は、届出日前3月以内に発行されたものに限られます。契約前の調査の段階では内容の確認にとどめ、届出用の取得は目処が立ってからにしてください。早く取りすぎると取り直しになります。

物件の判定基準は民泊物件の選び方、契約後の工程は民泊開業の流れ、建物の種別による違いは民泊は戸建てとマンションのどちらが向くかで扱います。

条例の有無と窓口は自治体によって異なります。候補が絞れた段階で、必ず所在地の都道府県等に確認してください。

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