中国人旅行者/解説

民泊で中国からの旅行者を受け入れる準備|公表値と法令が決めている手続き

民泊の外国人宿泊者のうち中国は第4位です(令和8年4-5月分)。公表されている順位の読み方、自分の届出住宅の国籍構成を定期報告から取り出す手順、旅券の写しと外国語案内で法令が求める範囲、2026年の中国の連休日程を、一次情報の表記のまま整理します。

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観光庁が民泊制度ポータルサイトで公表している宿泊実績には、届出住宅に泊まった外国人の国籍別の順位が載っています。令和8年4月1日から5月31日までの集計で、第1位が米国、第2位が韓国、第3位が台湾、そして中国は第4位です。入国者数の話から受け取る印象と、実際に届出住宅へ泊まった人の構成は、同じではありません。

先に、この記事が扱わないことを書いておきます。中国からの旅行者の好みや消費の傾向を紹介する記事ではありません。全国の民泊に泊まった中国からの旅行者について、嗜好や行動を集計した公的な資料を、今回の確認では見つけられませんでした。扱うのは、公表値で確かめられる位置づけ、受け入れたときに法令が求める手続き、そして日程が公表されている中国国内の連休の三つです。

この三つは、どれも確かめられるものです。順位と割合は観光庁の公表資料に、名簿と旅券の写しと外国語での案内は住宅宿泊事業法施行規則と観光庁の案内に、連休の日程は中国の国務院弁公庁が出した通知に書かれています。逆に言えば、それ以外の「中国からの旅行者はこうだ」という話を、この記事では書けません。

公表されているのは順位で、中国だけの人数ではない

まず公表値を確かめます。対象期間は令和8年4月1日から5月31日までで、宿泊者数の合計は626,765人。このうち日本国籍が235,591人で37.6%、外国人が391,174人で62.4%です。届出住宅に泊まった人の6割以上が外国人、という構成になります。

その外国人391,174人を国籍別に見た結果が、冒頭の順位です。観光庁は「第1位が米国、第2位が韓国、第3位が台湾、第4位が中国、第5位がオーストラリアであった」と書き、あわせて「上位5カ国・地域で外国人宿泊者数の47.0%を占める」としています。順位と合計の割合は公表されていますが、国・地域ごとの人数は、このページには載っていません。中国からの宿泊者が何人だったかを、この資料から取り出すことはできません。

届出住宅の宿泊者を日本国籍と外国人に分けた帯グラフ、外国人宿泊者の地域別内訳の横棒、国籍別の順位カードを並べ、中国が第4位であることを示した図
日本国籍と外国人の比率、地域別の上位3区分、国籍別の順位を1枚に並べたものです。国・地域ごとの人数は公表資料に掲載がないため、順位だけを示しています。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業法の施行状況」(確認日 2026-09-16)

地域別の内訳も公表されています。東アジアが最も多く「全体の31.5%」、次いで北米が18.2%、欧州が14.7%です。中国は東アジアの区分に入るため、この31.5%には韓国・台湾・香港なども含まれます。東アジアが最多であることを、中国が最多であることの根拠として読まないでください。国籍別の順位では、中国の上に米国・韓国・台湾が並んでいます。

もうひとつ、この集計の前提があります。宿泊実績は届出住宅からの報告を足し上げたもので、対象期間の報告件数は34,902件、報告率は84.7%です。報告のなかった住宅の宿泊者は、合計にも国籍別の内訳にも入っていません。公表値が何を数えたものかは民泊の宿泊者数は何を数えた数字かで詳しく扱っています。入国者数の統計との違いは国籍別の訪日客数はどの統計で見るかです。

自分の届出住宅の構成は、自分が出した報告に残っている

全国の順位より先に見るべき数字があります。自分の届出住宅に、どの国籍の人が何人泊まったかです。そしてこれは、探しに行かなくても手元にあります。住宅宿泊事業者は国籍別宿泊者数の内訳を自分で報告しているからです。

観光庁の案内によると、定期報告で扱う国籍の区分は次のとおりです。ここに中国が独立した区分として置かれているため、過去の報告を並べれば、自分の物件の中国からの宿泊者の推移がそのまま出てきます。全国の順位を眺めるより、この数字のほうが判断に直結します。

区分のまとまり 定期報告で選ぶ国籍の区分
日本 日本
東アジア 韓国、台湾、香港、中国
東南アジア・南アジア タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド
欧州・ロシア 英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア
北米・オセアニア 米国、カナダ、オーストラリア
上記以外 その他

