都道府県別宿泊者数/データ

都道府県別の宿泊者数はどこで調べるか|合計と1件あたりで上位が入れ替わる

都道府県別の宿泊者数を公的統計から確かめる手順を整理します。民泊は観光庁の施行状況の本文に都道府県別が示され、合計では東京都が976,859人泊で最多ですが、届出住宅あたりでは京都府の68.9人泊が上に来ます。並べ替えの軸で結論が変わる点をまとめます。

候補地を選ぶときも、いま運営している地域の位置を知りたいときも、探すのは都道府県別の宿泊者数です。ところが検索して出てくるのは全国の合計ばかりで、地域ごとの内訳にはなかなか行き着きません。資料そのものは公開されているのに、どの資料のどこを開けばいいかが分かりにくい、というのが実際のところです。

先に結論を三つ書きます。ひとつ目、都道府県別の値が資料の本文にそのまま書かれているのは、民泊の宿泊実績のほうです。観光庁が民泊制度ポータルサイトで公表している「住宅宿泊事業法の施行状況」には、都道府県別の宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数が文章で示されています。ふたつ目、全宿泊施設を対象にした宿泊旅行統計調査は、報道発表の本文が全国の値だけで、地域別を見るには集計結果のファイルを開くことになります。三つ目、合計で並べるか、届出住宅あたりで並べるかで、上位に来る都道府県が入れ替わります。合計では東京都が突出しますが、1件あたりでは京都府や和歌山県、高知県が上に出てきます。

この記事では、都道府県別の数字がどの資料のどこにあるか、民泊の実績で何が公表されているか、並べ替えの軸を変えると順位がどう動くか、三つの単位で上位の顔ぶれが違うのはなぜか、そして都道府県別では答えられないことを、公表資料の表記にそって整理します。資料に載っていない項目は、推測で埋めずに掲載がないと書きます。

都道府県別の数字は、統計ごとに置き場所が違う

宿泊者数を出している公的な統計は一つではありません。対象にしている施設の範囲が違い、公表の粒度も違います。まず、自分が数えたいのがどちらなのかを決めてください。

数えたいもの 見る資料 都道府県別がどこにあるか
全宿泊施設の延べ宿泊者数 観光庁「宿泊旅行統計調査」 報道発表の本文は全国の値だけ。集計結果のファイルを開く
届出住宅(民泊)の宿泊実績 観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」 ページの本文に都道府県別の記述がある
届出住宅の数 同上 本文にはなく、都道府県別届出状況の一覧表とマップ(PDF)
市区町村別の宿泊実績 施行状況のページには記載がない

宿泊旅行統計調査のページに並んでいるのは、第1次速報・第2次速報・確定値の集計結果と報道発表資料、それに「【参考表】 広域市町村(130区分)別集計」です。ページの本文に都道府県という語は出てきません。月ごと・年ごとの報道発表を開いても、書かれているのは全国の延べ宿泊者数と客室稼働率で、地域別の内訳はそこにありません。地域別を見たい場合は集計結果のファイルそのものを開くことになりますが、この記事ではその中身を開いて確認していないため、どの表に何が入っているかは書きません。調査そのものの構造は宿泊旅行統計調査の見方にまとめています。

都道府県別の宿泊者数を探すときに、何を数えたいかに応じてどの資料のどこを開くかを示した分岐図。全宿泊施設は宿泊旅行統計調査で集計結果のファイルと広域市町村130区分別の参考表、届出住宅は住宅宿泊事業法の施行状況の本文、市区町村別は届出先の自治体の資料へ進む
三つの入口のうち、資料の本文に都道府県別の数字が書かれているのは施行状況だけです。市区町村別はどちらの資料にも掲載がありません。 出典:観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」観光庁「宿泊旅行統計調査」(確認日 2026-09-08)

届出住宅の数についても同じ注意が要ります。施行状況のページの本文にあるのは全国の値で、令和8年7月15日時点の届出住宅数は令和8年5月よりも1,325件増加し、42,070件と書かれています。累計の届出件数は65,837件、うち事業廃止件数は23,767件です。都道府県別の届出住宅数は本文になく、都道府県別届出状況の一覧表とマップというPDFに分かれています。件数の読み分けは民泊の統計はどこで確認するかで扱いました。

民泊の都道府県別は、資料の本文に文章で書かれている

施行状況のページには、2か月ごとの宿泊実績が載っています。確認した時点の対象期間は令和8年4月1日から令和8年5月31日まで。ここに、都道府県別の記述が文章の形で置かれています。

宿泊日数は「東京都が362,082日で最も多く、次いで北海道(33,094日)、京都府(32,218日)であった」。宿泊者数は「東京都が249,939人で最も多く、次いで北海道(37,591人)、京都府(29,851人)であった」。延べ宿泊者数は「東京都が976,859人泊で最も多く、次いで北海道(95,646人泊)、京都府(88,969人泊)であった」。三つの単位のいずれでも、上位3都道府県の顔ぶれは同じです。

