自治体・条例のニュース/ニュース

垂水市とアルバリンクが空き家対策で連携協定 宿泊に使うときの窓口と書類

株式会社AlbaLinkが鹿児島県垂水市と「空き家対策の推進に関する連携協定」を締結したと発表しました。協定の六つの項目、垂水市の空き家バンクと補助金の条件、市が引き受けない範囲、そして届出の相手と添付書類を公表資料で整理します。

株式会社AlbaLink(アルバリンク)は2026年9月28日、鹿児島県垂水市と「空き家対策の推進に関する連携協定」を締結したと発表しました。発表は締結日を令和8年9月28日(月)としています。同社は本社を東京都江東区に置き、代表取締役は河田憲二氏です。市側の担当として、垂水市役所企画政策課地域振興係が挙げられています。

空き家を安く手当てして宿にするという入口は、官民の協定が結ばれるたびに広がって見えます。ただし、協定が扱う範囲は空き家の流通と利活用までで、その建物を宿泊に使えるかどうかを決めるものではありません。しかも垂水市の場合、手続きの相手が途中で入れ替わります。空き家の窓口は市役所にありますが、住宅宿泊事業の届出を受けるのは市役所ではありません。鹿児島県内で保健所を置いているのは鹿児島市だけで、垂水市内の物件は県が受け持つ形になっています。

そこでこの記事では、発表に書かれている協定の中身を表記のまま並べたうえで、垂水市が自分のサイトで公表している空き家の支援制度と、その制度が引き受けていない範囲を確かめます。そのあとで、空き家として流通した物件を届け出るときに、書類の形で何を示すことになるのかを観光庁の公表ページで整理します。協定の対象になる物件が宿泊に使えるかどうかは、発表からも市の資料からも判断できません。当サイトも断定しません。物件数や金額といった数字も、この発表には含まれていません。

協定に並んでいるのは、マッチングから情報発信までです

発表は、協定の主な内容として六つを挙げています。訳ありの不動産と利用者とのマッチングに関すること、空き家等の流通促進に関すること、空き家等の利活用に関すること、空き家等の所有者からの相談対応に関すること、空き家等対策に必要な情報の共有及び発信に関すること、そしてその他前項の目的を達成するために必要な事項に関することです。用途を宿泊に限った項目はありません。

背景として発表が説明しているのは、垂水市の状況です。同市は世界有数の活火山である桜島を望み、豊かな自然環境とびわやカンパチなどの農水産物に恵まれたまちであるとしたうえで、高い持ち家比率に加えて少子高齢化や人口減少に伴い、空き家の増加が深刻な地域課題となっていると述べています。特に所有者の高齢化をはじめ、修繕・維持管理コストの負担感や複雑な相続手続きなどの理由から管理放棄に至るケースも多く、従来の空き家バンク等の運用だけでは再流通が進みにくい「困難物件」への対応が大きな課題となっていた、という書き方です。

そのうえで発表は、同社が持つ難易度の高い不動産の買取・再生に関する専門的ノウハウと、全国規模の投資家ネットワークをいかし、垂水市と協力して空き家問題の解消と生活環境の保全を推進すると説明しています。空き家所有者への早期の意識啓発を推進するとともに、これまで活用が進まなかった物件に対しても所有者へ幅広い解決策を提示し、積極的な再利用を後押しするとされています。

物件を探す側から読むと、ここで増えるのは出口の選択肢であって、買った先の使い道の保証ではありません。発表が「困難物件」と呼んでいるのは、修繕の負担や相続の手続きといった事情を抱えたまま動かなくなっていた建物です。住むために買う人にとっての難しさと、宿泊に使う人にとっての難しさは重なりません。宿泊に使う前提で見るなら、確かめる項目はむしろ増えます。物件情報に載っていない項目をどこで調べるかは民泊の物件の探し方に整理しています。

