民泊運営の基本/解説

民泊運営の基本|到着前から報告まで、いつ何をするか

民泊の運営でやることは、法令が求める措置から逆算すると決まります。到着前・チェックイン・滞在中・チェックアウト後・定期の5つの時点に分け、毎日・毎週・2か月ごとの業務を出典つきで整理しました。

民泊の運営でやることは、感覚では決まりません。法令が求める措置から逆算すると、いつ何をするかが決まります

住宅宿泊事業者に求められる措置は6つです。宿泊者の衛生の確保、宿泊者の安全の確保、外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保、宿泊者名簿の備付け等、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明、苦情等への対応。これに標識の掲示と都道府県知事等への定期報告が加わります。

この記事は、その8つを時点ごとに並べ直したものです。「運営方法を知りたい」「やることを一覧で見たい」という探し方をしている場合も、この記事が対象です。事業者として課される義務そのものの整理は住宅宿泊事業者とはにあります。

営業を始める前に整えるもの

日々の業務に入る前に、置いておくものがあります。

標識を掲げます。届出住宅ごとに、見やすい場所に掲げなければなりません。

説明のための書面か端末を用意します。周辺地域への悪影響の防止として、騒音の防止のために配慮すべき事項、ごみの処理に関し配慮すべき事項、火災の防止のために配慮すべき事項を宿泊者に説明する必要があります。観光庁は、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによるほか、タブレット端末での表示等により、宿泊者が滞在している間に必要に応じて説明事項を確認できるようにするためのものだとしています。必ずしも対面による説明が求められるものではありません

外国語の案内を用意します。外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内、移動のための交通手段に関する情報の提供、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内を行う必要があります。

内容にも定義があります。「移動のための交通手段に関する情報」とは、最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報をいいます。「災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内」とは、消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法の情報を提供することをいいます。

「外国語」の意味も定められています。観光庁は、宿泊予約の時点で日本語以外の言語として提示したものをいうとし、その時点で外国人宿泊者が日本語を指定した場合は外国語で案内等を行う必要はない、としています。世界中の言語を用意する話ではありません。

災害時の通報連絡先については、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付けておく必要があるとされています。端末の中だけに置くなら、停電や通信断のときにどうなるかを考えてください。

標識、説明の書面か端末、外国語の案内、災害時の通報連絡先などを並べた確認リスト
説明は必ずしも対面で行う必要はありません。書面の備付けや端末での表示でも足ります。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」事業者の業務[1](確認日 2026-08-21)

チェックインのときにやること

宿泊者を迎える時点で行うのは、本人確認と名簿への記載です。

観光庁は、宿泊者名簿の正確な記載を確保するための措置として、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて本人確認を行う必要があるとしています。方法は対面か、対面と同等の手段としてのICTです。ICTの要件は民泊に防犯カメラは必要かで扱っています。

名簿に記載するのは、宿泊者の氏名、住所、職業および宿泊日です。宿泊者が国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍および旅券番号を加えます。宿泊者全員を記載する必要があり、代表者のみの記載は認められません。

保存の場所と期間も決まっています。届出住宅、または住宅宿泊事業者の営業所もしくは事務所のいずれかに備え、3年間保存し、都道府県知事から要求があったときは提出しなければなりません。電子データで作成・保管する場合は、紙で出力可能な状態にする必要があります

あわせて、周辺への配慮事項の説明を行います。書面の備付けなどで済ませられるため、対面でなくても構いません。

滞在している間にやること

滞在中の業務は2つあります。

苦情等への対応です。観光庁は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情および問合せについては適切かつ迅速に対応しなければならないとしています。連絡先を周知しておき、受けたら記録する形にしておくと、あとで説明できます。

長期の滞在では確認が要ります。観光庁は、長期滞在者には定期的な清掃等の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するようなことがないよう、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないか等について確認するよう求めています。特に宿泊契約が7日以上の場合には、定期的な面会等により確認を行う必要があります