全国の合計は、宿泊日数が624,088日、宿泊者数が626,765人、延べ宿泊者数が1,745,359人泊です。東京都の976,859人泊は、全国合計1,745,359人泊の半分を超えています。公表値どうしを突き合わせれば読み取れることで、割合そのものは資料に書かれていません。全国の平均値を自分の地域の目安として使いにくいのは、この形が理由です。

ここで押さえておきたいのは、この集計が全数ではないことです。対象期間の届出住宅数41,207件に対して報告件数は34,902件、報告率は84.7%と記されています。報告のなかった住宅の実績は、都道府県別の値にも入っていません。前年同期比が宿泊日数138.6%、宿泊者数130.1%、延べ宿泊者数133.0%と示されていますが、前年の報告率はこのページに掲載がないため、伸びの一部が報告の出方によるものかどうかは判断できません。数字の作られ方は民泊の宿泊者数は何を数えた数字かに書きました。

観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」のページのファーストビュー。届出状況と2か月ごとの宿泊実績が並んでいる
引用キャプチャ 宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数について、都道府県別の上位が本文の文章で示されているページです。対象期間と報告率も同じページに書かれています。 出典:住宅宿泊事業法の施行状況(観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」)(確認日 2026-09-08/表示のファーストビュー)

合計で並べるか、届出住宅あたりで並べるかで上位が入れ替わる

同じページには、「届出住宅あたり」で見た値も都道府県別に公表されています。ここを読むと、地域の並びが合計のときと変わります。

延べ宿泊者数で比べてみます。合計では東京都、北海道、京都府の順でした。ところが「届出住宅あたりの延べ宿泊者数を都道府県別にみると、京都府が68.9人泊で最も多く、次いで愛知県(66.8人泊)、東京都(61.6人泊)であった」と書かれています。合計で1位だった東京都が3位になり、3位だった京都府が1位になります。しかも合計の上位3位に出てこなかった愛知県が2位に入り、合計で2位だった北海道は届出住宅あたりの上位として公表されていません。

届出住宅の延べ宿泊者数を合計で並べた場合と届出住宅あたりで並べた場合の上位3都道府県を左右に並べ、東京都が1位から3位へ、京都府が3位から1位へ動くことを線で示した図
同じ実績を並べ替えただけで、上位の順序も顔ぶれも変わります。届出住宅あたりの分母は、報告のあった34,902件です。 出典:観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(確認日 2026-09-08)

この入れ替わりは、二つの軸が別のことを測っているために起きます。合計は、その都道府県に届出住宅がどれだけあるかを強く映します。件数が多ければ、1件ごとの使われ方が控えめでも合計は大きくなります。届出住宅あたりの値は逆に、1件がどれだけ使われたかを示します。だから「宿泊者が多い地域」と「1件あたりよく使われている地域」は、同じ言葉で語れません。物件を置く場所を考えるときに効いてくるのは後者ですが、市場の大きさを説明するときに要るのは前者です。

ただし、届出住宅あたりの値をそのまま自分の物件の見込みに置き換えることはできません。分母は報告のあった件数であり、部屋の広さも定員も価格帯もそろっていないものを一緒に平均しています。上位に挙がっている都道府県でも、届出住宅の数そのものは本文に書かれていないため、少ない件数の平均なのか多い件数の平均なのかは、この記述だけでは分かりません。順位が高いことと、そこで自分が同じ水準に届くことは別です。立地を判断するときに見る条件は民泊の立地の選び方にまとめています。

三つの単位で、上位に来る都道府県が違う

さらに細かく見ると、届出住宅あたりの上位は単位ごとにも変わります。ここが、都道府県別の数字を引用するときにいちばん取り違えやすいところです。

公表されているのは次のとおりです。届出住宅あたりの宿泊日数は京都府が25.0日で最も多く、次いで東京都が22.8日。届出住宅あたりの宿泊者数は和歌山県が36.8人で最も多く、次いで高知県が35.8人。届出住宅あたりの延べ宿泊者数は京都府が68.9人泊、愛知県が66.8人泊、東京都が61.6人泊です。宿泊者数で見たときにだけ、和歌山県と高知県という別の顔ぶれが出てきます

宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数の三つの単位について、全国の合計、届出住宅あたりの全国値、届出住宅あたりの上位の都道府県を並べた表形式の図
三つの単位はそれぞれ別のものを数えています。届出住宅あたりの上位として公表されているのは各単位で2県または3県までで、それ以外の都道府県の値は掲載がありません。 出典:観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(確認日 2026-09-08)

