楽天グループ株式会社は2026年9月4日、総務省が創設を目指す「ふるさと住民登録制度」の社会実装を推進するため、運営する旅行体験予約サービス「楽天トラベル観光体験」を活用して大阪府岸和田市と新たに連携し、「岸和田だんじり祭」を深く楽しめる体験プランの販売を開始したと発表しました。発表には副題として「『岸和田だんじり祭』を入り口に、関係人口の拡大と地域課題の解決を支援」と書かれています。
発表は宿泊について触れていません。この記事は、発表本文と、そこで案内されている総務省のサイトに書かれている範囲だけを扱います。地域の行事に合わせた体験商品が予約サービス上でどう売られ、自治体との連携がどんな枠組みで進んでいるかは、同じ地域で宿泊施設を運営している場合に、周辺で何が動いているかを知る材料になります。
販売が始まった体験プランの内容
発表によると、今回の連携で販売するのは「もっと楽しむだんじりラボ~ふるさと住民サロン~」という体験プランです。内容は二つの要素で構成されていると説明されています。
ひとつは「だんじり観覧席」です。株式会社 TryHard Japan が提供するもので、「岸和田だんじり祭」の迫力ある「やりまわし」を場所取り不要で快適に見られる、と書かれています。もうひとつは「だんじりラボ」で、岸和田の特産品を楽しみながらゆっくり過ごすことができるスペースを提供し、スペース内の大型モニターを通じて「岸和田だんじり祭」の生中継を観覧することもできる、と説明されています。
販売されるのは、「だんじり観覧席」のチケットと「だんじりラボ」がセットになったプランに加えて、「だんじりラボ」のみを体験できるプランです。予約の受付は「だんじり観覧席」観覧日の2日前までとされています。
| 項目 | 発表に書かれている内容 |
|---|---|
| 体験プラン名 | もっと楽しむだんじりラボ~ふるさと住民サロン~ |
| 販売する場所 | 「楽天トラベル観光体験」 |
| 連携先 | 大阪府岸和田市 |
| 「だんじり観覧席」の提供 | 株式会社 TryHard Japan |
| 「だんじりラボ」の会場 | 岸和田市立公民館・中央地区公民館 4階多目的ホール |
| 予約の受付 | 「だんじり観覧席」観覧日の2日前まで |
取り扱う観覧席と実施日
発表には、イベントの実施日と場所、取り扱う「だんじり観覧席」の種類が挙げられています。表記はそのまま転記します。イベント実施日は2026年9月19日(土)9:00~17:30と、9月20日(日)9:00~17:30です。場所はコープ岸和田店駐車場と書かれています。「だんじりラボ」の会場は、これとは別に岸和田市立公民館・中央地区公民館の4階多目的ホールと記載されています。
| 日付 | 取り扱う「だんじり観覧席」 | 時間 |
|---|---|---|
| 9月19日(土) | 山側(ベンチ)パレードB | 9:30~14:30 |
| 9月19日(土) | 山側(ベンチ)パレードC | 9:30~14:30 |
| 9月19日(土) | 山側(ベンチ)午後②B | 15:30~17:00 |
| 9月19日(土) | 山側(ベンチ)午後②C | 15:30~17:00 |
| 9月20日(日) | 山側(ベンチ)午後①B | 13:00~14:30 |
| 9月20日(日) | 山側(ベンチ)午後①C | 13:00~14:30 |
| 9月20日(日) | 山側(ベンチ)午後②B | 15:30~17:00 |
| 9月20日(日) | 山側(ベンチ)午後②C | 15:30~17:00 |
いずれも山側(ベンチ)の席で、時間帯ごとにBとCの区分がある形です。席ごとの料金、用意されている席数、販売の状況は、この発表には記載がありません。体験プランの詳細は、発表が案内している「楽天トラベル観光体験」のページで確認する形になります。
観覧を入り口に登録へつなげる、という説明
発表は、この連携で目指すことを次のように書いています。「岸和田だんじり祭」の観覧等を入り口に、地域文化の理解や地域活動への参画を促し、「ふるさと住民」の登録へと段階的につなげることで、関係人口の拡大と地域課題の解決を支援することを目指す、というものです。
観覧という一度きりの接点から、地域への継続的な関わりへ移ってもらう、という段階を想定した書き方になっています。ただしこれは目指すこととして書かれている内容で、登録がどれだけ生まれたか、地域課題の解決にどうつながったかといった実績や効果は、この発表には示されていません。今回の販売がその検証を兼ねるのかどうかについても記載がありません。
