「セルフチェックイン」「無人チェックイン」という呼び方は、制度の上の用語ではありません。住宅宿泊事業法の側から見ると、チェックインの方法は2つに分かれます。対面か、対面と同等の手段としてのICTを活用した方法等かです。
観光庁は、宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置として、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて本人確認を行う必要があるとし、その措置は対面またはICTを活用した方法等により行われる必要があるとしています。
つまり、鍵をキーボックスに入れて宿泊者に取ってもらう運用にしても、本人確認そのものは省けません。この記事では、非対面で回すために満たす条件、無人にできない場面、そしてチェックアウトまでの流れを整理します。案内文に何を書くかは民泊のチェックイン案内にまとめました。
非対面にするなら、2つの条件を満たす
観光庁は、対面と同等の手段として、次のいずれも満たすICTを活用した方法等による必要があるとしています。
宿泊者の顔および旅券が画像により鮮明に確認できること。 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内または届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること。
方法の例としては、届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法が考えられる、と示されています。
2つ目の条件が、運用の形を決めます。宿泊者が自分のスマートフォンから、自宅や空港で送ってくる画像では条件を満たしません。発信元が届出住宅内か、その近傍か、事業者・管理業者の営業所等であることが確認できる必要があります。
したがって、非対面にするほど機器が要らなくなるわけではありません。むしろ逆で、届出住宅の側に機器を置くことになります。
本人確認でやること
方法を決めたあと、実際に行うことは共通です。観光庁は、住宅宿泊事業者等が次の内容に従って本人確認を行う必要があるとしています。
宿泊者に対し、宿泊者名簿への正確な記載を働きかけること。日本国内に住所を有しない外国人宿泊者に関しては、宿泊者名簿の国籍および旅券番号欄への記載を徹底し、旅券の呈示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存すること。旅券の写しの保存により、その宿泊者に関する氏名、国籍および旅券番号の欄への記載を代替することもできます。
呈示を拒否された場合の手順も示されています。営業者の求めにもかかわらず宿泊者が旅券の呈示を拒否する場合は、当該措置が国の指導によるものであることを説明して呈示を求め、さらに拒否する場合には、当該宿泊者は旅券不携帯の可能性があるものとして、最寄りの警察署に連絡する等適切な対応を行うこと、とされています。
この場面を非対面でどう扱うかは、先に決めておく必要があります。画面の向こうで拒否されたときに誰がどう動くのかを決めていないと、その場で止まります。
名簿には宿泊者全員を記載します。代表者のみの記載は認められません。宿泊契約(宿泊グループ)ごとに宿泊者が分かるように記載することとされています。記載するのは氏名、住所、職業および宿泊日、外国人であればその国籍および旅券番号です。
完全に無人にはできない
無人チェックインという言葉から、一度も人が関わらない運営を想像しがちですが、制度はそうなっていません。
観光庁は、長期滞在者には定期的な清掃等の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するようなことがないよう、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないか等について確認するよう求めています。特に宿泊契約が7日以上の場合には、定期的な面会等により確認を行う必要があります。
もう1つ、周辺への説明にも備えが要ります。説明が確実になされるよう、居室内に電話を備え付けること等により、事前説明に応じない宿泊者に対し注意喚起できるようにする必要があるとされています。
非対面で組むなら、7日以上の予約を受けるかどうかと、滞在中に連絡が取れる手段の2つを先に決めてください。
鍵の受け渡しは維持保全の一部
キーボックスやスマートロックといった機器の選び方について、公的な資料で推奨を確認できたものはありません。この記事に特定の機器は挙げていません。
ただし、鍵の扱いが事業者の責任範囲に入ることは示されています。観光庁は、住宅宿泊管理業務に含まれる届出住宅の維持保全について、届出住宅に設ける必要がある台所、浴室、便所、洗面設備が正常に機能すること、水道や電気などのライフラインやドア・サッシ等の設備が正常に機能するよう保全することに加え、空室時における施錠の確保や、住宅または居室の鍵の管理も含まれるとしています。
つまり、鍵の受け渡し方法を決めることは、単なる利便性の工夫ではなく管理業務の一部です。委託している場合は管理業者の業務になり、自主管理なら自分の業務になります。
空室のときに施錠されている状態を保てるかが判断の軸になります。誰でも開けられる場所に鍵を置く運用は、この要件と噛み合いません。
チェックアウトのときにやること
退室の手順そのものを定めた規定はありません。決まっているのは、退室後に行うことです。
寝具のシーツ、カバー等直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替える必要があります。
循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂・24時間風呂など)や加湿器を備え付けている場合は、レジオネラ症を予防するため、宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯は抜き、加湿器の水は交換し、汚れやぬめりが生じないよう定期的に洗浄等を行うなど、取扱説明書に従って維持管理する必要があります。
設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行う必要があります。
ごみの扱いにも決まりがあります。観光庁は、住宅宿泊事業に起因して発生したごみの取扱いは廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い、当該ごみは事業活動に伴って生じた廃棄物として住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければならないとしています。宿泊者が置いていったごみを家庭ごみとして出す運用にはできません。詳細は所管の自治体に問い合わせるよう案内されています。
そして、空室になったら施錠を確保します。次の宿泊者を迎えるまでの間も、維持保全の対象です。
方法を決める順序
チェックインの方法は、次の順に決めると迷いません。
まず対面かICTかを決めます。ICTなら、顔と旅券が鮮明に確認でき、画像の発信元が届出住宅内・近傍・営業所等であると確認できる機器を届出住宅の側に置きます。
次に、旅券の呈示を拒否されたときの手順を決めます。説明して再度求め、それでも拒否されるなら最寄りの警察署に連絡する等の対応です。誰が判断し、誰が連絡するかを決めておきます。
7日以上の予約を受けるかを決めます。受けるなら、定期的な面会等を誰がどう行うかまで決めます。
滞在中に連絡が取れる手段を用意します。居室内に電話を備え付けること等が挙げられています。
鍵の受け渡し方法を、空室時の施錠を確保できる形で決めます。
そのうえで、案内文を作ります。何を書くかは決まっている項目があります。民泊のチェックイン案内で扱っています。
次に読むもの
離れた場所から回す場合の体制は民泊の遠隔運営、日々の業務と頻度は民泊運営の基本、本人確認に使う機器と防犯カメラの違いは民泊に防犯カメラは必要かにあります。
機器の選び方や料金は、製品ごとに条件が異なります。この記事は観光庁が公表しているページの内容を整理したもので、特定の製品を評価するものではありません。導入を決める前に、届出先の自治体へ運用の形を確認してください。
このメディアの運営元について
myHotelsメディアは、民泊予約システムを提供する myHotels が運営しています。 記事は自社サービスの利用を前提にせずに書いており、料金や条件は下のページで確認できます。