理由は単位の定義にあります。宿泊日数は、人を宿泊させた日数です。何人泊まっていても1日は1日で、営業した日数の多さを表します。宿泊者数は人の数、延べ宿泊者数は人数に泊数を掛けたものです。だから、1組あたりの人数が多い地域は宿泊者数で上に来やすく、1回の滞在が長い地域は延べ宿泊者数で上に来やすくなります。全国の届出住宅あたりの値は、宿泊日数17.9日、宿泊者数18.0人、延べ宿泊者数50.0人泊です。

宿泊日数を見るときにもう一つ気をつけたいのが、制度上の上限です。住宅宿泊事業について、観光庁は年間提供日数の上限を180日と説明しています。京都府の25.0日は2か月ぶんの値であり、これを6倍して1年に引き伸ばすと、制度の上限を超える数字になってしまいます。数え方は民泊の180日ルールで扱いました。対象期間が2か月であることは、引用するときに必ず添えてください。

都道府県別では答えられないこと

ここまでで分かることと、分からないことをはっきり分けておきます。分からないものを推測で埋めると、説明資料の中でいちばん弱い部分になります。

知りたいこと 公表資料の状態
上位3都道府県の宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数 本文に記載がある
届出住宅あたりの上位の都道府県 単位ごとに2県または3県まで記載がある
上位以外の都道府県の実績 本文に記載がない
都道府県ごとの報告率 記載がない。報告率は全国の84.7%だけ
市区町村・区ごとの実績 記載がない
都道府県別の届出住宅数 本文になく、一覧表とマップのPDFにある

とくに注意したいのが、都道府県ごとの報告率です。全国では84.7%と公表されていますが、地域ごとにこの割合が同じとは限りません。ある都道府県の報告率が低ければ、その地域の実績は実態より小さく出ます。都道府県間の差を語るときは、報告の出方の差である可能性を排除できません。資料に書かれていない以上、そこまで踏み込んだ比較はしないほうが安全です。

自分の営業する区や市の水準を知りたい場合は、届出先の自治体が独自に公表している資料を探すことになります。届出の窓口は都道府県のほか、保健所を設置する市や特別区にも置かれており、そこで独自の集計を出している場合があります。国の資料を待つより早いこともあります。

全宿泊施設の統計と民泊の実績を、同じ表に並べない

最後に、規模の話をしておきます。宿泊旅行統計調査の2025年(令和7年)年間値(確定値)では、延べ宿泊者数は全体で6億6,111万人泊とされています。一方、届出住宅の延べ宿泊者数は2か月で1,745,359人泊です。

この二つを並べて割り算をしたくなりますが、しないでください。対象期間が違い、対象になる施設の範囲が違い、集計の方法も違います。前者は調査対象の宿泊施設が報告した内容の集計で、後者は住宅宿泊事業者が2か月ごとに提出した定期報告の集計です。単位の名前が同じ「延べ宿泊者数」でも、母集団が別なので比率を作れません。宿泊施設側の水準をどう読むかはホテルの客室稼働率は何%かにまとめています。

同じ理由で、「民泊は全体の何%」という形の数字も、この二つからは作れません。作れないことを空欄のまま書くほうが、資料としては強くなります。

候補地を都道府県で比べるときの手順

ここまでの内容を、実際に比べるときの順番に直します。

単位を先に決める。宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数のどれで比べるかを決めてから資料を開きます。何を知りたいかで選びます。営業できた日数の多さなら宿泊日数、人の多さなら宿泊者数、滞在の長さまで含めるなら延べ宿泊者数です。

合計と1件あたりの両方を見る。片方だけを見ると、市場の大きさと1件の使われ方のどちらかを見落とします。上で見たとおり、この二つは順位が入れ替わります。

対象期間と報告率を控えておく。令和8年4月1日から5月31日まで、報告率84.7%。この二つを数字と一緒に書いておけば、あとから見返したときに更新なのか誤りなのかを区別できます。

上位に出てこない都道府県は、国の資料では分からないと割り切る。本文に載っているのは上位だけです。自分の候補地が載っていなければ、届出先の自治体の資料へ切り替えます。

資料へ書くときは、統計の名称、対象期間、単位、値、確認日をひとまとめにします。「観光庁『住宅宿泊事業法の施行状況』によれば、令和8年4月1日から5月31日までの届出住宅あたりの延べ宿泊者数は、京都府が68.9人泊で最も多く、次いで愛知県66.8人泊、東京都61.6人泊(報告率84.7%、確認日 2026-09-08)」。この形なら、読んだ相手が同じページで裏を取れます。

このページは2か月ごとに更新されます。次に同じ数字を使うときは、手元のメモではなく出典のページを開き直し、対象期間が変わっていないかを確かめてください。事業計画の枠へ落とし込む手順は民泊の売上予測はどう立てるにあります。

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