観光庁は、民泊制度ポータルサイトに掲載している「住宅宿泊事業法の施行状況」を、令和8年9月15日時点の内容へ更新しました。届出と登録の件数が差し替わり、あわせて宿泊実績が令和8年6月1日から7月31日までの分に入れ替わっています。届出住宅数は43,037件で、公表資料には令和8年7月よりも967件増加したと書かれています。
このページは、民泊を運営している人にとって、外から眺めるだけの統計ではありません。掲載されている宿泊実績は、住宅宿泊事業法第14条にもとづいて住宅宿泊事業者が都道府県知事等へ2か月ごとに提出した報告を、観光庁が集計・とりまとめたものです。自分が出した報告が、この数字の一部になっています。逆に言えば、報告が届いていない届出住宅の分は、この集計に入っていません。
この記事では、今回更新された値を公表資料の表記のまま並べます。数値を足したり割ったりはしません。読むうえで先に分けておきたいのは、件数の時点と、宿泊実績の対象期間が別のものだということです。そのうえで、全国の合計と届出住宅あたりのどちらを見るかで印象が変わる点、都道府県別の上位が並べ方で入れ替わる点を確かめます。
更新されたのは、件数の「時点」と宿泊実績の「対象期間」という二つの区切りです
| 区分 | 公表資料の表記 |
|---|---|
| 届出及び登録の状況 | 令和8年9月15日時点 |
| 宿泊実績の対象期間 | 令和8年6月1日〜令和8年7月31日 |
| 宿泊実績の届出住宅数 | 42,587(7月31日時点) |
| 宿泊実績の報告件数 | 36,198(報告率85.0%。9月15日時点) |
| 集計の根拠 | 住宅宿泊事業法第14条に基づく住宅宿泊事業者からの定期報告 |
| 報告事項 | 宿泊日数/宿泊者数/宿泊者の国籍別内訳/延べ宿泊者数 |
同じページに載っていても、この二つは性質が違います。届出や登録の件数は、令和8年9月15日という一日の断面です。宿泊実績は、令和8年6月1日から7月31日までという2か月の期間に起きたことの合計です。断面の数字と期間の数字を同じ文のなかで並べると、読み手はどちらも同じ時点の話だと受け取ります。引用するときは、件数には時点を、実績には対象期間を必ず添えることになります。
もうひとつ押さえておきたいのが報告率です。公表資料には、対象期間の末日である7月31日時点の届出住宅数が42,587、9月15日時点までに集まった報告件数が36,198で、報告率は85.0%と書かれています。つまりこの集計は、届出住宅のすべてから報告が届いた状態のものではありません。全数を数え上げた値として引用すると、集まった分だけの数字を「全部」と説明してしまいます。報告の項目と提出の仕組みは民泊の宿泊者数は何を数えた数字かに整理しています。
届出は67,932件、廃止を除いた届出住宅数が43,037件
| 項目 | 令和8年9月15日時点 |
|---|---|
| 住宅宿泊事業の届出件数(累計) | 67,932件 |
| うち事業廃止件数(累計) | 24,895件 |
| 届出住宅数 | 43,037件 |
| 届出住宅数の増加(令和8年7月から) | 967件 |
| 住宅宿泊管理業の登録件数 | 4,740件 |
| 住宅宿泊仲介業の登録件数 | 66件 |
| 参考:平成30年6月15日時点の届出件数 | 2,210件 |
この4つは、どれも「民泊の件数」と呼ばれますが、数えているものが違います。届出件数は累計なので、減りません。届け出た住宅が廃止されても累計はそのまま残り、事業廃止件数のほうが増えます。いま制度のうえに存在している住宅の数を知りたいときに見るのは、届出住宅数です。公表資料は、届出件数について法施行後も引き続き着実に増加していると説明しており、参考として平成30年6月15日時点の届出件数が2,210件だったことも同じページに載せています。
登録側の件数も更新されています。住宅宿泊管理業の登録件数は4,740件、住宅宿泊仲介業の登録件数は66件です。家主不在型で管理業務の委託先を探す立場からは前者、募集の掲載先を選ぶ立場からは後者が手がかりになります。ただし、このページに載っているのは全国の合計で、自分の地域に登録業者が何社あるかは示されていません。委託が必要になるかどうかの判定そのものは家主居住型と家主不在型の違いで扱っています。