非対面で回している場合でも、7日以上の予約が入れば会いに行く前提になります。運営体制を決めるときに織り込んでください。

チェックアウトのあとにやること

清掃と交換です。ここは頻度が固定されます。

寝具のシーツ、カバー等直接人に接触するものについては、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと取り替える必要があります。予備を持たないと回りません。

循環式浴槽(追い炊き機能付き風呂・24時間風呂など)や加湿器を備え付けている場合は、レジオネラ症を予防するため、宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯は抜き、加湿器の水は交換し、汚れやぬめりが生じないよう定期的に洗浄等を行うなど、取扱説明書に従って維持管理する必要があります。

設備や備品等については清潔に保ち、ダニやカビ等が発生しないよう除湿を心がけ、定期的に清掃、換気等を行う必要があります。

到着前、チェックイン、滞在中、チェックアウト後、定期の5つの時点で行う業務を順に示した手順図
頻度が固定されているのは、宿泊者が入れ替わるごとの交換と、2か月ごとの報告です。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」事業者の業務[1](確認日 2026-08-21)

2か月ごとにやること

見落としやすいのが定期報告です。

住宅宿泊事業者は、届出住宅ごとに、毎年2月、4月、6月、8月、10月および12月の15日までに、それぞれの月の前2月の内容について都道府県知事等に報告しなければなりません。報告する内容は4つです。

届出住宅に人を宿泊させた日数宿泊者数延べ宿泊者数国籍別の宿泊者数の内訳。定期報告は電子システムを利用して行うことができます。

宿泊者数と延べ宿泊者数は別の数字です。国籍別の内訳は宿泊者名簿から作ることになるため、名簿の記載が雑だと、報告のときに作り直せません。日々の記載を正確にしておくことが、2か月ごとの負担を軽くします。

定期報告をしていない、または虚偽の報告をした者は罰則の対象です。報告徴収に応じない者、虚偽の報告をした者も同様とされています。

なお、電子システムの利用には準備期間が要ります。観光庁は、申込書の提出後2〜3週間程度で定期報告等のシステム利用ができるようになる、としています。営業開始の直前に申し込むと間に合いません。

報告の期限、対象の期間、報告する4項目、提出先、方法を並べた事例カード
国籍別の内訳は宿泊者名簿から作ります。日々の記載が雑だと、報告のときに作り直せません。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」住宅宿泊事業者編(確認日 2026-08-21)

起きたときにやること

頻度は決まっていないが、起きたら必ず行うものがあります。

宿泊者が人から人に感染し、重篤な症状を引き起こすおそれのある感染症に罹患し、またはその疑いがあるときは、保健所に通報するとともに、その指示を受け、その使用した居室、寝具および器具等を消毒・廃棄する等の必要な措置を講じる必要があります。その他、公衆衛生上の問題を引き起こす事態が発生し、またはそのおそれがあるときも、保健所に通報する必要があります。

観光庁は、衛生管理のための講習会を受講する等、最低限の衛生管理に関する知識の習得に努めることも求めています。加えて、住宅宿泊事業の規模や実態に応じて「旅館業における衛生等管理要領」を参考に適切な衛生措置を講じるよう案内しています。

誰が行うかで、この一覧は変わる

ここまでの業務は、すべてを自分で行うとは限りません

届出住宅の居室の数が5を超える場合、または人を宿泊させる間に不在となる場合は、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。委託すると、上の措置は管理業者が行います。

ただし標識の掲示と定期報告は事業者に残ります。委託したから何もしなくてよい、にはなりません。

自分で回せる条件と、そのときの業務は民泊の自主管理、離れた場所から回す場合の仕組みは民泊の遠隔運営で扱っています。委託義務の判定そのものは家主居住型と家主不在型の違いにまとめました。

次に読むもの

事業者としての義務の全体像は住宅宿泊事業者とは、営業日数の数え方と記録は民泊の180日ルールとは、設備の要件は民泊に必要な設備にあります。

条例で実施期間が制限されている地域では、営業できる時期そのものが変わります。届出住宅が所在する都道府県等で条例のルールがあるかを確認してください。この記事は観光庁が公表しているページの内容を整理したものです。

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