Instagram集客/解説

民泊のInstagram集客|投稿に載せる素材を、公開前に判定する

Instagramの投稿は宿の紹介であると同時に表示です。部屋に写り込んだ他人の著作物、人が写った写真、実物との差、第三者に投稿してもらったものという4つの関門を、文化庁・消費者庁・個人情報保護委員会とInstagram公式の資料で判定する順に並べます。

民泊のInstagram集客|投稿に載せる素材を、公開前に判定する - myHotelsメディア

Instagramで民泊の集客を始めるとき、たいてい最初に悩むのは投稿の頻度と見栄えです。ただ、そこから入ると、公開したあとにしか気づけない問題が残ります。宿の写真には、自分のもの以外が必ず写るからです。壁に掛けた絵、棚に置いた本、つけっぱなしのテレビ、窓の外の景色、そして人。さらにその1枚は、宿の紹介であると同時に、日本の法令から見れば「表示」として扱われます。

先に結論を書きます。Instagram集客で最初に決めるべきなのは投稿の本数ではなく、1枚を公開してよいかを判定する手順です。関門は4つあり、それぞれ別の資料が答えを持っています。写り込んだ他人の著作物は著作権法、人が写った写真と他人が撮った写真は個人情報保護法と著作権法、実物との差は景品表示法、第三者に投稿してもらったものはステルスマーケティングに関する消費者庁の資料です。順番に通せば、投稿のたびに迷う場面が減ります。

あわせて断っておきます。どう投稿すれば予約が増えるかを示す公的な資料は、今回の調査では見つけられませんでした。投稿の頻度、時間帯、ハッシュタグの数と予約件数の関係についても同じです。そのためこの記事では、効果の大小やコツを扱いません。扱うのは、公開の前に確かめられること、つまり止める理由があるかどうかです。集客の経路全体の見取り図は民泊の集客方法に、Instagramから予約へつなぐ導線の作りはSNSから直接予約につなげるにあります。

関門 判定するもの 答えを持っている資料
1 部屋に写り込んだ他人の著作物 文化庁「写り込み」等に係る規定の整備について(著作権法第30条の2)
2 人が写っている写真、他人が撮った写真 個人情報保護委員会のよくある質問、文化庁「他人の著作物を利用したい場合など」
3 写真・動画と実物の差 消費者庁 景品表示法第5条第1号・第2号、不実証広告規制
4 第三者に投稿してもらったもの 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」

4つは順番に並んでいます。1と2はそもそも使える素材か、3と4は使える素材をどう見せるかの話です。素材の側で止まるものは、見せ方をいくら工夫しても通りません。

関門1:部屋に写り込んだ他人の著作物

宿の室内を撮ると、自分が用意したものだけが写るわけではありません。壁に掛けた版画、置いてある写真集、テレビに映っている番組、リールを撮っているあいだに流れていた音楽。これらは他人の著作物です。

出発点は、文化庁が「他人の著作物を利用したい場合など」で示している原則です。文化庁は、権利制限の規定などに当てはまらない場合、著作物を利用するためには原則として権利者の許諾を得ることが必要となるとしています。写真に写ったものをそのままインターネットへ載せる行為も、この原則の外にはありません。

そのうえで、撮影のときに避けようがなく入ってしまうものについては、著作権法第30条の2に「写り込み」の規定があります。文化庁の解説は、対象となる行為を、写真の撮影、録音又は録画の方法によって著作物を創作するに当たって、当該著作物に係る撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物の複製・翻案および利用としています。

この規定に乗せるには、3つの要件が要ります。ひとつ目は分離困難性で、文化庁は、創作時の状況に照らして、付随して対象となった他の著作物を除いて創作することが、社会通念上困難であると客観的に認められることとしています。ふたつ目は軽微性です。ここで大事なのは、文化庁が「軽微な構成部分」であるか否かについて、著作物の種類等に照らし個別の事案に応じて判断されるものであり、あらかじめ定量的な割合が決まっているものではない、としている点です。「画面の何割まで」という線引きは、公表資料には見当たりません。みっつ目は、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、あるいは将来における著作物の潜在的販路を阻害するか、という観点からの判断です。

