楽天トラベルサービス株式会社は2026年9月1日、同社が提供するサイトコントローラー「ねっぱん!サイトコントローラー++」が、10pct.株式会社が運営する予約サイト「Be.」との連携を同日に開始したと発表しました。同じ日に10pct.株式会社もプレスリリースを出しており、こちらは「双方向連携」という言い方をしています。
サイトコントローラーは、複数の宿泊予約サイトの在庫・料金・予約情報をまとめて扱うための仕組みです。OTAと自社サイトの両方で予約を受けている場合、どのシステムとどのシステムがつながっているかで、毎日の入力の手間と、二重予約が起きる余地が変わります。今回の発表は、選べる組み合わせが一つ増えたという知らせです。
この記事は、両社のプレスリリース、「ねっぱん!サイトコントローラー++」の公式サイト、および観光庁の民泊制度ポータルサイトに書かれている範囲だけを扱います。連携にかかる費用や、住宅宿泊事業の届出住宅で使えるかどうかは、どの発表にも記載がないため、当サイトでも埋めません。導入した施設で何がどれだけ変わったかを示す数値も、発表には含まれていません。
9月1日に連携を開始したと両社が発表しています
楽天トラベルサービスの発表によると、連携の開始日は9月1日です。「Be.」を利用している宿泊施設は、「ねっぱん!サイトコントローラー++」を活用することで在庫・料金・予約情報を一元的に管理できるようになり、日々の業務効率を向上させることが可能だと説明されています。反対の向きも書かれていて、「ねっぱん!サイトコントローラー++」を利用中の施設にとっては、「Be.」が連携可能な自社予約システムとして新たに選べるようになる、としています。発表は、これによりこれまでリーチできなかった顧客層へのアプローチが可能になり、販売機会の拡大につながることが期待されると書いています。これは同社の説明であって、実績を示す数値ではありません。
10pct.株式会社の発表は、同じ連携を施設側の作業から説明しています。双方向の連携によって在庫・料金の二重管理をなくし、管理コストを抑えることができ、自社予約システムと各OTAの料金・在庫・予約情報を一元管理できるとしています。二つの発表のあいだで、開始日や連携の向きに食い違う点はありません。
| 項目 | 発表の記載 |
|---|---|
| 発表元 | 楽天トラベルサービス株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:髙野芳行) |
| 発表日 | 2026年9月1日 |
| 連携するもの | ねっぱん!サイトコントローラー++ と 予約サイト「Be.」 |
| 「Be.」の運営 | 10pct.株式会社(代表取締役:中堀友督) |
| 連携の開始 | 9月1日 |
| 「Be.」利用施設にとって | ねっぱん!サイトコントローラー++を活用することで、在庫・料金・予約情報を一元的に管理できる |
| ねっぱん利用施設にとって | 「Be.」が連携可能な自社予約システムとして新たに選べる |
| 10pct.側の説明 | 双方向連携により、在庫・料金の二重管理をなくし、管理コストを抑える |
なお、10pct.株式会社の所在地は、楽天トラベルサービスの発表の本文では東京都世田谷区と書かれていますが、同じ発表の会社概要欄と、10pct.株式会社自身のプレスリリースでは東京都港区芝大門となっています。どちらが現在の本社かは、当サイトでは判断できません。
引き受けているのは在庫・料金・予約情報の一括管理です
「ねっぱん!サイトコントローラー++」の公式サイトは、この製品を、複数の宿泊予約サイトの在庫・料金・予約情報を一括管理できるクラウドシステムだと説明しています。基本機能として挙げられているのは、客室在庫を自動で調整する在庫管理、予約サイト上の料金を一括変更する料金管理、予約一覧の参照や宿泊者カード印刷ができる予約情報管理、そして販売状況やブッキングカーブなど7つの分析機能を持つ分析レポートです。オプション機能として、でんわ予約、サンクスメール、プラン自動延長、プラン一括登録が並んでいます。
発表に添えられた製品の概要には、機能の使いどころも書かれています。宿泊施設が各サイトの管理画面を開いて部屋と料金の登録にかけている労力を軽減することで、より魅力的なプラン作成など集客のために割く時間を増やせること、そして宿泊日の前後に自動配信できるサンクスメール機能を活用することで、ノーショーやキャンセル率の低減、アップセル、リピーターの囲い込みなど収益向上を支えることが挙げられています。ここでも、労力がどれだけ減り、キャンセルがどれだけ減るのかという数値は示されていません。
公式サイトは業界シェアをNo.1と記載し、その根拠としてデロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社の『ホテル・宿泊DXソリューション市場の実態と展望 2024年度版』を挙げています。同研究所のレポート紹介ページは、この調査が主要ベンダー32社35製品を対象としたものであること、そしてサイトコントローラーを「複数の宿泊予約サイトと自社予約システムを一元管理し、ブッキングのリスク管理を行う」ものと定義していることを記載しています。当サイトはこの順位を検証していません。ここで示せるのは、事業者がどの調査を根拠として挙げているか、その調査がどの範囲を見たものか、までです。
自分に関係があるかどうかを決めるのは、順位ではなく連携先の一覧です。公式サイトでは、どの予約サイト・PMS・外部システムとつながるかが「連携サイト一覧」「連携PMS一覧」「連携システム一覧」という別ページに置かれており、トップページには具体的な名称も件数も載っていません。いま使っている経路と、これから使いたい経路がその一覧に入っているかを、契約の前に確かめることになります。予約まわりの作業のどこを仕組みに載せ、どこを人が持ち続けるのかは民泊の業務を効率化するに整理しました。
| 公式サイトに書かれている区分 | 内容 |
|---|---|
| 在庫管理 | 客室在庫を自動で調整 |
| 料金管理 | 予約サイト上の料金を一括変更 |
| 予約情報管理 | 予約一覧の参照や宿泊者カード印刷が可能 |
| 分析レポート | 販売状況・ブッキングカーブなど7つの分析機能 |
| オプション機能 | でんわ予約、サンクスメール、プラン自動延長、プラン一括登録 |
