出入国在留管理庁は2026年10月16日、令和8年6月末における在留外国人数を公表しました。発表本文によると、在留外国人数は428万1,026人で、前年末の412万5,395人に比べ15万5,631人(3.8%)増加し、過去最高を更新しています。
この数字を宿泊の仕事に引き寄せて読むとき、先に押さえておきたいことが2つあります。1つは、これは日本に在留している外国人の数であって、観光で訪れた人の数ではないということです。発表の注記では、「短期滞在」の在留資格が決定された人は中長期在留者に当たらないと定義されています。旅行で来日した人の多くは、この統計の中に入っていません。
もう1つは、宿泊者名簿の記載事項が分かれる基準との関係です。名簿で項目が増えるのは「日本国内に住所を有しない外国人」のときで、これは在留外国人統計の区分とは別のものさしです。統計の数字から、目の前の宿泊者がどちらに当たるかを決めることはできません。
この記事では、発表本文に載っている値を区分ごとにそのまま並べ、国籍・地域別、在留資格別、都道府県別の上位を確かめます。そのうえで、同じ機関が公表している入国者数の統計との違いと、宿泊者名簿で求められる区分との関係を整理します。発表に無い項目は推測で埋めず、記載がないと書きます。
公表されたのは、6月末時点で在留している外国人の数です
| 区分 | 令和8年6月末 | 前年末 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 在留外国人数 | 428万1,026人 | 412万5,395人 | 15万5,631人(3.8%)増加 |
| 中長期在留者数 | 401万7,321人 | この発表本文に記載がありません | この発表本文に記載がありません |
| 特別永住者数 | 26万3,705人 | この発表本文に記載がありません | この発表本文に記載がありません |
在留外国人数は、中長期在留者数と特別永住者数を合わせたものとして公表されています。今回の値は、中長期在留者が401万7,321人、特別永住者が26万3,705人で、この2つを合わせた428万1,026人が在留外国人数です。増減が人数と割合の両方で示されているのは総数のほうで、内訳それぞれの前年末比は本文に出てきません。
性別の内訳も本文にあります。男性が219万2,764人で構成比51.2%、女性が208万8,199人で同48.8%、その他が63人で同0.0%です。その他という区分については、旅券上の性別の記載に基づき、在留カード及び特定在留カードの性別表記が空欄となっている場合をいう、と注記されています。割合は表示桁数未満を四捨五入していることも明記されています。
国籍・地域の広がりも数で示されています。在留カード等及び特定在留カード等に表記された国籍・地域の数は195で、無国籍を除いた数とされています。
ここで大事なのが、冒頭でも触れた注記です。中長期在留者とは、入管法上の在留資格をもって我が国に在留する外国人のうち、在留期間が「3月」以下の人、「短期滞在」の在留資格が決定された人、「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人などに当てはまらない人、と定義されています。観光や短期の出張で訪れた人は、この定義から外れます。在留外国人数が増えたという見出しを、訪日旅行者が増えたという話に読み替えないでください。
国籍・地域別では、上位10のうちブラジルだけが減りました
| 順位 | 国籍・地域 | 令和8年6月末 | 前年末比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 中国 | 941,031人 | +10,603人 |
| 2 | ベトナム | 693,750人 | +12,650人 |
| 3 | 韓国 | 408,682人 | +1,341人 |
| 4 | フィリピン | 362,761人 | +6,182人 |
| 5 | ネパール | 334,850人 | +33,858人 |
| 6 | インドネシア | 307,456人 | +41,387人 |
| 7 | ミャンマー | 211,602人 | +29,035人 |
| 8 | ブラジル | 209,550人 | -464人 |
| 9 | スリランカ | 85,415人 | +6,287人 |
| 10 | 台湾 | 73,628人 | +372人 |
発表本文は、上位10か国・地域ではブラジルを除きいずれも前年末に比べ増加した、と書いています。減っているのはブラジルの464人だけで、ほかはすべて増えています。増加の人数が大きいのはインドネシアの41,387人、ネパールの33,858人、ミャンマーの29,035人で、在留している人数そのものの順位とは並びがそろっていません。
