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渋谷・円山町に全74室のアパートメント型ホテル 3社協業で10月1日開業

matsuri technologiesが、JR西日本プロパティーズ・ラ・アトレとの3社協業で、渋谷区円山町にアパートメント型ホテル「VADE HOTEL SHIBUYA」を10月1日に開業すると発表しました。客室と設備、運用の作り方を発表の表記のまま整理します。

matsuri technologies株式会社は2026年9月1日、JR西日本プロパティーズ株式会社および株式会社ラ・アトレとの3社協業により、東京都渋谷区円山町に新ブランド「VADE HOTEL」の第1号施設となるアパートメントホテル「VADE HOTEL SHIBUYA(ヴェイド ホテル 渋谷)」を2026年10月1日に開業すると発表しました。1階に併設するオールデイダイニングは、株式会社MOTHERSとの協業により運営するとされています。

発表元のmatsuri technologiesは、事業内容として情報通信業、ソフトウェア開発業、住宅宿泊事業、不動産賃貸業を挙げている会社です。当サイトでは以前、同社が宿泊ゲストと社員で地域の祭事に参加する取り組みを扱いました。今回の発表は、住宅宿泊事業で使ってきた運用の作り方を、1棟のホテルへ持ち込んだという内容になっています。民泊を運営している立場から読むと、客室の定員の置き方、設備の構成、館内の面積配分という3点が、自分の物件と比べられる材料になります

この記事は同社が配信したプレスリリースの記載にもとづいています。発表に書かれていない項目は推測で埋めず、書かれていないことをそのまま示します。宿泊料金や営業の許可の種別など、判断に効く項目のいくつかは、この発表には含まれていません。

全室を4名以上が泊まれる客室にしたと説明しています

発表によると、建物は鉄筋コンクリート造の地上7階建てで、全74室すべてを4名以上に対応した「Apartment Style Rooms」として設計したとされています。客室タイプは6種類で、総定員は最大304名と記載されています。1室あたりの定員が4名または6名という構成なので、部屋数のわりに受け入れられる人数が多い形です。

発表は、この構成にした理由として、3名以上で旅行するグループやファミリーの割合に対して、3名以上が泊まれる部屋の供給が追いついていないという需給の差を挙げています。引用されている調査の扱いについては後述します。

客室タイプごとの定員・室数・面積は、発表の表記のまま次のとおりです。

客室タイプ 定員 室数 面積
SHIBUYA TRIPLE + SOFA 4名 30室 約34.2㎡
SHIBUYA QUAD 4名 20室 約34.6㎡
SHIBUYA SPLIT QUAD 4名 10室 約33.1㎡
SHIBUYA BUNK 4名 10室 約43.8㎡
SHIBUYA BUNK COMFORT 6名 2室 約66.4㎡
SHIBUYA BUNK COMFORT PLUS 6名 2室 約77.2㎡
合計 最大304名 74室

4名定員の客室が約33㎡から約43㎡の幅に収まっており、6名定員の2タイプだけが約66㎡と約77㎡と大きく取られています。ベッドの構成や寝具の内訳、1室あたりの想定単価について、この発表には記載がありません。

全室にキッチンと洗濯機を備えると記載しています

発表は、全室にキッチン、洗濯機、独立した浴室、テレビ、Wi-Fi、スマートロックを備えると記載しています。間取りについては、Dタイプを除く全室が1Rで、DタイプはLDKだと書かれています。6種類の客室タイプのうちどれがDタイプにあたるかは、発表本文からは読み取れません。

この設備の並びは、住宅を使う民泊の住戸に近い構成です。住宅宿泊事業法の届出住宅では、台所・浴室・便所・洗面設備という住宅としての設備が求められますが、それとは別に、ホテルとして同じ設備を客室ごとに置くという選び方もある、ということが分かる記載になっています。ただし設備が似ていることと、どの法令にもとづく営業かが同じであることは別の話です。この点は後の節で分けて扱います。