著作権法第30条の2が定める分離困難性・軽微性・著作権者の利益を不当に害しないことの3要件を縦の軸にとり、部屋の撮影で写り込みとして扱える側の例と、許諾の検討が必要になる側の例を左右に並べた比較図
3つの要件は同時に満たす必要があります。右列は、文化庁が「本来の撮影対象として撮った場合」として挙げている方向へ寄っていく例です。 出典:文化庁「いわゆる『写り込み』等に係る規定の整備について」(確認日 2026-09-23)

文化庁は、対象となる場合の例として、背景に小さくポスターや絵画が写り込む写真、ビデオ収録時に音楽がたまたま録り込まれる場合、写り込んだ絵画の写真をブログに掲載することを挙げています。反対に、本来の撮影対象としてポスターや絵画を撮影した写真をブログに掲載する場合や、重要なシーンで積極的に見せる意図をもって設置された絵画が収録された場合は、著作権者の許諾が必要となるケースとして示されています。

民泊の投稿で境目に立ちやすいのは、部屋の雰囲気を作るために置いたものです。壁のアートを見どころとして紹介したい、置いてある絵本を「お子さま連れに」と見せたい。この動機が入った瞬間、その著作物は付随ではなく撮影対象に近づきます。迷ったら、その1枚から作品を外して撮り直せるかを考えるのが実際的です。外しても投稿の意図が成り立つなら、外して撮るほうが早く済みます。

なお、リールの音源は写り込みとは別の話です。Instagramが用意している音源を使うのか、自分で録った音に街の音楽が入ったのかで、見るべき資料が変わります。前者はサービスの利用条件の話、後者がここで扱った写り込みの話です。備品や設備をどこまで置くかという判断そのものは民泊に必要な設備で扱っています。

関門2:人が写っている写真と、他人が撮った写真

2つ目の関門は人です。ここは2方向から見ます。写っている人の話と、撮った人の話です。

写っている人については、個人情報保護委員会の説明が出発点になります。委員会は、「特定の個人を識別することができる」とは、社会通念上、一般人の判断力や理解力をもって、生存する具体的な人物と情報との間に同一性を認めるに至ることができることをいいますとしています。顔がはっきり写った写真は、この基準に当てはまり得ます。宿泊者の顔が入った1枚を投稿に使うということは、個人情報を公開するという意味になります。

住宅宿泊事業者にとって厄介なのは、宿泊者の情報が最初から手元にあることです。宿泊者名簿には氏名や住所が記載されています。名簿と写真が結びつく状態で扱うなら、法令上の義務で集めた記録を別の目的へ回すことになります。利用目的の特定と通知・公表、そして本人の同意をどう取るかは、民泊のインバウンド集客で名簿を分析に使う場合として整理しました。投稿も同じ構造なので、そちらを先に読んでください。名簿そのものの作り方は民泊の宿泊者名簿にあります。

実務としては、人を写さない、または本人が判別できない形で撮る、という選び方が最も手数の少ない進め方になります。滞在中の様子を伝えたいときも、手元だけ、後ろ姿だけ、無人の部屋だけで成り立つ構図はたいてい作れます。

もう一方の、撮った人の話が、意外に見落とされます。宿泊者が撮った写真の著作者は、撮った宿泊者です。タグ付けしてもらった写真を自分のアカウントへ載せ直す、いわゆるリポストは、他人の著作物の利用にあたります。文化庁が示すとおり、権利制限の規定に当てはまらない場合、利用には原則として権利者の許諾が必要です。「タグを付けてくれたから使ってよい」という決まりは、公表されている資料には見当たりません。

そのため、宿泊者の投稿を使いたいなら、使う前に本人へ確認するのが筋になります。あわせて、その写真に他の宿泊者や近隣の人が写っていないかも見ます。ここで2つの関門が重なるためです。確認の手間を減らしたいなら、滞在中の約束ごととは別に、投稿の引用についての依頼文を用意しておくと毎回の判断が短く済みます。約束ごとの決め方は民泊のハウスルールにまとめてあります。

