Googleホテル広告は、Google検索やGoogleマップでホテルを探している人に、自分の予約サイトへのリンクを料金つきで表示させる有料の枠です。Googleのホテル検索には、同じ場所に無料の予約リンクも並びます。両者の違いは、入札をして順位を買うかどうかです。広告のほうは、リンクがクリックされたときに費用が発生し、その単価の決め方を入札戦略として選びます。
誤解されやすい点を先に書いておきます。ホテル広告は、施設の情報をGoogleに登録すれば出せるものではありません。宣伝するホテルのリスト、旅程ごとの料金、クリックされたときに開くランディングページの3つをHotel Centerに揃え、そのアカウントをGoogle広告のアカウントにつないで初めてキャンペーンを作れます。また、どれくらいの費用でどれだけ予約が入るかという目安は、今回参照したGoogleのヘルプには載っていませんでした。この記事でも効果の数字は扱いません。
この記事では、広告が表示される場所と無料の予約リンクとの違い、4つの入札戦略と課金のタイミング、Googleが示している1泊単位の計算例、出稿までに揃えるものの順番、そして民泊の運営者が先に確かめておくことを、公式ヘルプの記述に沿って順に見ていきます。
ホテル広告は、ホテル検索の予約モジュールに入札で載る枠
Hotel Centerのヘルプは、ユーザーがGoogle検索、Googleマップ、またはYouTubeでホテルを検索すると、ホテルの写真、ホテル名、料金、地図が記載されたホテル検索モジュールが表示される、と説明しています。ホテル キャンペーンの広告は、ここにホテルの写真、設備、料金、ホテルを予約するためのリンクを含む形で出ます。広告の中に並ぶのは、会社の名前、ホテル名、料金、テキストのコールアウトです。
では、そのリンクは画面のどこにあるのか。Googleは、予約リンクが表示される場所として、検索結果、「[数字]軒のホテルを表示」をクリックしたあとの詳細な検索結果ページ、個別のホテルをクリックしたときのホテルの詳細ページを挙げています。ホテルの詳細ページには「予約モジュール」があり、宿泊料金と、特定のチェックイン日と部屋の宿泊人数でホテルの部屋を予約するためのリンクが含まれます。有料の予約リンクには「広告」バッジのラベルが表示されます。
ホテル キャンペーンの開始方法を説明したページでは、入札単価を設定して、Google検索とGoogleマップのホテル検索結果とともに表示される広告を獲得するためのオークションに参加できる、と書かれています。ここで大事なのは「オークション」という言葉です。ホテル広告は、掲載料を払えば決まった位置に出る枠ではありません。同じ施設、同じ日程を売りたいほかの事業者と、表示の機会を競り合う仕組みです。自分の施設を載せている予約サイトも、同じ施設の広告を出している可能性があります。
無料の予約リンクとの違いは、費用と並び順の決まり方
同じ予約モジュールには、無料の予約リンクも並びます。Googleは、既存の予約モジュール内で、ホテル広告の横に無料の予約リンクが表示されることがある、と説明しています。無料の予約リンクは「すべてのオプション」の中に出ます。見た目が近いので混同しやすいのですが、費用と順位の決まり方はまったく別です。
費用について、Googleは無料の予約リンクがクリックされても費用はかからない、と明記しています。これらのリンクの掲載やユーザーのエンゲージメントに関しても費用を請求することはない、とされています。
順位の決まり方も違います。有料の広告はGoogleの広告オークションに応じてランク付けされ、無料の予約リンクはユーザーにとっての利便性に基づいてランク付けされます。そのうえでGoogleは、入札単価が無料の予約リンクのランキングに影響することはありませんと書いています。広告にお金をかけても、無料枠の並びが上がるわけではない、ということです。
2つは対立するものではありません。Googleは、ホテル キャンペーンに入札し、料金の設定とランディングページがある宿泊施設であれば、無料の予約リンクを利用できる、と説明しています。広告を出すために整える料金とランディングページは、無料の予約リンクでもそのまま使われます。そのため、多くの施設にとっての順番は「まず無料の予約リンクに載る状態を作り、広告は必要になってから検討する」になります。無料の予約リンクに載るまでの条件と、民泊がGoogle上でどのカテゴリに置かれるかは、Googleから直接予約につなげる方法で詳しく扱っています。
課金はクリックのとき。単価の決め方は4つの入札戦略から選ぶ
ホテル広告の費用を考えるとき、最初に押さえるのはいつ課金されるかです。Google広告ヘルプの「ホテル広告の単価設定の概要」は、ホテル キャンペーンで使える入札戦略を4つ挙げ、支払いが発生するタイミングをすべて「クリック」としています。予約が入ったときでも、宿泊が終わったときでもありません。広告がクリックされ、利用者が自分のランディングページへ移った時点で費用がかかります。
4つの違いは、1クリックあたりの単価を誰がどう決めるかです。
| 入札戦略 | 種類 | 単価の決め方 | 設定する階層 | 前提になるもの |
