自社予約サイト/解説

自社予約サイトの作り方|必要なページと、法令が中身を決めている部分

自社予約サイトは、見せるページ・決まりを示すページ・申込みを受けるページに分かれます。消費者庁の広告の表示事項、国税庁の総額表示、観光庁と個人情報保護委員会の資料から、どのページに何を書くのかを整理します。

自社予約サイトの作り方|必要なページと、法令が中身を決めている部分 - myHotelsメディア

自社予約サイトを作ろうとすると、まず相談したくなるのはデザインと予約システムです。ところが実際に着手すると、手が止まるのはそこではありません。止まるのは「この文章はどのページに置けばいいのか」「そもそも書かなければならないことは何なのか」という段階です。ページの一覧と、各ページに載せる中身が決まっていないと、デザインの発注も、予約システムの選定も決められません。

順序としては、ページの一覧が先に来ます。そして自社予約サイトに並ぶページは、性格の違う三つの系統に分かれます。宿を見せるページ、決まりを示すページ、申込みを受けるページです。この三つのうち、二つめと三つめについては、消費者庁・国税庁・観光庁・個人情報保護委員会の資料で中身が決まっている部分があります。自分で考えて埋める場所と、資料を見て写す場所が混ざっている、というのがこのサイトの特徴です。

この記事では、その三系統を順に開いていき、どのページに何を置くのかを、一次情報で確かめられる範囲だけ並べます。予約フォームの入力欄そのものと、申込みの最終段階の画面については民泊の予約フォームの項目で扱っているため、ここでは置き場所の整理までにとどめます。制度としての自社予約の位置づけは自社予約とはです。なお、必要なページ数の平均や、制作費・公開までの日数を示す公的な集計は見つけられませんでした。そのため金額と期間は扱いません。

先に決めるのはページの枚数。デザインではない

宿泊予約を受けるサイトに最低限必要なページは、数えると多くありません。三つの系統に分けたうえで、それぞれ三枚ずつ置くと、抜けの少ない骨格になります。見せる系統にトップ、客室・プランと料金、アクセス・設備。決まりを示す系統に、特定商取引法に基づく表記、キャンセルの条件、プライバシーポリシー。申込みを受ける系統に、予約フォーム、最終確認画面、予約完了の通知です。

この分け方をする理由は、ページごとに「中身を誰が決めるか」が違うからです。見せる系統は、何をどう書いても自由です。写真の枚数も、文章の長さも、自分の判断で決まります。ところが決まりを示す系統と申込みを受ける系統は、書く項目が資料の側にあります。ここを見せる系統と同じ感覚で作ると、必要な事項が抜けたまま公開することになります。

もうひとつ、この骨格には実務上の利点があります。後から足しにくいページを、最初から一枚として確保できることです。特定商取引法に基づく表記やプライバシーポリシーは、デザインが固まったあとで「どこかに入れておいてください」と頼むと、フッターの奥へ追いやられがちです。最初からページとして数えておけば、リンクの置き場所も含めて設計に入ります。

自社予約サイトを、見せるページ・決まりを示すページ・申込みを受けるページの三系統に分け、それぞれ三枚ずつのページと、その中身を決めている根拠を並べたツリー図
左の系統だけが自分の裁量で決まります。中央と右の系統は、載せる項目が資料の側にあります。 出典:消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売」国税庁 タックスアンサー No.6902個人情報保護委員会FAQ(確認日 2026-09-14)

宿泊プランのページは、法律から見ると「広告」になる

消費者庁は通信販売を、販売業者または役務提供事業者が「郵便等」によって売買契約または役務提供契約の申込みを受けて行う、商品・権利の販売または役務の提供と説明しています。インターネットで申込みを受ける宿泊の販売は、ここでいう役務提供契約の申込みにあたります。つまり、自社予約サイトに並べた宿泊プランのページは、法律の側から見ると広告だということになります。