関門3:写真・動画と実物の差は「表示」として見られる

素材が使えると決まったら、次は見せ方です。ここから先は景品表示法の話になります。

消費者庁は、商品・サービスの品質、規格その他の内容についての不当表示を優良誤認表示として、景品表示法第5条第1号で禁止しています。同庁の説明では、実際のものよりも著しく優良であると示すもの、事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すものが該当します。価格その他の取引条件についての不当表示は有利誤認表示として、同法第5条第2号で扱われます。

Instagramの投稿は、この「表示」から外れるものではありません。むしろ写真と動画が中心の場なので、言葉で書いていないことまで伝わってしまうという特徴があります。広角で撮った居室、強く補正した明るさ、季節のよい日に撮った窓の外。どれも嘘を書いたわけではないのに、実際に着いた人の印象と離れることがあります。

もうひとつ、消費者庁が示している仕組みを知っておくと判断が早くなります。不実証広告規制です。消費者庁長官は事業者に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています。資料の提出がない場合、その表示は不当表示とみなされます。言い換えると、書いた側に説明を用意しておく責任がある、ということです。

投稿でやりがちなこと 近いのはどちらか 公開前に確かめること
明るさ・色を強く補正した室内写真 第5条第1号(内容の表示) 実際に部屋で見える状態と差が出ていないか
広角レンズで広く見せた居室 第5条第1号 掲載している面積・定員と印象が合っているか
「駅から徒歩○分」と書いた投稿 第5条第1号 自分で歩いて測った値か。経路はどこを通ったか
「近隣で最安」と書いた投稿 第5条第2号(取引条件の表示) 比較した相手、期間、条件を示せるか
「満足度No.1」と書いた投稿 第5条第1号・第2号 誰が、いつ、どう測った数字かを資料で出せるか

表の右端が、そのまま不実証広告規制への備えになります。資料を出せない言葉は、最初から書かない。これがいちばん手数の少ない対処です。宿の良さを伝えたいときは、優劣を主張する言葉ではなく、設備や条件をそのまま書くほうが確実です。同じ考え方は地図の側でも変わらず、Googleマップでの扱いは民泊のMEO対策で整理しています。

関門4:第三者に投稿してもらったものは誰の表示か

4つ目は、Instagramでいちばん使われている手のひとつ、招待して投稿してもらう場合です。無料または割引で泊まってもらい、感想を投稿してもらう。この形には、消費者庁が公表しているステルスマーケティングに関するQ&Aが直接答えています。

同Q&Aは、インフルエンサーとのやり取りの内容、無償提供の内容、無償提供の目的、取引関係の有無等の個別具体的な事情によっては、インフルエンサーの自主的な意思による表示内容とは認められず、「事業者の表示」に当たると判断される場合がありますとしています。事業者の表示に当たる場合は、事業者の表示であることを明瞭にする必要があります。

反対の側も示されています。同Q&Aは、事業者の依頼に応じて行うものではなく、自主的な意思に基づいて表示(投稿)を行う場合、当該投稿は「事業者の表示」に当たらないため、「PR」等と記載する必要はないとしています。つまり分かれ目は投稿の内容ではなく、事業者と投稿者のあいだに何があったかです。

宿泊者やインフルエンサーの投稿について、事業者とのあいだに依頼・無償提供・取引関係があるかを見て、自主的な意思による表示と認められる側と認められない側に分かれ、認められない側では事業者の表示であることを明瞭に表示する必要があることと、明瞭にする方法の例を示した分岐図
判定の順序です。中央の箱に並べた4項目は、消費者庁が個別具体的な事情として挙げているものです。右下は、明瞭にする方法として同Q&Aが示している例です。 出典:消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」(確認日 2026-09-23)

表示の書き方には幅があります。同Q&Aは、「広告」、「宣伝」、「プロモーション」、「PR」以外の用語を記載する方法が禁止されているものではないとし、たとえば「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章で記載する方法も適切な対応であることを示しています。宿泊であれば、提供を受けた事実がそのまま伝わる文で足ります。

