チェックイン案内に何を書くかは、好みで決める部分と、決まっている部分に分かれます。決まっているほうから先に埋めると、抜けが出ません。
法令が求めているのは大きく2つです。外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保として伝える3項目と、周辺地域の生活環境への悪影響の防止として説明する4項目です。あわせて、どの方法で置くかにも条件があります。
この記事では、その項目と、置き方の条件を整理します。宿泊者へのごみ捨ての案内も、ここで扱う4項目のひとつです。チェックインの方法そのものは民泊のチェックイン方法、決まりの層と守らせ方は民泊のハウスルールにまとめました。
外国語で伝える3項目
観光庁は、外国人観光旅客である宿泊者の快適性および利便性の確保を図るために必要な措置として、次のことを宿泊者に対して講じる必要があるとしています。
外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること。 外国語を用いて、移動のための交通手段に関する情報を提供すること。 外国語を用いて、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすること。
それぞれ、中身の定義があります。
「移動のための交通手段に関する情報」とは、最寄りの駅等の利便施設への経路と利用可能な交通機関に関する情報をいいます。周辺の観光案内ではなく、移動の手段の話です。
「火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内」とは、消防署、警察署、医療機関、住宅宿泊管理業者への連絡方法の情報を提供することをいいます。4つの連絡先が挙がっています。
「外国語」は全言語という意味ではない
何か国語を用意すべきか、という問いには答えが示されています。
観光庁は、「外国語」とは宿泊予約の時点で日本語以外の言語として提示したものをいうとしています。加えて、その時点において外国人宿泊者が日本語を指定した場合は、外国語で案内等を行う必要はないとしています。
つまり、予約の受付でどの言語を提示しているかが、用意する言語を決めます。世界中の言語を並べる話ではありません。逆に、提示している言語の案内が無ければ足りない、ということでもあります。
周辺への配慮として説明する4項目
もう1つの柱です。観光庁は、住宅宿泊事業者は次の事項を宿泊者に対し、外国人に対しては外国語を用いて、書面の備付けその他の適切な方法により説明する必要があるとしています。
騒音の防止のために配慮すべき事項。想定される内容として、大声での会話を控えること、深夜に窓を閉めること、バルコニー等屋外での宴会を開かないこと、届出住宅内は楽器を使用しないこと等が挙げられています。そのうえで、届出住宅およびその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容を説明することが必要とされています。例をそのまま写すのではなく、その物件に合わせて書く前提です。
ごみの処理に関し配慮すべき事項。宿泊者に対し、届出住宅内で排出したごみについて、当該市町村における廃棄物の分別方法等に沿って、住宅宿泊事業者の指定した方法(届出住宅内の適切な場所にごみを捨てること等を含む)により捨てるべきであること等を説明する必要があるとされています。分別のルールは市町村ごとに違うため、所在地のルールを調べて書くことになります。
火災の防止のために配慮すべき事項。想定される内容として、ガスコンロの使用のための元栓の開閉方法およびその際の注意事項、初期消火のための消火器の使用方法、避難経路、通報措置等が挙げられています。ここも、物件に応じた内容にすることが求められています。
その他届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項。
ごみは事業者の責任で処理する
案内に書く以上に重い話が、ごみには付いています。
観光庁は、住宅宿泊事業に起因して発生したごみの取扱いは廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従い、当該ごみは事業活動に伴って生じた廃棄物として住宅宿泊事業者が責任をもって処理しなければならないとしています。
宿泊者に分別を案内することと、事業者が処理の責任を負うことは別です。宿泊者が置いていったごみを、家庭ごみとして出す運用にはできません。扱いの詳細は所管の自治体に問い合わせるよう案内されています。案内文を書く前に、自治体へ確認してください。
置き方にも条件がある
案内は、作って終わりではありません。どう置くかが決まっています。
観光庁は、「書面の備付けその他の適切な方法」とは、必要な事項が記載された書面を居室に備え付けることによるほか、タブレット端末での表示等により、宿泊者が届出住宅に宿泊している間に必要に応じて説明事項を確認できるようにするためのものだとしています。このため、必ずしも対面による説明が求められるものではありません。
置き場所にも指示があります。書面等の備付けにあたっては、宿泊者の目につきやすい場所に掲示する等により、宿泊者の注意喚起を図る上で効果的な方法で行う必要があるとされています。引き出しの中に入れておく、では足りません。
さらに、応じない宿泊者への備えも求められています。当該説明が確実になされるよう、居室内に電話を備え付けること等により、事前説明に応じない宿泊者に対し注意喚起できるようにする必要があるとされています。
災害時の連絡先については別の注意があります。措置の実施にあたっては書面の備付けやタブレット端末への表示等により滞在中に必要に応じて閲覧できる方法によるようにしたうえで、特に、災害時等の通報連絡先においては、緊急時にすみやかに確認することが可能なものを備え付けておく必要があるとされています。端末の中だけに置くと、停電や通信断のときに参照できません。
文例は載せません
この記事に、そのまま使える案内文の文例は載せていません。文例そのものを示した公的な資料を確認できなかったためです。
騒音とごみと火災については、いずれも届出住宅およびその周辺地域の生活環境に応じ適切な内容を説明することが求められています。ごみの分別方法は市町村ごとに違い、避難経路は建物ごとに違い、ガスコンロの有無も物件で変わります。汎用の文例を写すと、その物件では成り立たない案内になります。
代わりに、書くべき項目は上のとおり決まっています。項目を埋める形で、自分の物件の内容を書いてください。
案内に入れておくと、他の義務とつながるもの
法令が案内文そのものを求めているわけではないが、書いておくと運営が回るものがあります。
避難経路の表示。宿泊者の安全の確保として、非常用照明器具の設置とあわせて避難経路の表示が求められています。表示にあたっては、市町村の火災予防条例により規制される地域もあることから、当該条例の規制内容を確認し、規定された事項を表示に盛り込む必要があるとされています。案内文と表示は別物ですが、内容はそろえておくほうが伝わります。
標識。届出住宅ごとに、見やすい場所に標識を掲げなければなりません。案内文とは別に、掲示が要ります。
設備の使用方法。外国語での案内が求められている項目です。操作が複雑な機器を置くほど、案内の分量が増えます。設備を選ぶ段階から効いてきます。設備の要件は民泊に必要な設備にまとめています。
作る順序
案内は、次の順に作ると漏れません。
自治体のごみの分別ルールを調べる。市町村ごとに違うため、ここが最初です。あわせて、事業系の廃棄物としての処理方法も確認します。
物件の避難経路と、火災時の注意事項を書き出す。市町村の火災予防条例の規制内容も確認します。
設備の使用方法を書く。置いている機器を一つずつ挙げます。
最寄りの駅等への経路と交通機関を書く。
消防署、警察署、医療機関、管理業者の連絡方法を書く。これは緊急時にすぐ見られる形で、紙でも置きます。
騒音について、その物件に合わせた内容を書く。共同住宅なら上下左右への配慮、戸建てなら屋外での音、というように変わります。
予約時に提示している言語で用意する。日本語を指定した宿泊者には外国語の案内は不要です。
そのうえで、目につきやすい場所に置き、滞在中に連絡が取れる手段を用意します。
次に読むもの
チェックインの方法そのものは民泊のチェックイン方法、日々の業務と頻度は民泊運営の基本、設備の要件は民泊に必要な設備にあります。
ごみの扱いと火災予防の規制は、市町村によって内容が異なります。この記事は観光庁が公表しているページの内容を整理したものです。案内文を作る前に、届出住宅の所在する自治体と、管轄の消防署へ確認してください。
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