広告と位置づけられると、表示すべき事項が決まります。消費者庁は、通信販売の広告の表示事項として次の項目を挙げています。宿泊の販売にそのまま出てこない項目も含まれていますが、自分の商品にあてはまるかどうかを一つずつ見ていくための一覧として、まず全体を見てください。

消費者庁が挙げている表示事項 自社予約サイトでの置き場所(例)
販売価格(役務の対価)(送料についても表示が必要) 客室・プランと料金のページ
代金(対価)の支払時期、方法 料金のページ、または特定商取引法に基づく表記
商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期) 宿泊日と時刻を示すページ
申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容 期間限定のプランを出すページ
契約の申込みの撤回又は解除に関する事項 キャンセルの条件のページ
事業者の氏名(名称)、住所、電話番号 特定商取引法に基づく表記
代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名 特定商取引法に基づく表記
国内事務所の所在場所及び電話番号 特定商取引法に基づく表記
販売価格、送料等以外に購入者等が負担すべき金銭 料金のページ(別に生じる費用として)
引き渡された商品が契約に適合しない場合の責任 特定商取引法に基づく表記
ソフトウェアの動作環境 該当する場合のみ
契約を2回以上継続して締結する場合の条件 該当する場合のみ
販売数量の制限等、特別な販売条件 人数や連泊の条件を示すページ
カタログ等が有料の場合、その金額 該当する場合のみ
電子メール広告送信時の事業者の電子メールアドレス 案内メールを送るとき

この一覧には抜け道ではない省略の道も用意されています。消費者庁は、消費者から請求があったときに遅滞なく書面または電子メールで提供する旨を広告に表示し、実際に提供できる措置を講じている場合には、表示を省略できるとしています。ただし、申込期間が短いオークションなど、取引の実態に照らして遅滞なく提供することが難しい場合は省略できないとも書かれています。省略する前提で設計するより、置き場所を決めて書いてしまうほうが、結果として手間は少なくなります。

価格は税込の総額で書く

料金のページで最初に決めるのは、金額そのものではなく書き方です。国税庁は、事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格について、総額表示が義務付けられていると説明しています。対象になるのは店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告などで、媒体の種類は問われていません。自社予約サイトの料金表も、ここでいう「あらかじめ表示する価格」に含まれます。

総額表示として認められる書き方は一つではありません。国税庁は、税込価格が11,000円になる場合の例として、11,000円、11,000円(税込)、11,000円(税抜価格10,000円)、11,000円(うち消費税額等1,000円)、11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円)、11,000円(税抜価格10,000円、消費税率10%)、10,000円(税込価格11,000円)という書き方を挙げています。税抜価格を大きく見せたい場合でも、税込価格を併記する形が例として示されています。

税込価格が11000円のときに総額表示として挙げられている七つの書き方をカードで並べ、下に総額表示の対象になるものと対象にならないものを対比した図
七つはどれでも総額表示として挙げられている書き方です。金額は標準税率10%で計算した例で、実際の宿泊料金を示すものではありません。 出典:国税庁 タックスアンサー No.6902「総額表示」の義務付け(確認日 2026-09-14)

サイトの中で書き方が混ざると、読者は比べられなくなります。プランのカードは税込、料金表は税抜、キャンペーンの見出しだけ別の書き方、という状態が起きやすいのは、作る人と時期が分かれているからです。どの書き方を使うかを最初に一つ決めて、制作の指示に書いておいてください。あわせて、宿泊税や入湯税のように自治体ごとに定めがあるものは、料金に含めるのか現地で受け取るのかを書き分けます。何をいくら受け取るかは自治体の条例によって違うため、この記事では金額を扱いません。

国税庁 タックスアンサー「No.6902 「総額表示」の義務付け」のページのファーストビュー
引用キャプチャ 総額表示の対象になる価格と、税込価格11,000円の場合の具体的な表示例が並んでいる公式ページです。 出典:No.6902 「総額表示」の義務付け(国税庁 タックスアンサー)(確認日 2026-09-14/表示のファーストビュー)

