宿泊者名簿は、届出のときに作る書類ではありません。営業を始めたら、宿泊のたびに書き足していくものです。
決まっているのは、書く項目、書かせ方、置く場所、置いておく期間、そして出すよう求められる場面です。「書き方」も「保存期間」も、この記事で扱います。順に見ていきます。
鍵を渡す前に本人確認を終える必要がある点は民泊の鍵の受け渡しにまとめました。この記事は名簿そのものの扱いを扱います。
名簿に記載する項目
観光庁の民泊制度ポータルサイトは、住宅宿泊事業者は正確な記載を確保するための措置を講じた上で、宿泊者名簿に次の項目を記載する必要があるとしています。
宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日。
宿泊者が国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号。
書き方について、2つの指定があります。
宿泊者名簿には、宿泊者全員を記載する必要があり、代表者のみの記載は認められません。 4人で泊まるなら4人分です。
宿泊契約(宿泊グループ)ごとに宿泊者が分かるように記載することとされています。誰と誰が同じ予約なのかが読み取れる形にします。
なお、宿泊者名簿の推奨様式が公表されています。自分で様式を起こす前に、そちらを確認するのが早道です。
国内に住所を有しない外国人には、作業が増える
同じ宿泊者でも、扱いが分かれます。
日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、宿泊者名簿の国籍及び旅券番号欄への記載を徹底し、旅券の呈示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存することとされています。
負担を軽くする扱いもあります。旅券の写しの保存により、当該宿泊者に関する宿泊者名簿の氏名、国籍及び旅券番号の欄への記載を代替することもできます。写しを保存するなら、その3つの欄を書き写す作業は省けるということです。
呈示を断られた場合の手順も示されています。営業者の求めにも関わらず、当該宿泊者が旅券の呈示を拒否する場合は、当該措置が国の指導によるものであることを説明して呈示を求め、さらに拒否する場合には、当該宿泊者は旅券不携帯の可能性があるものとして、最寄りの警察署に連絡する等適切な対応を行うこととされています。
判断に迷いやすい場面なので、断られたときにどうするかを、対応する人へ先に共有しておくほうが安全です。
「正確な記載を確保するための措置」が本人確認
名簿の項目より前に、書かせ方の要件があります。
正確な記載を確保するための措置として、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて本人確認を行う必要があるとされています。
本人確認は、対面または対面と同等の手段として、次のいずれも満たすICTを活用した方法等により行う必要があります。
A 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
B 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること。
方法の例として、届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法が挙げられています。あわせて、宿泊者に対し、宿泊者名簿への正確な記載を働きかけることとされています。
予約サイトに入力された情報をそのまま名簿に写すだけでは、この措置を満たしたことになりません。非対面での進め方は民泊のチェックイン方法にまとめました。
備え付ける場所と、3年間の保存
作った名簿をどこに置くかも決まっています。
置き場所は、届出住宅、または住宅宿泊事業者の営業所又は事務所のいずれかです。ここでいう営業所または事務所とは、住宅宿泊事業者の住宅宿泊管理業務の拠点等を指すとされています。
期間は3年間です。そして、都道府県知事から要求があったときは、提出しなければなりません。
電子で持つこともできます。宿泊者名簿を電子データで作成、保管する場合、紙で出力可能な状態にする必要があります。クラウド上で管理するなら、求められたときに印刷できる状態を保っておくということです。
警察官から閲覧を求められたとき
もう1つ、対応が定められている場面があります。
警察官からその職務上宿泊者名簿の閲覧請求があった場合には、捜査関係事項照会書の交付の有無に関わらず、当該職務の目的に必要な範囲で協力することとされています。
そのうえで、当該閲覧請求に応じた個人情報の提供は、捜査関係事項照会書の交付を受けない場合であっても、個人情報の保護に関する法律に基づく適正な措置であり、本人の同意を得る必要はないものと解されるとされています。
宿泊者の同意を取っていないことを理由に断る必要はない、という整理です。
名簿に載っていない人が泊まっていないか
名簿は、書いた時点で完結しません。
長期の滞在について、定期的な清掃等の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するようなことがないよう、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないか等について確認するようにされています。
さらに、宿泊契約が7日以上の場合には、定期的な面会等により上記の確認を行う必要があると明記されています。
長期の予約を受けるかどうかは、この確認を回せるかで決まります。
委託しているときは、名簿も管理業者の業務
自分で管理していない場合の扱いです。
委託義務の対象となる住宅宿泊管理業務の範囲は、法第5条から第10条までの規定による業務および届出住宅の維持保全に関する業務とされています。宿泊者名簿の備付け等はこの範囲に含まれます。
そして委託するときは、一の住宅宿泊管理業者に委託しなくてはならず、複数の者に分割して委託することや、住宅宿泊管理業務の一部を住宅宿泊事業者が自ら行うことは認められません。「名簿だけは自分で持つ」という形は取れない、ということになります。
委託が要らない場合、たとえば自ら管理業務を行う居室の数の合計が5以下であるときなどは、事業者自身が名簿を備え付けます。届出後に続く業務の全体は住宅宿泊事業者とはにまとめました。
用意する順序
名簿まわりは、次の順に決めると迷いが減ります。
様式を決める。 推奨様式が公表されています。氏名・住所・職業・宿泊日に加え、国籍と旅券番号の欄、そして宿泊契約ごとの区切りが入っているかを確かめます。
本人確認の手段を決める。 対面にするか、顔と旅券が鮮明に確認でき、かつ画像が届出住宅内または近傍から発信されていることが確認できるICTにするか。ここが決まらないと、名簿を正確に埋められません。
旅券の写しを保存するかを決める。 保存するなら、氏名・国籍・旅券番号の欄への記載を代替できます。保存しないなら、その3つを毎回書き写します。
置き場所を決める。 届出住宅か、営業所または事務所か。電子で持つなら、紙で出力できる状態を保ちます。
3年分をためられる形にする。 宿泊のたびに増えていきます。都道府県知事から要求があったときは提出しなければならないため、古い分もすぐ取り出せる並べ方にしておきます。
長期の予約をどう扱うか決める。 7日以上の宿泊契約では、定期的な面会等による確認が必要になります。
次に読むもの
鍵を渡す前後の順序は民泊の鍵の受け渡し、非対面での本人確認は民泊のチェックイン方法、届出後に続く義務の全体は住宅宿泊事業者とはにあります。
この記事は観光庁の民泊制度ポータルサイトが公表しているページを整理したものです。様式や保存の方法について判断に迷う場合は、届出先の都道府県知事等の窓口へ確認してください。
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