背景にある「ふるさと住民登録制度」
発表は注記で、「ふるさと住民登録制度」を、実際に居住していなくても、任意で継続的に関わりたい地域を選び登録できる仕組みだと説明しています。居住地以外の自治体に「ふるさと住民」として登録すると、その地域の情報提供や行政サービスなどを受けられることが検討されている、とも書かれています。受けられると決まったのではなく、検討されていると書かれている点に注意してください。
制度そのものは総務省が案内しています。総務省のサイトは、この制度の仕組みと、2026年度中の制度開始に向けた情報を届けるためのものだと示されています。ふるさと住民は気になる地域をスマートフォンのアプリで登録し、地域ならではの情報を受け取ったり、地域での「担い手活動」に参加したりできると説明されています。制度の開始に向けて自治体と連携したモデル事業が実施中であること、アプリが年度末にリリース予定であることも書かれています。
制度の適用範囲や、登録した人が実際に受けられる行政サービスの内容が最終的にどうなるかは、現時点の公表資料から確定的に読み取れるものではありません。事業の判断に関わる場合は、総務省のサイトと、関係する自治体の窓口で確かめてください。
楽天が事務局を務めるコンソーシアム
今回の連携は、「ふるさと住民登録制度」の社会実装を推進するべく楽天が設立した「ふるさと住民応援コンソーシアム」の取り組みの一環だと書かれています。発表の注記によると、このコンソーシアムは、総務省が創設を目指す制度の社会実装に向けて楽天が2025年9月に設立し、事務局を務めている共同事業体で、企業や自治体などから構成されます。岸和田市は2026年3月から本コンソーシアムへ参画していると記載されています。
自治体が制度の枠組みに参加し、そこへ民間の予約サービスが体験商品の販売という形で加わる、という順序で進んでいることになります。参画している自治体や企業の一覧、参画の条件、他の地域で同じ形の販売が予定されているかどうかは、この発表には記載がありません。
「楽天トラベル観光体験」について発表が述べていること
発表は「楽天トラベル観光体験」を、国内・海外のテーマパークチケットや展示会等のイベント、アクティビティ、現地オプショナルツアー、レストランなど、多様な商品を国内外の旅行者向けに提供するサービスだと説明しています。今後も取り扱う商品のエリアや種類を拡大するとともに、各地域の自治体との連携を通じ、地域活性化に向けた取り組みを順次行う予定だとも書かれています。
宿泊施設や住宅宿泊事業者がこのサービスへ体験商品を出せるかどうか、出す場合の条件や手数料がどうなるかは、この発表には記載がありません。宿泊の予約サービスとの関係についても触れられていません。
この発表に記載がないこと
発表の範囲を確かめるために、書かれていない項目を並べておきます。埋めずにそのまま示します。
| 知りたくなる項目 | この発表での扱い |
|---|---|
| 体験プランの料金 | 記載がありません |
| 用意されている席数・販売状況 | 記載がありません |
| 宿泊とのセット販売の有無 | 記載がありません |
| 宿泊事業者が体験商品を出す方法 | 記載がありません |
| 「ふるさと住民」の登録手続き | 記載がありません |
| コンソーシアムに参画する自治体の一覧 | 記載がありません |
運営から見るときの注意
この発表は、特定の地域の行事に合わせた体験商品の販売開始と、その背景にある制度とコンソーシアムの説明です。周辺の宿泊需要がどう動くか、予約や単価にどう影響するかを示すものではありません。発表からその影響を読み取ることはできませんし、読み取ったかのように書くこともできません。
制度の側で今後の材料になりそうなのは、2026年度中の制度開始に向けてモデル事業が進んでいることと、登録した人が受けられるものが検討中とされていることの二点です。自分の地域が関わるかどうかは、自治体の発表で確かめるのが確実です。
地域の行事と宿泊の関係は、立地を選ぶときの検討材料のひとつになります。地域ごとの制約と統計の読み方は民泊の立地の選び方、日数と定員から売上の枠を出す考え方は民泊の売上予測にまとめています。宿泊するゲストが地域の祭事へ参加する取り組みの発表は、PROJECT YAGURAの記事で扱いました。
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