|---|---|---|---|---|
| 目標広告費用対効果 | 自動 | リアルタイムのデータに基づいて入札単価を自動的に最適化し、コンバージョン値を最大化する | キャンペーン | コンバージョン トラッキングと、購入コンバージョンの値(全予約金額) |
| 拡張クリック単価 | 半自動 | デバイスの種類や時間帯などのオークションごとのシグナルを使い、入札単価を自動で調整する | 広告グループ、ホテルグループ | コンバージョン トラッキング。最適なパフォーマンスには1週間に30回以上のコンバージョン |
| 個別クリック単価 | 手動 | 旅行者が広告をクリックしたときに支払う固定額を指定する | 広告グループ、ホテルグループ | - |
| 割合クリック単価 | 手動 | 税金とサービス料を含めた1泊の合計料金に対する割合で指定する | 広告グループ、ホテルグループ(キャンペーン単位では上限のみ) | - |
自動と半自動の2つは、予約が何件、いくらで入ったかをGoogle広告が計測できていることが前提です。Googleは、スマート自動入札戦略では、コンバージョン トラッキングと購入コンバージョンの値(全予約金額)が必須で、コンバージョン カテゴリを[購入]に設定する必要がある、としています。スマート自動入札を初めて試すときは、キャンペーンを2週間以上実施してからパフォーマンスを評価するよう求めています。予約エンジンが予約金額を広告側へ渡せない構成なら、選べるのは実質的に手動の2つです。
手動の2つのうち、個別クリック単価は金額を、割合クリック単価は料金に対する比率を決めます。料金の高い日ほど単価を上げたいなら割合、日程によらず一定にしたいなら個別、という考え方になります。どちらが得かはGoogleのヘルプでは示されておらず、施設の料金の幅によって変わります。
入札額は1泊ごとに決まり、泊数ぶん足し合わされる
ホテル広告の入札で見落としやすいのが、入札単価はすべて1泊単位という点です。Googleは、最終的な入札額はエンドユーザーが選択した旅行プランの泊数を入札単価に掛けた金額になる、と説明しています。同じ設定でも、1泊の検索と3泊の検索とでは、1クリックあたりの入札額が変わります。
Googleのヘルプは、1泊目10,000円、2泊目9,000円、3泊目8,000円という3泊の旅程を例に、2つの手動の入札戦略を比べています。
個別クリック単価を1泊100円にした場合、3泊とも同じ額が並び、合計は300円です。割合クリック単価を1.4%にした場合は、10,000円の1泊目が140円、9,000円の2泊目が126円、8,000円の3泊目が112円となり、合計は378円です。料金が泊ごとに違う施設では、割合のほうが料金の動きに合わせて入札額が動きます。
拡張クリック単価を重ねると、ここからさらに動きます。Googleの例では、上限クリック単価を100円に設定し、滞在日数3の指定で広告がクリックされた場合、3泊分の合計入札単価が300円になります。そこにデバイスの入札単価調整(パソコン +20%)がかかると、有効上限クリック単価は360円です。Googleは、有効上限クリック単価が設定した基本値を上回ることもよくある、と書いています。1泊の単価だけを見て予算を組むと、実際の入札額との差に驚くことになります。
なお、これらの金額は仕組みを説明するためにGoogleが置いた例です。日本の宿泊施設が実際にいくらで入札しているか、1クリックの平均がいくらかといった数字は、今回参照したヘルプには載っていませんでした。
コミッション型の入札戦略は、新しく選ぶ前提にしない
ホテル広告には、クリックではなく予約や宿泊に対して手数料を払う「コミッション」型の入札戦略がありました。Google広告ヘルプには、コンバージョン課金型と宿泊課金型の2つのページが残っています。宿泊課金型は、ユーザーが実際にホテルに滞在したときにのみ料金が発生する入札戦略で、キャンセルした予約に対しての料金は請求されない、と説明されています。
ただし、コンバージョン課金型のページの冒頭には、ホテル広告のコミッションに基づく入札戦略のサポートが終了する旨の案内が表示されています。現在の「ホテル広告の単価設定の概要」に並んでいるのは、前の節の4つで、いずれもクリック時の課金です。予約サイトの手数料と同じ感覚で「予約が入ったときだけ払う広告」を想定していると、前提が合いません。これから始めるなら、クリック課金の4つから選ぶものとして予算を考えてください。サポート終了の日付を示した個別の案内ページは、今回の確認時には開けなかったため、この記事では日付を書いていません。
出稿までに揃えるものは、上の段から順に
ホテル キャンペーンを作る前に必要なものは、Hotel Centerのヘルプにまとまっています。宣伝するホテルのリスト、さまざまな旅程の最新の価格セットである料金、そして広告をクリックしたときにユーザーに表示されるランディングページです。これらはHotel Centerで管理し、Hotel CenterのアカウントをGoogle広告のアカウントにリンクします。予算、キャンペーン、広告グループ、ホテルグループ、入札単価、レポートの管理はそのうえで行います。