報告の期限は決まっています。観光庁は「毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の15日までに」報告するとしており、報告する項目は宿泊させた日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別宿泊者数の内訳です。報告は民泊制度運営システムを利用することが原則とされ、画面への直接入力のほか、ファイルの読み込みでも提出できます。

つまり受け入れの検討は、次の順で進められます。過去の報告から自分の中国比率を出す。全国の公表値と見比べて、自分の物件が全国の傾向とどれだけ違うかを知る。そのうえで、案内や設備に手を入れるかどうかを決める。順序を逆にすると、自分の物件では起きていない前提に合わせて手を入れることになります

受け入れで法令が決めているのは、本人確認と名簿と旅券の写し

ここからは手続きです。中国からの旅行者に限った特別な手続きは設けられていません。効いてくるのは「日本国内に住所を有しない外国人」という区分で、観光や出張で来日する人の多くがこれに当たります。

住宅宿泊事業法施行規則の第七条は、宿泊者名簿の記載事項を「宿泊者の氏名、住所、職業及び宿泊日のほか、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときは、その国籍及び旅券番号」と定めています。保存については「その作成の日から三年間保存するものとする」とされ、都道府県知事等から求めがあれば提出します。

外国人の宿泊者については、観光庁が旅券の取り扱いも示しています。「旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存すること」とされ、写しを保存すれば、名簿の氏名・国籍・旅券番号の欄への記載を代替できるとも書かれています。名簿へ書き写す作業と、写しを保存する作業の、どちらかを選べるということです。どちらにするかを先に決めておかないと、繁忙期に運用が混ざります。

宿泊者の区分 宿泊者名簿に記載する事項 旅券の写し
日本国内に住所を有しない外国人 氏名、住所、職業、宿泊日に加えて、国籍と旅券番号 名簿とともに保存する。保存により氏名・国籍・旅券番号の記載を代替できる
それ以外の宿泊者 氏名、住所、職業、宿泊日 国籍と旅券番号は、日本国内に住所を有しない外国人のときの項目

本人確認は宿泊を開始する前に行います。対面のほか、情報通信技術を活用した方法でも実施でき、その場合は「宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること」が要件として挙げられています。画面ごしに旅券を見せてもらう運用にするなら、映像の解像度と照明が要件そのものに関わります。名簿の作り方は民泊の宿泊者名簿、確認の方法は民泊の本人確認で扱っています。

予約の受付から本人確認、宿泊者名簿への記載、3年間の保存、偶数月の定期報告までの順序と、日本国内に住所を有しない外国人のときに記載と保存が増える分岐を示した工程図
予約から定期報告までを順に並べ、宿泊者の区分で記載事項が分かれる箇所を中央に置いています。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「事業者の業務[1]」住宅宿泊事業法施行規則(厚生労働省 法令等データベースサービス)(確認日 2026-09-16)
観光庁の民泊制度ポータルサイト「事業者の業務」のページのファーストビュー
引用キャプチャ 宿泊者名簿の備付けと記載事項、本人確認の方法、外国人宿泊者の旅券の写しの取り扱いが示されている公式ページです。 出典:事業者の業務[1](観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」)(確認日 2026-09-16/表示のファーストビュー)

外国語での案内は三つ。どの言語にするかは決まっていない

外国人観光旅客である宿泊者に対しては、外国語を用いた案内が求められます。観光庁が挙げているのは三つで、届出住宅の設備の使用方法に関する案内、移動のための交通手段に関する情報の提供、火災・地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内です。

ここで多くの人が知りたくなるのは「中国語を用意すべきか」でしょう。どの言語を用意するかを指定した記述は、今回参照したページでは確認できませんでした。言語の選択は事業者の判断に委ねられている形になります。だからこそ、前の節で触れた自分の報告値が効きます。自分の届出住宅に中国からの宿泊者が継続して来ているなら中国語を用意する理由があり、来ていないなら別の言語が先になります。

外国語で行う案内 内容を決めるときに確かめるもの
届出住宅の設備の使用方法 自分の物件に実際にある設備(給湯、空調、調理、洗濯、鍵など)の操作手順
移動のための交通手段 最寄りの駅・停留所と、そこから届出住宅までの経路
火災、地震その他の災害時の通報連絡先 通報先の番号と、事業者・管理業者への連絡先