全室の設備・仕様 発表の記載
設備 キッチン、洗濯機、独立した浴室(レインシャワー)、テレビ、Wi-Fi、スマートロック
間取り Dタイプを除く全室が1R。DタイプはLDK
定員 全74室すべてが4名以上に対応
チェックイン/アウト 16:00/11:00。有人フロントと事前チェックイン用タブレットを併用
共用施設 1Fロビー(盆栽アートワーク)、1Fレストラン、セルフクローク、敷地内駐車場8台(有料)

民泊の運営で使ってきた作り方をどう持ち込んだか

発表は、国内最大規模(4,500ユニット超)の民泊運営で培ったオペレーションノウハウを活用し、リネンや備品を日単位で配送すると説明しています。そのうえで、リネン庫などのバックヤードを最小化し、生まれたゆとりを共用スペースへ振り向けたと記載されています。

宿泊施設の面積は、客室・共用部・バックヤードで取り合いになります。館内に在庫を置かず、必要な量を日単位で運び込む形にすれば、保管のための面積を減らせるという説明です。これは複数の物件を離れた場所から運営してきた事業者に馴染みのある考え方で、1棟のホテルでも同じ切り分けができると示した内容になっています。

到着時の対応については、有人フロントと事前チェックイン用のタブレットを併用し、待ち時間のない到着を実現したと書かれています。チェックインは16:00、チェックアウトは11:00です。無人化ではなく、事前の入力を機械に寄せたうえで人を残す形だと読める記載ですが、配置する人数や時間帯について、この発表には記載がありません。

配送の頻度を上げると、保管の面積は減る一方で、運ぶ回数と受け取りの手間は増えます。どちらが有利かは物件の立地と規模で変わるため、この発表から自分の物件に当てはめられるのは考え方までです。1件あたりの費用や、削減できた面積の数値は示されていません。

販売チャネルにはOTAと自社サイトが並んでいます

予約について発表は、公式サイト、Booking.com、Expedia、Trip.com、Airbnb、楽天トラベル、じゃらん、自社サイトを挙げ、2026年9月1日に予約を開始したと記載しています。海外向けと国内向けのOTAが並び、そこに民泊で使われることの多いAirbnbと、自社の予約窓口が加わる形です。

複数の販売経路に同じ在庫を出すと、在庫と料金をどこで一元管理するかが問題になります。この施設がどの仕組みで在庫を管理しているかについて、発表には記載がありません。同社が自社開発のシステムを使うかどうかも、この発表からは分かりません。

なお、発表の施設概要には「公式サイト」と「自社サイト」の両方が並んでいます。両者の違いについての説明はありません。

「アパートメント型ホテル」は法令上の区分ではありません

発表は「アパートメント型ホテル」「アパートメントホテル」「Apartment Style Rooms」という言葉を使っています。これは客室の作りを表す呼び方であって、法令上の営業種別を示す言葉ではありません。

厚生労働省は、旅館業を「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と説明し、営業の種別を旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業の3つに分けています。旅館・ホテル営業は、施設を設けて宿泊料を受けて人を宿泊させる営業のうち、簡易宿所営業と下宿営業以外のものとされ、いずれも都道府県知事の許可が必要だとされています。住宅を使う民泊には住宅宿泊事業法の届出という別の道がありますが、それも旅館業法の適用があることを前提に置かれた仕組みです。

この発表には、VADE HOTEL SHIBUYAがどの営業種別で運営されるかの記載がありません。したがって当サイトも、この施設の営業種別を断定しません。客室にキッチンと洗濯機があること、定員が4名以上であること、滞在の形が住宅に近いことは、いずれも営業種別を決める要素ではありません。自分の物件で似た形を検討する場合は、設備の構成から入るのではなく、どの法令にもとづく営業にするかを先に決めることになります。判定の考え方は民泊と旅館業法の関係にまとめています。

厚生労働省「旅館業法の概要」のページのファーストビュー
引用キャプチャ 旅館業の定義と、旅館・ホテル営業/簡易宿所営業/下宿営業という営業種別、許可の要否が示されている公式ページです。 出典:旅館業法の概要(厚生労働省)(確認日 2026-09-05/表示のファーストビュー)