Google広告ヘルプの「ホテル キャンペーンを作成する」は、初めてホテル キャンペーンを作るときの前提として、ホテルリストとホテル料金をHotel Centerで統合するか、統合パートナーが作成したHotel Centerアカウントにリンクする必要がある、としています。料金を自分でGoogleへ送る仕組みを持たない施設は、統合パートナー、つまり予約エンジンやサイトコントローラーなどの連携先を通す形になります。Hotel Centerのヘルプも、接続パートナーと連携して料金と空室情報をリアルタイムでGoogleに送信する、という組み立てを示しています。
キャンペーンの作成では、目標と広告の種類としてホテル広告を選び、Hotel Centerのアカウントを選択します。キャンペーンの階層で決めるのは、入札戦略、予算額、デバイス、地域です。ネットワークはGoogle検索ネットワークのみになります。広告グループの階層では入札単価を決め、作った時点ではその単価が「すべてのホテル」に適用されます。ホテルグループは既定で「すべてのホテル」が1つ作られ、あとから分割して施設ごとに入札を変えられます。1施設だけの運営なら、分割せずに使う場面が多いはずです。
民泊の運営者が、広告を検討する前に確かめること
ここまではGoogleがホテル向けに書いている説明です。民泊の運営者が同じことを考えるときは、いくつか手前で確かめることがあります。
| 確かめること | 公式資料に書かれていること | 民泊での読み方 |
|---|---|---|
| Google上のカテゴリ | 宿泊施設はホテル、民泊、屋外宿泊施設の3つに分かれる | 常駐のスタッフがいない施設はホテルの条件に当たらない。自分がどこに置かれるかを先に確かめる |
| 民泊として載る入口 | 直接予約サイトを所有する登録済みの物件管理業者か、Googleの民泊に統合されている予約サイトに掲載済みの場合 | 共有ルーム、一軒家の一室、個人対個人のレンタルは統合の対象外とされている |
| 自分で予約を受けてよいか | 仲介業者を通さずに事業者が自ら予約を受け付けることは「可能です」 | 広告のリンク先を自社の予約ページにすること自体は、制度上の妨げにならない |
| 表示する料金 | 消費者にあらかじめ価格を表示する場合は、消費税額を含めた総額の表示が義務付けられている | 広告とランディングページの料金は、税込の総額でそろえておく |
1行目と2行目は、Googleの分類の話です。Hotel Centerのヘルプは宿泊施設を3つのカテゴリに分け、フロントデスクがあり、マネージャーやオーナーが施設に常駐していることなどをホテルとして掲載する条件としています。民泊のスタートガイドには、民泊として掲載できる対象と、統合の対象外になる形態が書かれていますが、民泊のカテゴリに置かれた施設がホテル キャンペーンの広告をどう出せるかについての記述は、今回確認したページには見当たりませんでした。民泊として扱われる施設が、この記事のホテル キャンペーンの手順をそのまま使えるかどうかは確認できていません。検討するときは、連携先のパートナーかGoogleのヘルプで、自分の施設のカテゴリで広告が使えるかを先に確かめてください。
3行目は日本の制度の話です。観光庁の民泊制度ポータルサイトは、仲介業者を通さずに事業者が自ら予約を受け付けてもよいかという問いに「可能です。」と答えています。広告のリンク先を自社の予約ページにするのは、この自ら予約を受け付ける形です。自社で受ける場合に予約ページへ何を載せるかは自社予約サイトの作り方を、集客の経路全体の中で広告がどこに位置づくかは民泊の集客方法を参照してください。
4行目の料金は、割合クリック単価の計算にも関わります。Googleは、割合クリック単価の基準を税金とサービス料を含めた1泊の合計料金としています。国税庁は、事業者が消費者に対してあらかじめ価格を表示する場合に、消費税額を含めた価格を表示することが義務付けられていると説明しています。Googleへ渡す料金、広告に出る料金、ランディングページの料金の3つが食い違っていないかは、出稿の前に必ず見ておくところです。自社サイトの料金の見せ方を検討しているなら、最低価格保証を掲げる前にもあわせて読んでください。
この記事で確認できなかったこと
ホテル広告の1クリックあたりの平均的な費用、クリックから予約に至る割合、広告を出した場合と出さない場合の予約数の差は、今回参照したGoogleのヘルプには載っていませんでした。そのため、費用対効果の目安は書いていません。予算を決めるときは、少額で始めて自分の施設の数値を計測するのが確実です。
Googleの民泊カテゴリに置かれた施設でホテル キャンペーンを使えるかどうか、日本国内で連携できる統合パートナーの一覧、コミッション型の入札戦略のサポート終了の日付も、今回は確認できていません。広告の仕様と入札戦略の選択肢は改定されることがあります。この記事の記述は2026年9月22日に各ヘルプページを確認した時点のものです。着手するときは、出典のページを開き直してから設定してください。
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