届出件数・事業廃止件数・届出住宅数という三つの数え方が、それぞれ何を表しているのかは民泊の統計の読み方にまとめてあります。件数だけを抜き出して並べると、累計と現存数が混ざりやすいところです。
全国の合計と、届出住宅あたりの値が別に公表されています
| 指標 | 全国の合計 | 届出住宅あたり | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 宿泊日数 | 557,439日 | 15.4日 | 129.3% |
| 宿泊者数 | 582,162人 | 16.1人 | 123.8% |
| 延べ宿泊者数 | 1,627,034人泊 | 45.0人泊 | 131.2% |
前年同期比は三つとも100を超えているため、全国の合計はいずれも前の年の同じ時期より増えています。ただし合計が増えた理由は、この資料からは切り分けられません。届出住宅そのものが増えたことによる分と、1件ごとの利用が増えたことによる分が、合計の中では区別できないからです。だからこそ同じページに、届出住宅あたりの値が並べて示されています。
届出住宅あたりの数字は、自分の物件と比べるときに使える単位です。宿泊日数は15.4日、宿泊者数は16.1人、延べ宿泊者数は45.0人泊。いずれも2か月分の値です。1か月あたりに読み替えたくなりますが、ここでは割りません。公表資料に載っているのは2か月分の値で、月ごとの内訳は示されていないためです。
なお、この15.4日は稼働率ではありません。営業できる日数の上限にどれだけ近いかを示す値ではなく、報告された宿泊日数を届出住宅の数で見た値として公表されているものです。自分の側で売上の枠を置いてから条件を振る手順は民泊の売上予測にまとめています。
合計の上位と、届出住宅あたりの上位は違う都道府県です
| 指標 | 合計の上位 | 届出住宅あたりの上位 |
|---|---|---|
| 宿泊日数 | 東京都 286,731日/北海道 84,684日/福岡県 23,492日 | 北海道 21.1日/福岡県 18.4日 |
| 宿泊者数 | 東京都 190,743人/北海道 97,952人/福岡県 26,986人 | 和歌山県 45.7人/福井県 35.7人 |
| 延べ宿泊者数 | 東京都 788,416人泊/北海道 247,442人泊/沖縄県 67,381人泊 | 北海道 61.5人泊/和歌山県 58.5人泊/愛知県 58.2人泊 |
三つの指標のどれでも、合計では東京都が最も多く、北海道が続きます。ところが届出住宅あたりに切り替えると、上に来る県が変わります。宿泊日数では北海道が21.1日で最も多く、福岡県が18.4日で続きます。宿泊者数では和歌山県が45.7人、次いで福井県が35.7人。延べ宿泊者数では北海道が61.5人泊、和歌山県が58.5人泊、愛知県が58.2人泊です。
つまり「民泊が多い地域」と「1件がよく使われている地域」は同じではありません。候補地を数字で比べるときは、どちらの軸で並べるのかを先に決めることになります。合計が大きい地域は宿泊の需要がある地域でもあり、同時に届出住宅が多い地域でもあります。届出住宅あたりの値が高い地域は、届出の数そのものは多くないこともあります。どちらか一方だけを見て「有利な地域」と決められる資料ではありません。
都道府県別の値をどの資料のどこで確かめるかは都道府県別の宿泊者数はどこで調べるかに整理しています。民泊については、都道府県別が資料の本文に文章で書かれているという点が、ほかの宿泊統計と違うところです。
宿泊者の57.5%が外国人。上位5か国・地域で59.0%を占めます
| 区分 | 人数 | 割合 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 日本国籍を有する者 | 247,437人 | 42.5% | 127.0% |
| 外国人 | 334,689人 | 57.5% | 121.4% |
| 地域別(外国人宿泊者) | 割合 | 前回の割合 |
|---|---|---|
| 東アジア | 44.4% | 31.5% |
| 北米 | 16.7% | 記載がありません |
| 欧州 | 11.3% | 記載がありません |
日本国籍を有する者が247,437人で42.5%、外国人が334,689人で57.5%です。前年の6月から7月の分と比べた値も公表されており、日本国籍を有する者の数は127.0%、外国人宿泊者数は121.4%と書かれています。どちらも増えています。外国人の比率が高いからといって、国内からの宿泊が減っているという読み方にはなりません。