この順位を、来訪する旅行者の国籍構成と重ねないでください。ここに並んでいるのは、日本に住んでいる人の国籍です。旅行で日本を訪れる人がどの国・地域から来ているかは別の統計で公表されており、順位も違います。入国した人の側から数えた上半期の数値は令和8年上半期の外国人入国者数、国籍別をどの統計で見るかという整理は国籍別の訪日客数の見方にあります。
そして、自分の届出住宅に実際に泊まっている人の国籍構成は、全国の統計よりも手元の記録のほうが正確です。住宅宿泊事業者は国籍別宿泊者数の内訳を定期報告で自分から出しているため、過去の報告を並べれば自分の物件の構成がそのまま出てきます。公表されている民泊の宿泊実績が何を数えたものかは民泊の宿泊者数は何を数えた数字かで扱っています。
在留資格別の上位5に、観光のための区分はありません
| 順位 | 在留資格 | 令和8年6月末 | 前年末比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 永住者 | 961,342人 | +14,217人 |
| 2 | 技術・人文知識・国際業務 | 516,184人 | +40,394人 |
| 3 | 留学 | 479,626人 | +14,842人 |
| 4 | 技能実習 | 457,509人 | +891人 |
| 5 | 特定技能 | 444,256人 | +53,960人 |
在留資格別では永住者が最も多く、次いで技術・人文知識・国際業務、留学、技能実習、特定技能と続きます。技能実習は技能実習1号イ、1号ロ、2号イ、2号ロ、3号イ及び3号ロの合算、特定技能は特定技能1号及び2号の合算である、と注記されています。合算であることを落として引用すると、中身の違う区分と比べることになります。
並んでいるのは、働くため、学ぶため、あるいは生活の本拠を日本に置くための在留資格です。観光のために滞在する区分は、この上位5に出てきません。統計の性質がそのまま表に出ている形で、これも在留している人を数えた統計であることの表れです。
なお、在留資格ごとに宿泊の仕方が変わるかどうかについて、この発表本文には記載がありません。在留資格の種類から滞在先や宿泊の需要を推し量る材料は、ここには含まれていないということです。
都道府県別では、東京都が全国の19.3%を占めます
| 順位 | 都道府県 | 令和8年6月末 | 前年末比 |
|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 824,486人 | +23,048人(2.9%増) |
| 2 | 大阪府 | 389,846人 | +14,527人 |
| 3 | 愛知県 | 369,849人 | +12,049人 |
| 4 | 神奈川県 | 331,515人 | +14,162人 |
| 5 | 埼玉県 | 305,867人 | +14,930人 |
在留外国人数が最も多いのは東京都の824,486人で、前年末比23,048人、2.9%の増加です。全国の19.3%を東京都が占めており、次いで大阪府、愛知県、神奈川県、埼玉県と続きます。割合が示されているのは東京都だけで、ほかの4つの都府県が全国に占める割合は本文に出ていません。
市区町村別の内訳も、この本文にはありません。届出住宅がある区や市の単位で在留外国人の数を知りたい場合は、発表ページに置かれている公表資料のPDFとExcelを開くことになります。本文に載っている都道府県の値から、市区町村の値を割り出すことはできません。
この並びを宿泊需要の地図として読まないことも大切です。ここに出ているのは住んでいる人の数で、泊まりに来る人の数ではありません。宿泊施設の所在地別に泊まった人を数えた統計は別にあり、集計の単位も公表の周期も違います。訪日した人の数の読み方は訪日外国人数の推移をどう読むかにまとめています。
宿泊者名簿で分かれるのは「日本国内に住所を有しない外国人」かどうかです
ここからが、運営に直接かかってくる部分です。住宅宿泊事業法施行規則の第七条は、宿泊者名簿の記載事項を、宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日のほか、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときはその国籍及び旅券番号、と定めています。保存については、その作成の日から三年間保存するものとする、とされています。