このサイトでは案内文の文例を作りません。騒音やごみの出し方の説明は、その届出住宅とその周辺の生活環境に応じた内容であることが求められており、どの物件にも当てはまる文章は成り立たないためです。案内に載せる項目の考え方は民泊のチェックイン案内に整理しています。翻訳の品質や、機械翻訳を使ってよいかどうかを示した公的な資料は見つけられませんでした。

連休の日程は公表されている。予約が増える根拠ではない

受け入れの準備でもうひとつ確かめられるのが、中国国内の休暇の日程です。中国の国務院弁公庁は2025年11月4日付で2026年の休暇の日程を通知しており、中国政府網に全文が掲載されています。春節は2月15日から23日までの9日間、国慶節は10月1日から7日までの7日間です。いずれも通知の中で最も長い休みにあたります。

2026年に中国国内で定められた7つの連休を月の目盛り上に並べ、春節が2月15日から23日までの9日間、国慶節が10月1日から7日までの7日間と長いことを示した年間のタイムライン
通知に挙げられている7つの休暇を、年間の目盛りの上に置いたものです。日数は通知の表記によります。 出典:国務院弁公庁による2026年の一部祝日・休暇の日程に関する通知(中国政府網)(確認日 2026-09-16)

日程には振り替えが組み込まれています。春節は2月14日と2月28日、国慶節は9月20日と10月10日が出勤日になり、その代わりに連続した休みが作られています。通知はあわせて、年次有給休暇などと組み合わせて長めの休暇を実際に形づくり、時期を分散した移動を進めることにも触れています。

注意したいのは、この日程が示すのは中国国内の休みだけだという点です。この期間に日本への旅行や、民泊の予約が増えることを示す資料ではありません。自分の物件の予約がこの期間にどう動いたかは、過去の予約記録と定期報告の国籍別内訳を突き合わせれば分かります。まずそこを見てから、料金や最低宿泊日数の設定を考える順序にしてください。

営業日数の上限がある点も忘れないでください。住宅宿泊事業として営業できる日数には上限があり、特定の時期へ日数を寄せれば、別の時期に使える日数は減ります。数え方は民泊の営業日数の数え方で扱っています。

中国政府網に掲載された国務院弁公庁の2026年の休暇日程に関する通知のページのファーストビュー
引用キャプチャ 2026年の元旦から国慶節までの休暇の日程と、休みと入れ替えで出勤日になる日が並んでいる通知の全文ページです。 出典:国務院弁公庁による2026年の一部祝日・休暇の日程に関する通知(中国政府網)(確認日 2026-09-16/表示のファーストビュー)

出典が取れず、この記事で扱わなかったこと

書かなかったことを残しておきます。いずれも、裏づけになる一次情報を確認できなかったためです。

決済手段については、中国からの旅行者がどの方法で支払うかを集計した公的な資料を見つけられませんでした。そのため、特定の決済サービスを導入すべきかどうかは書いていません。地図や翻訳のアプリ、通信環境の整え方についても同じで、推奨できる根拠がありません。

滞在中の過ごし方や、好まれる設備・アメニティの一覧も作りませんでした。全国規模で集計した資料が無い状態で一覧を出すと、根拠のない「中国からの旅行者はこうだ」という決めつけになります。入国や査証の手続きは宿泊事業者が行うものではないため、この記事では扱っていません。

これらは、確認できる資料が出てきた時点で追記します。空欄のままにしてあるのは、埋められなかったからです。

受け入れる前に確認する順番

最後に順番だけまとめます。全国の公表値では、届出住宅の外国人宿泊者のうち中国は第4位で、上位5カ国・地域を合わせて47.0%です。ただし国・地域ごとの人数の掲載はなく、この資料から中国だけを取り出すことはできません。

次に自分の報告を見ます。定期報告の国籍の区分には中国があり、偶数月の15日までに提出した内訳が残っています。全国の傾向ではなく、自分の届出住宅の実績が判断の材料です。

そのうえで手続きを整えます。宿泊開始前の本人確認、名簿への記載、日本国内に住所を有しない外国人についての国籍と旅券番号、旅券の写しの保存、作成の日から三年間の保存。ここまでが法令で決まっている範囲です。外国語での案内は三つの項目が決まっており、言語の選択は自分の実績から決めます。連休の日程は通知で確かめられますが、予約が増えることの根拠にはなりません。

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