項目 発表の記載
協定名 空き家対策の推進に関する連携協定
当事者 株式会社AlbaLink(本社:東京都江東区、代表取締役:河田憲二)/鹿児島県垂水市
締結日 令和8年9月28日(月)
協定の主な内容 訳ありの不動産と利用者とのマッチングに関すること
同上 空き家等の流通促進に関すること
同上 空き家等の利活用に関すること
同上 空き家等の所有者からの相談対応に関すること
同上 空き家等対策に必要な情報の共有及び発信に関すること
同上 その他前項の目的を達成するために必要な事項に関すること
市側の担当 垂水市役所 企画政策課 地域振興係

垂水市の支援制度は、空き家バンクを起点に組まれています

垂水市は、空き家に関する支援として空き家バンクのほか、空き家有効活用推進事業支援補助金、空き家リフォーム促進事業、住宅取得費助成金交付事業、賃貸住宅家賃助成事業、移住就業・起業支援事業補助金を並べて掲載しています。このうち入口に置かれているのが空き家バンクです。

市は空き家バンクの目的を、空き家の有効活用をとおして、垂水市民と都市住民の交流拡大と定住促進による地域活性化を図ることだと説明しています。登録物件は垂水市内の空き家に限るとされ、手続きは三段階です。所有者が垂水市空き家バンク登録申込書により登録を申請し、申請者立会いのもと不動産業者と市担当職員が現地確認を行い、登録決定後にホームページ等で周知される、という流れです。

補助金の側にも条件が書かれています。空き家有効活用推進事業支援補助金の対象となる空き家は、垂水市空き家バンクの登録物件です。対象者は、対象物件に係る所有権又は売却・賃貸を行うことができる権利を有する者で、市税等に滞納がない者、そして3親等内の親族間での売買・賃貸等でないことが条件とされています。補助の額は、補助対象経費に3分の2を乗じて得た額で、千円未満は切り捨て、上限は5万円です。受付期間は令和8年4月1日から令和9年2月26日までと案内されています。

ここで読み落としたくないのは、制度の目的として置かれている言葉です。市の説明にあるのは定住促進であり、宿泊事業を営む人のために作られた制度だとは書かれていません。制度の目的は、その制度を使えるかどうかの判断に効いてきます。空き家バンクに載っている物件を見に行く前に、その市の制度が何のために用意されているのかを先に確かめておくと、あとから前提が崩れずに済みます。

垂水市が公表している内容 記載
空き家バンクの目的 空き家の有効活用をとおして、垂水市民と都市住民の交流拡大と定住促進による地域活性化を図ること
登録できる物件 垂水市内の空き家に限る
登録の手続き 所有者が登録申込書で申請 → 申請者立会いのもと不動産業者と市担当職員が現地確認 → 登録決定後にホームページ等で周知
支援補助金の対象物件 垂水市空き家バンク登録物件
支援補助金の対象者 対象物件に係る所有権又は売却・賃貸を行うことができる権利を有する者/市税等に滞納がない者/3親等内の親族間での売買・賃貸等でないこと
支援補助金の額 補助対象経費に3分の2を乗じて得た額(千円未満切り捨て、上限5万円)
受付期間 令和8年4月1日から令和9年2月26日まで
担当 垂水市役所 企画政策課 地域振興係

市が引き受けない範囲が、そのまま自分の宿題になります

同じ空き家バンクのページには、市が行わないことも書かれています。垂水市は物件の交渉・契約に関して仲介行為は行いません、契約後のトラブル等も当事者間で解決してください、物件の詳細かつ正確な情報は利用者ご自身で調査・確認してください、希望物件が契約済みまたは交渉中の場合は紹介できません、という四つです。

これは突き放しているのではなく、制度の輪郭を示した文章です。市が用意しているのは、売りたい人と買いたい人の情報を突き合わせる場であり、個別の物件の条件交渉や、用途ごとの可否の判定までを代行する仕組みではありません。したがって、その建物で宿泊事業ができるかどうかは、掲載されているかどうかとは無関係に、自分で確かめる項目として残ります。