観光庁の民泊制度ポータルサイトも、外国人宿泊者について旅券の取り扱いを示しています。国籍及び旅券番号欄への記載を徹底し、旅券の呈示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存すること、とされており、旅券の写しの保存により、その宿泊者についての氏名、国籍及び旅券番号の欄への記載を代替することもできると書かれています。名簿へ書き写すか、写しを保存するかを選べる形です。
本人確認は、宿泊行為の開始までに宿泊者それぞれについて行う必要があるとされています。対面のほか情報通信技術を活用した方法でも実施でき、その場合の要件として、宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること、その画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること、が挙げられています。
この2つを並べると、統計と名簿が別のものさしで動いていることがはっきりします。在留外国人統計が使う区分は、中長期在留者か特別永住者かという在留資格の側の区分です。名簿が使う区分は、日本国内に住所を有するかどうかという住所の側の区分です。前者の数字をいくら眺めても、後者の判定はできません。判定は宿泊者ごとに、宿泊行為が始まる前に行うことになります。
運用の面では、名簿への記載と旅券の写しの保存のどちらを標準にするかを、繁忙期が来る前に決めておくと混乱が減ります。名簿の作り方は民泊の宿泊者名簿、確認の進め方は民泊の本人確認、特定の国・地域からの受け入れで何が変わるかという整理は民泊で中国からの旅行者を受け入れる準備で扱っています。
この発表本文に記載がないこと
| 知りたくなる項目 | 今回の発表本文の記載 |
|---|---|
| 市区町村別の在留外国人数 | 記載がありません |
| 6位以下の国籍・地域 | 記載がありません |
| 6位以下の在留資格 | 記載がありません |
| 6位以下の都道府県 | 記載がありません |
| 中長期在留者数と特別永住者数それぞれの前年末比 | 記載がありません |
| 増減の理由・背景の説明 | 記載がありません |
| 在留外国人の宿泊や旅行に関する数値 | 記載がありません |
| 年末に向けた見通し | 記載がありません |
空欄が多いのは、この発表が6月末時点の主要な区分を先に示すものだからです。発表ページには公表資料のPDFとExcelが用意されており、参照先となる表の番号も本文中に示されています。細かい区分が必要なときは、そちらを開いたうえで、どの表から取った値かを添えて引用してください。
ここに並べた項目を、本文にある数字から計算して埋めることはしていません。たとえば上位の都道府県を足し合わせても、本文に出ていない都道府県の値は出てきません。発表が示していない数値を、発表を出典として書かないでください。
民泊の運営で、この数値をどう使うか
まず、この発表から確認できるのは、6月末時点で日本に在留している外国人の数と、その国籍・地域別、在留資格別、都道府県別の上位です。いずれも住んでいる人を数えたもので、宿泊施設に泊まった人の数でも、これから泊まりに来る人の数でもありません。稼働率や客数の見積もりに、この数字をそのまま持ち込む使い方は向いていません。
次に、宿泊者名簿と本人確認の運用について言えば、この統計は判定の材料になりません。前の節で見たとおり、名簿の記載事項が分かれるのは日本国内に住所を有しない外国人かどうかという基準で、在留資格の区分ではないからです。国内に住所のある人が泊まりに来ることも、短期滞在で訪れた人が泊まりに来ることもあります。どちらも同じ受付の流れの中で起きるため、手順は宿泊者ごとに同じ形で回したほうが取り違えが起きません。
そのうえで、この統計に向いている使い方もあります。半期ごとに同じ区分で公表されるため、外国語の案内をどの言語で用意するかを考えるときの背景として参照できます。ただし言語を決める材料としては、自分の届出住宅の定期報告に残っている国籍別の内訳のほうが直接的です。全国の順位と自分の物件の構成が食い違うことは珍しくありません。
数値を社内や社外の資料へ引用するときは、統計の名前、公表した機関、基準となる時点、区分、そして確認した日を一緒に残してください。在留外国人が428万人を超えたとだけ書くと、在留している人の数なのか、入国した人の数なのかを、後から見分けられません。法令の解釈や、自分の物件で必要になる手続きの判断は、届出先である都道府県知事等の窓口に直接確認してください。
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