| シェアの記載 | 業界シェアNo.1(デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社 調べ) |
| 連携先 | 連携サイト一覧・連携PMS一覧・連携システム一覧として別ページに掲載 |
「Be.」は宿泊者が組み立てる形の予約システムだと説明されています
発表は「Be.」を、ホテルの価値を最大化する独自の予約システムだと説明しています。従来の固定的な宿泊プラン販売にとらわれず、宿泊者がより自由に最高の宿泊体験をデザインできる仕組みを実現するもので、既存の予約システムでは部屋に焦点が当たりがちだった点から、宿泊者それぞれが最適な宿泊プランを組み立てられるようにし、食事や付帯サービスにも十分な露出機会を与えることで、宿泊単価の向上に貢献するとされています。あわせて、宿泊者のシステム上での行動データや予約データを収集・分析し、データに基づいたマーケティング施策の実現をサポートすると書かれています。運営する10pct.株式会社は2023年7月に設立された会社です。
読むときに分けておきたいのは、ここに書かれているのが設計の考え方だという点です。単価がいくら上がるのか、付帯サービスがどれだけ売れるのかを示す数値は、両社の発表のどちらにもありません。部屋以外のものを売る形が合うかどうかは、居室の数、食事や物品を提供しているか、清掃と鍵の受け渡しをどう回しているかで変わります。民泊で物品や食事を組み合わせる場合に何を確かめることになるかは民泊のアメニティにまとめています。
販売経路を増やすと、日数と人数の集計も増えます
住宅宿泊事業法にもとづいて運営している場合、経路を増やしたときに一緒に増えるのは集計の対象です。観光庁の民泊制度ポータルサイトは、住宅宿泊事業を年間提供日数180日以内(条例で実施期間の制限が可能)と説明しています。日数の算定については、1年間を毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで、1日を正午から翌日の正午までとしています。どの経路から入った予約でも、同じ枠に積み上がります。自社予約とOTAで別々に数えるという考え方は取れません。数え方で迷いやすい場面は民泊の営業日数の数え方に整理しました。
報告も残ります。観光庁は、住宅宿泊事業者が毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の15日までに、それぞれの月の前2月における、届出住宅に人を宿泊させた日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳を都道府県知事へ報告するとしています。国籍別の内訳まで求められるため、経路ごとに集まる情報の粒度が違うと、報告の直前に手作業が増えます。在庫と料金を一元管理する話と、実績を集計して報告する話は別です。サイトコントローラーや予約システムがどちらをどこまで担うかは製品ごとに違うので、連携の可否とは別に確かめることになります。物件が複数ある場合の数え方は民泊の複数物件の管理で扱いました。
| 観光庁が示している項目 | 内容 |
|---|---|
| 年間提供日数 | 180日以内(条例で実施期間の制限が可能) |
| 1年間の区切り | 毎年4月1日正午から翌年4月1日正午まで |
| 1日の区切り | 正午から翌日の正午まで |
| 定期報告の期限 | 毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の15日まで |
| 報告の対象期間 | それぞれの月の前2月 |
| 報告する事項 | 届出住宅に人を宿泊させた日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳 |
今回の発表は宿泊施設に向けたもので、住宅宿泊事業の届出住宅での利用について触れた記載はありません。旅館業法の許可を受けた施設と届出住宅とでは、手続きも報告も異なります。法令の適用は物件ごとに変わるため、最終的な判断は所管の窓口に確認してください。
この発表に記載がないこと
今回の発表は、システム同士の接続が始まったことを知らせるものです。導入するかどうかを決めるときに知りたくなる項目までは書かれていません。埋めずに、そのまま並べます。
| 知りたくなる項目 | この発表での扱い |
|---|---|
| 連携にかかる費用と、申し込みの手続き | 記載がありません |
| 連携で受け渡しできるデータの項目と反映のタイミング | 記載がありません |
| 住宅宿泊事業の届出住宅での利用可否 | 記載がありません |
| 「Be.」の導入施設数や利用実績 | 記載がありません |
| 連携によって施設の売上や単価がどう変わったか | 記載がありません |
| 対応する予約サイト・PMSの具体的な名称 | 発表には記載がなく、公式サイトの別ページに掲載 |
効果を示す数値が出るとすれば、導入した施設の事例が公表される段階になります。当サイトも、その資料が出るまでは効果の数字を扱いません。連携の可否や条件は改定されることがあるため、契約の前には各社の公式ページで最新の記載を確かめてください。
判断のために確かめること
今回の発表から自分の運営に引き寄せて考えられるのは、次の三点です。どれも、この発表を読んだその日に手を動かせるものです。
一つめは、経路の組み合わせは製品名ではなく一覧で決まるということです。「連携を開始した」という発表は、その二つの製品を使っている施設にだけ効きます。自分が使っている予約サイトやPMSが入っているかは、公式サイトの連携一覧で確かめる以外にありません。
二つめは、一元管理の範囲を先に切り分けておくことです。在庫と料金を同期する話、予約情報を1か所で見る話、宿泊実績を集計して報告する話は、それぞれ別の作業です。どこまでを仕組みに任せられるかが分かっていないと、契約したあとに手作業が残ります。
三つめは、経路を増やすことと、届出住宅で守る決まりは切り離せないという点です。販売する窓口が増えても、日数の数え方も定期報告の期限も変わりません。窓口を増やす前に、実績をどこで集めるかを決めておくと、報告の時期に慌てずに済みます。
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