残る項目は、建物そのものの状態だけではありません。借りて始めるのか買って始めるのかという権利の持ち方、建物が区分所有かどうか、そして消防の要求をどう満たすかまで含まれます。調べる順番を決めてから内覧に行くかどうかで、あとの手戻りが変わります。借りて始める場合の承諾の取り方は民泊にできる賃貸物件に、区分所有の建物で先に見る規約の読み方は民泊と管理規約にまとめています。

垂水市「垂水市空き家バンク」のページのファーストビュー
引用キャプチャ 制度の目的に定住促進が置かれ、市は物件の交渉・契約に関して仲介行為を行わないこと、契約後のトラブル等は当事者間で解決すること、物件の詳細かつ正確な情報は利用者自身で調査・確認することが示されている垂水市の公式ページです。 出典:垂水市空き家バンク(垂水市 企画政策課 地域振興係)(確認日 2026-09-30/表示のファーストビュー)

垂水市内では、届出の相手は市役所ではありません

鹿児島県は、住宅宿泊事業法に基づく届出は「民泊制度運営システム」から行うことが原則だと案内しています。やむを得ない事情がある場合は書面での提出が可能で、その提出先として鹿児島県保健福祉部生活衛生課温泉営業係が示されています。あわせて、保健所設置市について、本県においては鹿児島市であると書かれています。観光庁が公表している自治体の窓口案内でも、鹿児島県の窓口として観光・文化スポーツ部観光課と、届出受付・指導監督を担当するくらし保健福祉部生活衛生課が並んでいます。

つまり、垂水市内の空き家を届出住宅にする場合、空き家の相談で足を運ぶ先と、届出を出す先が別になります。市の支援制度を使えたことは、宿泊に使えることの確認にはなりません。逆に、県へ届け出たからといって、市の補助金の条件を満たすわけでもありません。二つは別々に進み、判断もそれぞれの窓口が行います。どの相談をどこへ持っていくかは民泊の開業を相談する先に整理しました。

垂水市の空き家の窓口は企画政策課地域振興係、住宅宿泊事業の届出の受付と指導監督は鹿児島県くらし保健福祉部生活衛生課、消防法令適合通知書は届出住宅を管轄する消防と、相手が三つに分かれることを示した図
垂水市・鹿児島県・観光庁の公表ページに書かれている担当の分かれ方を並べた図です。今回の協定の内容ではありません。出典:垂水市「垂水市空き家バンク」、鹿児島県「届出先及び届出方法等について」、観光庁 民泊制度ポータルサイト(確認日 2026-09-30)

なお、鹿児島県のページは、年間180日を超えるサービスの提供について、従来どおり旅館業法の許可が必要だとしています。空き家の取得価格が安く見えても、泊められる日数には上限がかかります。日数の数え方は民泊の180日に、許可という別の入口を選ぶ場合の違いは民泊の許可に置いています。

空き家を届け出るときは、「住んでいない」ことを書類で埋め直します

観光庁は、届出の前に確認する事項を挙げています。賃借人及び転借人の場合は、賃貸人及び転貸人が住宅宿泊事業を目的とした賃借物及び転借物の転貸を承諾しているかどうか。マンションで住宅宿泊事業を営もうとする場合には、マンション管理規約において住宅宿泊事業が禁止されていないかどうか。そして、消防法令適合通知書を入手することです。届出書は日本語で作成する必要があり、名称、住所等の固有名詞については外国語でも記載ができるとされています。

添付書類のページを見ると、家屋と権利の状態ごとに求められる書類が並んでいます。「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は、入居者募集の広告その他それを証する書類です。「随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋」に該当する場合は、それを証する書類とされています。賃借人の場合は賃貸人が承諾したことを証する書類、転借人の場合は賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類が必要で、承諾の書類については住宅宿泊事業を行うことが可能かどうかについて明記されている必要があると書かれています。区分所有の建物の場合は、規約の写し及び住宅宿泊事業を禁止する方針が決議されていない旨の確認書類が挙げられています。

