株式会社AlbaLink(アルバリンク)は2026年9月17日、群馬県前橋市から「空家等管理活用支援法人」に指定されたと発表しました。指定は令和8年7月31日付です。同社は本社を東京都江東区に置き、代表取締役は河田憲二氏です。
空家等管理活用支援法人(以下、支援法人)は、空き家対策の法律にもとづいて市町村が指定する法人です。一社との業務提携とは違い、指定の根拠も、できる業務も、市からの監督も条文で決まっています。前橋市の公表資料を見ると、同じ枠で指定されたのは同社を含めて8法人あります。
空き家を手に入れて民泊にしたい人から見ると、支援法人は物件や所有者との接点になりえます。ただし、支援法人の業務は空き家の「管理」と「活用」の支援であり、宿泊事業に使えるかどうかは別の法律で判定されます。この記事では、発表本文、前橋市の公表、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家特措法)の条文を分けて読み、最後に民泊の側で確かめることを整理します。
発表に書かれているのは、指定の事実と3つの業務です
発表は、この制度について、前橋市が空き家の適正な管理および利活用を推進することを目的に、専門的な知見とノウハウを持つ法人を支援法人として指定し、官民連携で空き家対策を進める取り組みだと説明しています。同社はこれまで全国各地で老朽化・空室化が進んだ不動産の再生や流通を支援してきたとし、今回の指定を機に前橋市と連携して地域における空き家の管理・活用を一層推進するとしています。
同社が支援法人として担う業務として挙げているのは、次の三つです。
| 項目 | 発表の記載 |
|---|---|
| 指定した自治体 | 群馬県前橋市 |
| 指定日 | 令和8年7月31日付 |
| 担う業務 | 空き家問題に関する情報発信を目的としたセミナー・イベントの開催 |
| 同上 | 物件の再生と地域経済活性化への貢献 |
| 同上 | 流通困難な物件の机上査定・買取(ワンストップ相談窓口対応) |
| 市の担当 | 前橋市役所 都市計画部 建築住宅課 |
三つめの「机上査定・買取」は、所有者から物件を引き取る側の業務です。発表には、買い取った物件をどう再生し、誰に、どの用途で流通させるかは書かれていません。
前橋市は8法人を2回に分けて指定しています
前橋市は「空家等管理活用支援法人について」のページで、制度の成り立ちを説明しています。令和5年12月に改正された空家等対策推進法によって支援法人の制度が新たに創設され、民間法人が公的立場から活動しやすい環境を整備し、空き家等対策に取り組む市町村の補完的な役割を果たしていくことを狙いに創設されたもの、という位置づけです。国土交通省も、この改正法の施行を令和5年12月13日としています。市の指定は「前橋市空家等管理活用支援法人の指定等に関する事務取扱要綱」と「前橋市空家等管理活用支援法人指定方針」にもとづいて行われています。
市が掲載している指定済みの法人は次のとおりです。
| 指定日 | 法人名 |
|---|---|
| 7月31日 | 一般社団法人群馬県宅地建物取引業協会 |
| 7月31日 | 株式会社AlbaLink |
| 7月31日 | 株式会社上毛新聞社(すみかくらぶ) |
| 7月31日 | 株式会社ネクスウィル |
| 8月25日 | 株式会社クラッソーネ |
| 8月25日 | 公益社団法人全日本不動産協会 |
| 8月25日 | 空き家価値創造研究所株式会社 |
| 8月25日 | マークスライフ株式会社 |
一覧には、一般社団法人と公益社団法人が2つ、株式会社が6つ並んでいます。前橋市で空き家の相談先を探す場合、AlbaLinkは8法人のうちの1社という位置づけで、市のページには各法人の連絡先も掲載されています。市の窓口は都市計画部 建築住宅課 空家利活用センターです。
支援法人ができることは、空家特措法の第二十四条に並んでいます
指定の根拠は空家特措法の第二十三条です。市町村長は、特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人、または空家等の管理若しくは活用を図る活動を行うことを目的とする会社であって、業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により支援法人として指定できると定めています。市が選んで依頼するのではなく、法人の側から申請する仕組みです。
業務は第二十四条に六つ挙がっています。前橋市は、このうち(1)の業務を行うか、(1)に加えて(2)から(6)のいずれかを行うことを、支援法人に求める業務としています。
| 号 | 条文の業務(前橋市のページの記載) |
|---|---|
