統計・調査のニュース/ニュース

2026年8月の客室稼働率は64.4%|7月分は第2次速報へ置き換わり

観光庁が宿泊旅行統計調査の2026年8月・第1次速報と2026年7月・第2次速報を公表しました。8月の延べ宿泊者数と客室稼働率、第1次速報から置き換わった7月の値、引用時に公表段階を残す理由を公表値の表記のまま整理します。

観光庁は2026年9月30日、宿泊旅行統計調査の2026年8月・第1次速報と、2026年7月・第2次速報を公表しました。発表本文によると、2026年8月の延べ宿泊者数は全体で6,268万人泊、客室稼働率は全体で64.4%です。

この発表で動いたのは、8月分が新しく出たことだけではありません。2026年7月分は、前回の発表では第1次速報として示されていましたが、今回は第2次速報として、延べ宿泊者数5,397万人泊、客室稼働率61.0%と公表されています。同じ対象月でも、公表の段階が進むと数値は置き換わります。

この記事では、今回の発表本文に載っている値をそのまま並べたうえで、7月分について前回の第1次速報と今回の第2次速報を見比べ、どの項目が別の数値になったのかを確かめます。あわせて、前年同月比を読むときに観光庁が促している留意点と、この統計を民泊の運営の判断へ持ち込むときに分けて考えることを整理します。増減の理由は発表本文に書かれていないため、この記事でも理由を補いません。

2026年8月の公表値は延べ宿泊者数6,268万人泊、客室稼働率64.4%

区分 2026年8月(第1次速報) 前年同月比
延べ宿泊者数(全体) 6,268万人泊 6.7%減
日本人延べ宿泊者数 5,004万人泊 5.8%減
外国人延べ宿泊者数 1,264万人泊 10.3%減
客室稼働率(全体) 64.4% この発表には記載がありません
2026年8月と2026年7月の延べ宿泊者数を、日本人と外国人の内訳に分けた横棒で並べた図。8月は合計6,268万人泊、7月は合計5,397万人泊
棒の長さは公表された人泊数に比例させています。8月は第1次速報、7月は第2次速報の値で、段階の違うものを並べていることが分かるように月名へ段階を添えています。 出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年8月・第1次速報、2026年7月・第2次速報)」(確認日 2026-10-01)

発表では、全体・日本人・外国人のいずれも前年同月比で減少しています。ここでいう延べ宿泊者数は人数そのものではなく、宿泊した人を宿泊日数に応じて数える「人泊」で示された値です。同じ人が2泊すれば2人泊として数えられるため、来た人の数として読むと大きさを取り違えます。

客室稼働率は全体で64.4%と公表されています。発表本文に載っているのは全体の値で、旅館やビジネスホテル、簡易宿所といった施設タイプ別の内訳や、都道府県別の稼働率は今回の本文には示されていません。稼働率の水準は施設タイプや地域によって同じではないため、全体の値を自分の施設が属する区分の値として扱うことはできません。

指標の名前が同じでも、中身がそろっているとは限りません。延べ宿泊者数や客室稼働率の算式は、観光庁の調査ページに「宿泊旅行統計調査の概要」と「用語の解説」として掲載されています。予約管理システムの画面に出る稼働率と統計の定義が一致しているかどうかは、その資料で確かめてから比べてください。

もうひとつ、この発表本文は全国の集計だけを掲載しています。住宅宿泊事業の届出住宅だけを取り出した数値も、宿泊料金や売上に関する数値も含まれていません。民泊の届出住宅の実績は別の集計として公表されているため、どちらの統計を見ているのかを先に分ける必要があります。統計の別は民泊の統計の読み方に整理しています。

2026年7月分は、第1次速報から第2次速報へ置き換わりました

項目 第1次速報(前回の発表) 第2次速報(今回の発表)
延べ宿泊者数(全体) 5,467万人泊(前年同月比3.5%減) 5,397万人泊(前年同月比4.7%減)
日本人延べ宿泊者数 4,110万人泊(前年同月比3.1%減) 4,066万人泊(前年同月比4.1%減)
外国人延べ宿泊者数 1,358万人泊(前年同月比4.6%減) 1,331万人泊(前年同月比6.5%減)
客室稼働率(全体) 60.8% 61.0%
2026年7月分の公表値が第1次速報から第2次速報へ置き換わったことを、延べ宿泊者数・日本人・外国人・客室稼働率の4項目で左右に並べた図
4項目とも別の数値になっています。前後の差は公表されていないため、この図でも差は計算していません。 出典:観光庁「宿泊旅行統計調査(2026年8月・第1次速報、2026年7月・第2次速報)」および前回の公表分(確認日 2026-10-01)

延べ宿泊者数は、全体・日本人・外国人の三つとも、第1次速報より小さい値として公表されています。客室稼働率は逆に、第1次速報の60.8%より大きい61.0%になりました。前年同月比も同じ月について別の数値に変わっています。置き換わった幅は公表されていないため、この記事では前後の差を計算していません。必要な場合は、両方の公表値をそのまま並べて示してください。

ここから分かるのは、速報値を一度転記して終わりにすると、その数字だけが手元に残り続けるということです。7月の延べ宿泊者数を5,467万人泊として社内資料に書き写していた場合、いま観光庁が示している同じ月の値は5,397万人泊です。どちらも公表値ですが、段階が違います。

そのため、数値を引用するときに残す情報は対象月だけでは足りません。統計名、対象月、第1次速報か第2次速報か確定値か、集計区分、そして確認した日を一緒に残します。段階を落とすと、あとから新しい公表が出たときに、差し替えるべき数字かどうかを判断できなくなります。前回の発表そのものの内容は2026年7月の宿泊旅行統計調査の記事で扱っています。