発表が引用している調査の数値は掲載しません

発表は、3名以上で旅行するグループ・ファミリーの割合と、3名以上が泊まれる部屋の供給割合を並べ、その差を需給ギャップとして示しています。割合のうち一方には国土交通省観光庁「旅行・観光消費動向調査(2023年)」という出典が添えられていますが、もう一方の割合については、発表本文に出典の記載がありません。

当サイトは、この2つの割合を原資料で確認できていません。そのため、発表に書かれている数値をここへ引き写すことはしません。片方だけを載せると差の意味が読み取れず、両方を載せると、当サイトが確認した値のように読まれるためです。人数構成ごとの旅行の割合を自分で確かめたい場合は、観光庁が公表している旅行・観光消費動向調査の集計表にあたってください。当サイトでも旅行市場の規模で、公表されている統計の種類と読み方を整理しています。

施設の概要(発表の表記のまま)

発表の「施設概要」に書かれている項目を転記します。数値は発表本文の表記をそのまま使っています。

項目 発表の記載
施設名 VADE HOTEL SHIBUYA(ヴェイド ホテル 渋谷)
所在地 東京都渋谷区円山町7番8号
開業日 2026年10月1日
構造・規模 鉄筋コンクリート造 地上7階建/建築面積619.26㎡・延床面積3,918.18㎡
客室数 全74室(総定員304名)
併設レストラン オールデイダイニング(「CHICAMA」2号店)182.9㎡・70席、屋外テラス席あり。企画・運営は株式会社MOTHERS
飲食の営業時間 朝食7:00〜、ランチ・ディナー11:00〜23:00
アクセス 京王井の頭線「神泉」駅 徒歩2分/JR・東京メトロ他「渋谷」駅 徒歩8分
事業スキーム 開発:JR西日本プロパティーズ、ラ・アトレ、matsuri technologies。1Fレストラン企画・運営:MOTHERS

宿泊者向けには「裏渋」講座と、宿泊者専用ページ「URASHIBU MAP」を用意すると書かれており、詳細は10月1日配信予定の第2弾リリースで紹介するとされています。

この発表に記載がないこと

運営の判断に効く項目のうち、この発表に書かれていないものを並べます。埋めずにそのまま示します。

知りたくなる項目 この発表での扱い
営業の種別(旅館業法/住宅宿泊事業法など) 記載がありません
宿泊料金・想定単価 記載がありません
開発・建設にかかった費用 記載がありません
運営体制の人数・シフト 記載がありません
在庫・料金の一元管理に使う仕組み 記載がありません
清掃とリネン配送の委託先 記載がありません
2号店以降の出店計画 記載がありません

ブランドについては、「VADE」がラテン語で“Go with me(ともに行こう)”を意味する言葉であり、Value・Awaken・Discovery・Encounterの4つの頭文字でもあると説明されています。拠点ごとに土地の文化を読み解いてデザインコンセプトを変えるとされ、渋谷では「MIDDLE STREET」をコンセプトに設定したと記載されています。デザインの方針であり、運営の条件を示すものではありません。

運営から見るときの注意

この発表は、1棟のホテルの開業予定と、その客室構成・設備・運用の説明です。周辺の宿泊需要がどう動くか、近隣の民泊の稼働や単価にどう影響するかを示すものではありません。発表からその影響を読み取ることはできませんし、読み取ったかのように書くこともできません。

自分の物件と比べる材料になるのは、次の3点です。1つめは、定員を4名以上に寄せる設計です。1室あたりの人数を増やすと、同じ室数でも受け入れられる人数が変わります。2つめは、在庫を館内に置かず日単位で配送する運用です。保管の面積と運搬の手間の交換になります。3つめは、有人フロントと事前チェックインの併用で、到着時の対応をすべて機械に寄せているわけではない点です。非対面で行う場合の要件は民泊のチェックイン方法で扱っています。

同社の別の発表については、PROJECT YAGURAの記事で扱いました。宿泊施設を1棟つくる側の手続きと考え方は、小規模ホテルの開業にまとめています。似た形を自分で検討する場合、営業種別の判定と、消防・保健所の窓口への確認が先に来ます。物件ごとに条件が異なるため、最終的な判断は所管の窓口で確かめてください。

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