空き家から入る場合に、ここがいちばん重く効いてきます。誰も住んでいない家屋は、そのままでは居住の状態を説明できません。どの区分に当てはめるのかによって、用意する書類の中身が変わり、場合によっては届出の前に物件の扱い方そのものを決め直すことになります。書類は状態のあとからついてくるもので、状態を変えずに書類だけを整えることはできません。当てはめの判断は物件ごとの事情で変わるため、当サイトでは断定しません。届出先の窓口で確かめてください。

住宅宿泊事業の届出では、入居者の募集が行われている家屋に当たる場合は入居者募集の広告その他それを証する書類、随時その所有者・賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋に当たる場合はそれを証する書類、賃借人の場合は賃貸人が承諾したことを証する書類、転借人の場合は賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類、区分所有の建物の場合は規約の写しと住宅宿泊事業を禁止する方針が決議されていない旨の確認書類が必要になることを示した図
観光庁の公表ページに並んでいる添付書類のうち、家屋と権利の状態で変わるものを整理した図です。出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「届出の際の添付書類」(確認日 2026-09-30)

消防については、観光庁は消防法令適合状況の確認の手続について、届出住宅を管轄する消防に相談するよう案内しています。古い建物ほど、ここで求められる措置が工事の量に直結します。相談の持って行き方は民泊の開業で消防に相談することにまとめました。

この発表に記載のないこと

空き家を仕入れて宿泊に使うことを考えている人が知りたくなる項目のうち、この発表にも市の公表資料にも書かれていないものを並べます。埋めずにそのまま示します。

知りたくなる項目 発表・市の資料での扱い
協定の対象になる物件の件数 記載がありません
買取や再生の価格帯 記載がありません
宿泊事業への利活用を想定しているかどうか 記載がありません
協定の期間や更新の条件 記載がありません
市と同社の費用負担の分け方 記載がありません
空き家バンクに登録されていない物件が対象に含まれるか 記載がありません
垂水市内の空き家の数 記載がありません

書かれていない項目が多いのは、この発表が協定の締結を知らせるものであり、個別の物件や取引の条件を示すものではないためです。数字が出るとすれば、市の計画にもとづく実績の公表か、同社の後続の発表になります。当サイトも、その資料が公表されるまでは件数や金額を扱いません。

自分の案件に置き換えるときの順番

このニュースから持ち帰れるのは、相手と順番の整理です。

まず、市の空き家の制度は、情報を突き合わせる場と、改修や取得の費用を一部支える仕組みまでを引き受けています。垂水市の場合、交渉と契約の仲介は行わず、物件の詳細かつ正確な情報は利用者自身が調査・確認するものだと明記されています。ここを自分の宿題として引き取れるかどうかが、空き家から入る場合の分かれ目になります。

次に、宿泊に使う判断は別の窓口で進みます。垂水市内の届出住宅であれば、届出の受付と指導監督は県が担い、届出そのものは民泊制度運営システムから行うことが原則です。消防法令適合通知書は、届出住宅を管轄する消防に相談して入手することになります。年間の提供日数に上限があり、それを超えるなら旅館業法の許可という別の入口になります。

最後に、書類は物件の状態から決まります。入居者の募集が行われている家屋なのか、随時その所有者等の居住の用に供されている家屋なのか、借りているのか、区分所有なのか。この見立てが変われば、用意する書類も変わります。取得や賃借の契約を結ぶ前に見立てを置いておくと、あとで運び直す手間が減ります。この記事は公表された発表と公的資料の記載を整理したもので、特定の事業者のサービスを推奨するものではありません。自分の物件で必要な手続きは、届出先である都道府県知事等の窓口に確認してください。

このメディアの運営元について

myHotelsメディアは、民泊予約システムを提供する myHotels が運営しています。 記事は自社サービスの利用を前提にせずに書いており、料金や条件は下のページで確認できます。

サービスの内容を見る オーナー登録に進む