社外へ出す資料では、この扱いがそのまま信頼性に関わります。速報値であることを書かずに引用した数字は、更新されたあとも同じ形で引用され続けます。逆に段階を明記しておけば、読み手が自分で公表ページを開き、同じ値にたどり着けます。

同じ発表の中でも、月によって公表段階が違います

今回の発表は、8月分が第1次速報、7月分が第2次速報です。二つの月が同じページに並んでいるため、そのまま横に置いて月ごとの動きを読みたくなりますが、確定の度合いが違う数値を比べることになります。並べること自体は問題ありませんが、どちらがどの段階かを表の中に残さないと、あとで片方だけが置き換わったときに気づけません。

段階をそろえて月どうしを比べたい場合は、第2次速報として公表されている値を選びます。7月分は今回の発表で第2次速報になり、6月分は前回の発表で第2次速報として延べ宿泊者数4,582万人泊、客室稼働率57.2%と公表されています。この二つなら、同じ段階の値を並べることになります。

逆に、最新の月の様子を早く知りたい場面では、第1次速報を使うことになります。どちらを選ぶかは目的で決まり、正しい選び方はひとつではありません。決めておくとよいのは、社内で使う数字はどちらの段階にそろえるか、そして更新が出たときに誰が差し替えるか、という運用のほうです。

前年同月比には、層化基準の変更の影響が含まれる可能性があります

観光庁は、統計精度をさらに高めるために見直しを行い、令和8年1月分調査から層化基準を「従業者数」から「客室数」へ変更したと説明しています。そのうえで、対前年(同月)比と対前年(同月)差については、この見直しの影響が含まれている可能性がある点に留意するよう、発表本文で促しています。

つまり、8月の前年同月比6.7%減や、7月の第2次速報における同4.7%減は、公表値として確認できるものですが、変化のすべてを宿泊需要の動きだけで説明することはできません。過年度の数値と同じグラフに並べるなら、令和8年1月分調査から基準が変わったことを図の中か注記に書き、同じ条件で続いている連続データのようには見せないことです。

観光庁の調査ページには、層化変数を従業者数から客室数へ変更したことと、調査票が客室数の区分ごとに分かれていることが示されています。同じページには、従業者数が9人以下の宿泊施設を調査対象に加える拡充についても記載があります。小規模な施設を運営している立場からは、この統計が外から観測された数字ではなく、施設が報告した内容の集計であることを押さえておくと読み方が変わります。

観光庁「宿泊旅行統計調査」のページのファーストビュー。調査の概要や用語の解説、第1次速報から確定値までの調査結果が並んでいる
引用キャプチャ この記事が層化基準の変更と調査対象の拡充について引いている公表ページです。第1次速報・第2次速報・確定値という区分で調査結果が並んでおり、調査の概要と用語の解説も同じページから開けます。 出典:宿泊旅行統計調査(観光庁 観光統計・白書)(確認日 2026-10-01/表示のファーストビュー)

この発表本文に記載がないこと

知りたくなる項目 今回の発表本文の記載
施設タイプ別の延べ宿泊者数・稼働率 記載がありません
都道府県別・地域別の値 記載がありません
住宅宿泊事業の届出住宅だけの実績 記載がありません
宿泊料金・客室単価・売上 記載がありません
客室稼働率の前年同月比 記載がありません
増減の理由・背景の説明 記載がありません
2026年8月分が第2次速報になる時期 記載がありません

空欄が多いのは、この発表が月次の速報として全国の主要な値を先に示すものだからです。発表ページからは報道発表資料と詳細結果へのリンクが案内されており、細かい区分の数値はそちらで確認することになります。本文に無い項目を、本文にある数字から作らないでください。全体の稼働率から施設タイプ別の水準を推し量ることはできません。

また、8月分がいつ第2次速報として更新されるかも、今回の本文には書かれていません。観光庁は観光統計の公表予定日を別のページで案内しているため、継続して数値を使う運用にするなら、そこを確認の周期へ組み込んでおくほうが安全です。

民泊の運営でこの統計を使うときに分けて考えること

今回の発表から確認できるのは、全国の延べ宿泊者数、日本人と外国人の内訳、全体の客室稼働率、そして前年同月比です。いずれも調査の対象となった施設を集計した値で、特定の物件で期待できる稼働率や単価を示すものではありません。全国の64.4%を自分の物件の前提に置くと、営業できる日数、販売できる客室数、予約経路の違いといった条件がまとめて抜け落ちます。

売上の見積もりは、全国値を当てはめるのではなく、自分の物件で確定している条件から枠を出し、条件を振って試算するほうが実態に合います。考え方は民泊の売上予測の立て方にまとめています。統計そのものの読み方と集計区分は宿泊旅行統計調査の見方で扱っています。

地域を検討する場合も、この発表だけでは足りません。全国の値が下がっている月に、特定の地域や特定の施設タイプが同じ方向に動いているとは限らないからです。候補地を見るときは、都道府県別の資料と、条例による営業期間や区域の制限を別々に確認してください。統計で需要を調べたあとに営業できない区域だと分かる、という順序を避けるためです。

第1次速報は、今回の7月分と同じように後続の公表で置き換わります。数値を使う時点で、観光庁の発表ページに新しい公表が出ていないかを確かめてください。法令の解釈や自分の物件で必要になる手続きの判断は、届出先である都道府県知事等の窓口に直接確認してください。

このメディアの運営元について

myHotelsメディアは、民泊予約システムを提供する myHotels が運営しています。 記事は自社サービスの利用を前提にせずに書いており、料金や条件は下のページで確認できます。

サービスの内容を見る オーナー登録に進む