| (1) | 空家等の所有者等その他空家等の管理又は活用を行おうとする者に対し、当該空家等の管理若しくは活用の方法に関する情報の提供若しくは相談その他の当該空家等の適切な管理又はその活用を図るために必要な援助を行うこと |
| (2) | 委託に基づき、定期的な空家等の状態の確認、空家等の活用のために行う改修その他の空家等の管理又は活用のため必要な事業又は事務を行うこと |
| (3) | 委託に基づき、空家等の所有者等の探索を行うこと |
| (4) | 空家等の管理又は活用に関する調査研究を行うこと |
| (5) | 空家等の管理又は活用に関する普及啓発を行うこと |
| (6) | 前各号に掲げるもののほか、空家等の管理又は活用を図るために必要な事業又は事務を行うこと |
(1)の相談の相手には、所有者だけでなく「空家等の管理又は活用を行おうとする者」が入っています。空き家を使いたい側も、条文のうえでは相談の対象です。一方で(2)と(3)は「委託に基づき」行う業務で、支援法人がどの業務を実際に引き受けるかは法人ごとに異なります。発表に挙がっている三つの業務が、条文のどの号にあたるかは発表に書かれていません。
市の監督と、所有者情報の渡り方も条文で決まっています
第二十五条は、市町村長が支援法人に業務の報告をさせることができ、業務を適正かつ確実に実施していないと認めるときは改善に必要な措置を命じることができ、命令に違反したときは指定を取り消すことができると定めています。取り消したときは、その旨を公示しなければなりません。
物件を探す人にとって気になるのは、所有者の情報がどう扱われるかです。第二十六条では、支援法人が業務の遂行のため空家等の所有者等を知る必要があるとして情報の提供を求めたとき、市町村長は所有者等の探索に必要な限度で所有者等関連情報を提供するとしています。ただし、提供するときは、あらかじめ本人の同意を得なければなりません。同意は、所在が判明している者に対して求めれば足りるとされています。
所有者の情報は、本人の同意を経て、探索に必要な範囲でだけ支援法人に渡る仕組みです。空き家を使いたい人が、支援法人を通じて所有者の情報を自由に得られるわけではありません。
第二十七条は、支援法人が業務のために必要と認めるときに、市町村へ空家等対策計画の作成や変更を提案できると定めています。その場合、基本指針に即して計画の素案を作成し、提示する必要があります。
空き家として扱われる物件と、民泊の「住宅」は見ている状態が違います
空家特措法の第二条は、「空家等」を、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地と定義しています。支援法人が扱うのは、この意味での空き家です。
一方、住宅宿泊事業法で届け出る住宅には要件があります。観光庁の民泊制度ポータルサイトは、設備要件として台所、浴室、便所、洗面設備を、居住要件として、現に人の生活の本拠として使用されている家屋、入居者の募集が行われている家屋、随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋を挙げています。年間提供日数の上限は180日です。
使われていない状態が続いていることで空き家とされた建物を届出住宅にする場合、居住要件のどれにあてはめるかを物件ごとに整理する必要があります。支援法人の業務にこの判定は入っていません。当てはめの判断は、物件の所在地で住宅宿泊事業を所管する窓口に確認してください。届出後に続く業務は住宅宿泊事業者とはで、物件情報に出てこない項目の調べ方は民泊の物件の探し方で扱っています。
この発表に記載がないこと
空き家の取得を検討している人が知りたくなる項目のうち、発表にも前橋市の公表にも書かれていないものです。
| 知りたくなる項目 | 発表・市の公表での扱い |
|---|---|
| 買取の対象になる物件の条件や価格帯 | 記載がありません |
| 買い取った物件を宿泊事業に使う想定があるか | 記載がありません |
| 指定の有効期間や更新の条件 | 記載がありません |
| 相談にかかる費用 | 記載がありません |
| 前橋市での相談件数や取扱件数 | 記載がありません |
同じ会社が自治体と結んだ枠組みには、山梨県韮崎市との協定もあります(韮崎市とアルバリンクの包括連携協定)。韮崎市のものは協定、前橋市のものは空家特措法にもとづく指定で、根拠が違います。指定は、条文に書かれた業務・監督・情報提供の枠の中で動くものです。前橋市で空き家を探すときは、まず市のページで8法人の顔ぶれを確かめ、宿泊に使えるかどうかは届出の窓口で別に確かめる、という順で進めることになります。
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