運用の面では、投稿してもらう前に決めておくと後戻りが減ります。事業者の表示に当たると考えるなら、その前提で依頼し、表示を入れてもらう。投稿者の側に任せきりにせず、どう書くかまで含めて話しておきます。後から消してもらうのは、投稿が広がったあとでは間に合いません。

Instagramの面でできることと、その外側

ここまでが素材と見せ方の話です。最後に、Instagramの側で何が用意されているかを見ておきます。ここを把握しておくと、どこから先が自分の仕事なのかがはっきりします。

まずアカウントです。Instagramヘルプセンターは、プロアカウントについて、アカウントの成長、収益化、広告の作成、成長の把握、メッセージの管理に役立つ機能が使えると説明しています。ビジネスアカウントは小売店、ローカルビジネス、ブランド、組織、サービスプロバイダーに最適、クリエイターアカウントは著名人、コンテンツプロデューサー、アーティスト、インフルエンサーに最適とされています。プロフィールでは、カテゴリラベルと連絡先情報の表示・非表示を設定できるとも書かれています。

プロフィールに置ける導線には制限があります。ヘルプセンターは、ビジネスプロフィールへ追加できるアクションボタンについて、プロフィールで表示できるアクションボタンは一度に1つだとしています。この点も含めた導線の設計はSNSから直接予約につなげるで扱いました。

Instagramヘルプセンター「Instagramビジネスプロフィールのアクションボタンについて」のページのファーストビュー。ビジネスプロフィールに追加できるアクションボタンの説明が並んでいる
引用キャプチャ Instagramの面の上に置ける導線が、公式ヘルプでどう説明されているかが分かる画面です。置ける数の制限がここに書かれているため、予約の受付そのものは面の外に用意することになります。 出典:Instagramビジネスプロフィールのアクションボタンについて(Instagramヘルプセンター)(画面の取得日 2026-09-14/記述の確認日 2026-09-23/表示のファーストビュー)

数字の側も見ておきます。Instagramヘルプセンターは、インサイトで確認できるものとして、閲覧数、閲覧者、インタラクション、アクションを実行したアカウント数、合計フォロワーを挙げています。閲覧数については、コンテンツが再生または表示された回数ですと説明されています。確認できる期間は、過去90日以内から選ぶ形です。

知りたいこと Instagramのインサイト どこで見ることになるか
投稿が再生・表示された回数 閲覧数 インサイト(過去90日以内)
見たアカウントの数 閲覧者 インサイト(過去90日以内)
いいね・コメント・保存・シェア インタラクション インサイト(過去90日以内)
行動を取ったアカウントの数 アクションを実行したアカウント数 インサイト(過去90日以内)
フォロワーの推移 合計フォロワー インサイト(過去90日以内)
予約が入ったかどうか 記載がありません 自分の予約の記録と宿泊者名簿

最終行が、この記事の締めくくりにあたります。Instagramの側には、予約が入ったかどうかを答える指標がありません。投稿の数字がいくら伸びても、それが宿泊につながったかは自分の手元でしか分かりません。国籍別の構成を自分の定期報告から出すのと同じで、判断の材料は最後に手元へ戻ってきます。

公開前に通す順番

最後に、1枚を出すまでの順番をまとめます。上から順に見て、途中で止まったらその素材は使いません。

  1. 写り込みを見る。他人の著作物が主役になっていないか。分離困難性・軽微性・利益を不当に害しないことの3つを同時に満たすか
  2. 人を見る。特定の個人を識別できる形で写っていないか。写っているなら、本人の同意をどう取るか
  3. 撮った人を見る。他人が撮った写真なら、使う前に許諾を取る
  4. 実物との差を見る。補正・画角・言葉が、着いた人の印象と離れていないか。書いた言葉の裏づけ資料を出せるか
  5. 誰の表示かを見る。第三者に投稿してもらったものなら、事業者の表示に当たらないかを判定し、当たるなら明瞭に表示してもらう

5つとも、投稿の前に数分で確かめられます。反対に、公開してからでは取り返しがつきにくい種類の問題です。Instagram集客を続ける気があるなら、この順番を先に固定して、そのうえで撮る枚数を増やしてください。増やしてよい素材が決まっていないうちに本数だけ増やすと、直す作業が同じ速さで増えます。

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