キャンセルの条件は、申込みボタンの手前に置く

広告の表示事項には「契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」が含まれています。宿泊の販売でこれにあたるのが、いわゆるキャンセルポリシーです。何日前から料金が発生するのか、当日の連絡先はどこか、天候や交通で来られないときにどう扱うのか。ここを決めずにフォームだけ先に作ると、申込みを受けた後で個別に判断することになり、同じ条件で予約した人の扱いがそろわなくなります。

置き場所については、独立した一枚にしたうえで、プランのページと申込みの画面の両方から読めるようにするのが確実です。消費者庁は、インターネット通販で禁止される行為として、消費者が申込み内容を容易に確認し、かつ、訂正できるように措置していないことを挙げています。条件を読める場所と、内容を確認できる場所は、どちらも申込みボタンより手前になければ意味がありません。

なお、返品に関する消費者庁の説明は、商品の引渡しや特定権利の移転を受けた日を基準に組み立てられています。返品特約を広告に表示していればその特約が優先し、表示がない場合は8日以内であれば申込みの撤回や解除ができ、消費者の送料負担で返品できる、という内容です。宿泊のような役務の提供についてこの規定がどう及ぶのかは、今回参照したページの記述からは確認できませんでした。自分のキャンセル条件がこの枠組みとどう関係するかは、消費者庁または所管の窓口に確認してください。この記事では条文の解釈を断定しません。

事業者を名乗るページを1枚作る

表示事項の一覧のうち、事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、代表者または通信販売に関する業務の責任者の氏名、国内事務所の所在場所及び電話番号は、プランのページに書くものではありません。これらをまとめて置く一枚が、一般に「特定商取引法に基づく表記」と呼ばれているページです。フッターから常にたどれる場所へリンクを置きます。

ここで混同しやすいのが、住宅宿泊事業法の側の掲示です。観光庁は、住宅宿泊事業者が届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所へ標識を掲示する必要があるとし、門扉や玄関などのおおむね地上1.2メートル以上1.8メートル以下の位置に掲げること、共同住宅では個別の住戸に加えて共用エントランスや集合ポストにも掲示すること、風雨に耐えるラミネート加工等を施すこと、事業を実施している間は継続して掲示することを示しています。これは現地の掲示についての説明です。

では、自社予約サイトの画面に届出番号を載せる義務があるのか。今回参照した観光庁の資料には、サイトへの掲示を定めた記述は見当たりませんでした。書いてはいけないという意味ではなく、確認できなかったということです。逆に言えば、サイトに情報を並べたからといって、現地の標識や宿泊者名簿の備付けが不要になるわけではありません。名簿については民泊の宿泊者名簿で扱っています。

自社予約サイトの画面上で果たす表示と、届出住宅の現地で果たす掲示や備付けを左右のゾーンに分け、片方がもう片方の代わりにならないことを示した図
左はサイトの画面で果たすもの、右は届出住宅の現地で果たすものです。届出番号をサイトへ掲示することを定めた記述は、今回参照した資料では確認できませんでした。 出典:観光庁「事業者の業務[2]」同「事業者の業務[1]」(確認日 2026-09-14)

個人情報の扱いを書いたページを1枚作る

予約を自分で受けるということは、宿泊者の氏名や連絡先を自分で預かるということです。個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が取り組むこととして四つの区分を示しています。取得・利用では利用目的を特定してその範囲内で利用し、利用目的を通知または公表すること。保管では漏えい等が生じないよう安全に管理し、従業員・委託先にも安全管理を徹底すること。第三者提供ではあらかじめ本人の同意を得て、提供した場合・受けた場合は原則一定の事項を記録すること。そして本人から開示等の請求があった場合に対応し、苦情等に適切・迅速に対応することです。