外国人宿泊者を国籍別に見ると、第1位が米国、第2位が韓国、第3位が台湾、第4位が中国、第5位が香港で、この上位5か国・地域で外国人宿泊者数の59.0%を占めます。地域別では東アジアが最も多く全体の44.4%、次いで北米が16.7%、欧州が11.3%です。公表資料は、東アジアからの宿泊者の割合が前回の31.5%から増えていることにも触れています。
受け入れの準備をどこから手を付けるかは、この構成で変わります。もっとも、ここに出ているのは全国の割合です。自分の物件に実際に泊まっている人の国籍は、宿泊者名簿と自分の報告のほうが正確です。案内をどの言語でどこまで用意するかを決める考え方は民泊の多言語対応で扱っています。
一人当たりの宿泊日数は、東京都が4.1泊で最も長い
公表資料は、延べ宿泊日数を宿泊者数で割った「一人当たりの宿泊日数」も示しています。東京都が4.1泊で最も多く、次いで山形県、京都府、鹿児島県、沖縄県が2.8泊と並んでいます。
この値は、1組あたりの滞在が長い地域と短い地域があることを表します。滞在が長ければ入れ替わりの回数は減り、清掃や鍵の受け渡しの回数も変わります。滞在が短い地域では、同じ宿泊者数でも入れ替わりの作業が増えます。同じ「宿泊者数」でも、現場の手間は地域によって違うということです。ただしこれは都道府県の平均であって、特定の物件の滞在日数を示すものではありません。
公表ページのどこを見れば、同じ値にたどり着くか
このページは、届出及び登録の状況、各自治体の届出状況、届出件数の推移、宿泊実績という順に並んでいます。今回引いた件数は最初の区分にあり、宿泊実績はうしろの区分にあります。都道府県別の届出状況は、マップと一覧として別に置かれています。
過去の時点の提出・受理状況と、過去の対象期間の宿泊実績は、それぞれPDFとして同じページからたどれます。時点をそろえて比べたいときは、そこから同じ形式の資料を開くことになります。自分で開いて確かめられる形になっているかどうかは、数字を引くときの分かれ目です。
この公表資料に記載がないこと
| 知りたくなる項目 | 公表資料の記載 |
|---|---|
| 届出住宅あたりの稼働率 | 記載がありません |
| 宿泊料金・売上・客室単価 | 記載がありません |
| 市区町村別の宿泊実績 | 記載がありません |
| 報告が届いていない届出住宅の実績 | 記載がありません(報告率85.0%の集計です) |
| 家主居住型と家主不在型の内訳 | 記載がありません |
| 月ごとの内訳 | 記載がありません(2か月分の合計です) |
| 廃止された届出住宅の理由 | 記載がありません |
埋まらない項目が多いのは、この資料が定期報告の集計であって、経営の指標をまとめたものではないためです。載っていない項目を、載っている数字から作らないでください。宿泊日数を期間の日数で割れば稼働率のように見える値は出ますが、それは公表された値ではありません。
自分の届出住宅の数字と並べるときに気をつけること
このページの更新は、件数も宿泊実績もおおむね2か月おきです。ページには過去の時点が一覧で並んでいるので、次にどのあたりで更新されるかは、そこから見当がつきます。自分の記録と並べるなら、同じ対象期間の自分の報告を手元に置いてから開くほうが早いです。
比べるときは単位をそろえます。公表されているのは全国または都道府県の値で、しかも2か月分です。自分の1棟の1か月の数字をそのまま横に置くと、どちらが大きいという話が成り立ちません。届出住宅あたりの値と比べるなら、自分も同じ2か月の合計で出すことになります。
そして、平均から外れていること自体は、良くも悪くもありません。届出住宅あたりの宿泊日数が15.4日だとしても、その分母には、家主居住型で一室だけ貸している住宅と、家主不在型で一棟を通年で貸している住宅が同じように入っています。自分がどちらに近いかを決めてから、比べる相手を選びます。
この記事は、公表資料の記載を整理したものです。法令の解釈や、自分の物件で必要になる手続きの判断は、届出先である都道府県知事等の窓口に直接確認してください。件数と実績は更新のたびに変わるため、引用するときは時点と対象期間を必ず添えてください。
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