このうちサイトの画面に現れるのが、利用目的の公表です。書き方には注意点があります。個人情報保護委員会は、利用目的を「できる限り」特定するとは、事業者が個人情報をどのような目的で利用するかについて明確な認識を持ち、本人が自らの個人情報がどのような事業の用に供され、どのような目的で利用されるのかについて一般的かつ合理的に予測・想定できる程度に特定することだとしています。あわせて、具体的で本人にとって分かりやすいものであることが望ましく、「お客様のサービスの向上」といった抽象的・一般的な内容では不十分だとも書かれています。

宿の場合であれば、予約の管理、宿泊者名簿の作成と保存、到着前後の連絡、といった実際に行っていることを書くことになります。他社の文面を写して使い回すと、自分が行っていない利用目的が混ざります。逆に、行っているのに書いていない利用が残ることもあります。分析や広告配信のように、本人が合理的に予測できない取扱いを行う場合は、分析処理そのものを含めて利用目的を特定する必要があるとされている点も、公表前に確認してください。

「見せ方」で誤認させない

ページがそろうと、次は見せ方の調整に入ります。ここで線を越えやすいのが、他の販売経路と比べる書き方です。消費者庁は誇大広告等の禁止として、著しく事実に相違する表示と、実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示を挙げています。自社予約が安いことを示したい場面でも、根拠のない比較や、条件を伏せた表現はこの説明にあたる可能性があります。

宿泊予約サイトとの価格の関係については、比べ方そのものに契約上の論点があります。自社サイトの料金を他の経路より有利にできるかどうかは、最低価格保証の扱いで整理しました。書き方を決める前に、自分が結んでいる契約の条件を確認してください。

案内メールを送る場合にも表示の決まりが関わります。表示事項の一覧には電子メール広告送信時の事業者の電子メールアドレスが含まれており、消費者庁は、消費者があらかじめ承諾しない限り事業者が電子メール広告を送信することを原則として禁止するオプトイン規制についても説明しています。メールでの案内を打ち手として使う場合の整理は自社予約を増やす方法にあります。

公開前に、ページ単位で確かめる

最後に、公開の直前に見る一覧を置きます。デザインの確認とは別に、ページを一枚ずつ開いて、そこにあるはずの事項がそろっているかを見ていく作業です。この見方をすると、フッターからしかたどれないページや、リンクだけ作って中身が空のページに気づけます。

開くページ 確かめること 根拠にした資料
客室・プランと料金 価格が税込の総額で書かれ、書き方がサイト内でそろっている 国税庁 タックスアンサー No.6902
客室・プランと料金 料金のほかに負担してもらう金銭を書いている 消費者庁 特定商取引法ガイド
キャンセルの条件 撤回・解除に関する事項があり、申込みより手前から読める 消費者庁 特定商取引法ガイド
特定商取引法に基づく表記 名称・住所・電話番号・責任者の氏名がある 消費者庁 特定商取引法ガイド
プライバシーポリシー 利用目的が、実際に行っている取扱いとして書かれている 個人情報保護委員会 FAQ
予約フォームと最終確認画面 申込み内容を確認し、訂正できる 消費者庁 特定商取引法ガイド
届出住宅の現地 標識を、公衆の見やすい場所へ掲示している 観光庁 事業者の業務[2]

この一覧は、サイトが完成したかどうかを測るものではありません。資料で中身が決まっている部分だけを抜き出したものです。写真の質や文章の読みやすさ、予約システムの使い勝手は、この表の外側で自分が決めることになります。決まっている部分を先に片づけておくと、残りの時間を全部そちらへ回せます。

自社予約に切り替えることで何が自分の側に移るのかを先に把握したい場合は、自社予約のメリットとデメリットを読んでから、このページ構成に戻ってきてください。あてはまるかどうかの最終的な判断は、届出先の窓口や所管の官庁に確認するのが確実です。

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