本人確認の話は、たいてい「対面か、オンラインか」から始まります。ところが実務で先に詰まるのは、そこではありません。
誰の責任で行うのかと、どの機器を使うのかです。この2つが決まっていないと、方式を選んでも運用できません。
この記事では「民泊 本人確認 オンライン」で探される内容も扱います。オンラインで満たすべき2つの条件そのものは民泊のチェックイン方法、名簿への書き方は民泊の宿泊者名簿にまとめました。ここでは主体と機器を扱います。
委託していれば、管理業者の責任で行う
まず、誰がやるのかです。
観光庁の民泊制度ポータルサイトは、住宅宿泊管理業者が住宅宿泊管理業務の委託を受けて行う場合には、正確な記載を確保するための措置の実施について、住宅宿泊管理業者の責任の下に行う必要があるとしています。正確な記載を確保するための措置とは、本人確認のことです。
そのうえで、本人確認の方法は、委託者との間で、管理受託契約により明確に取り決めておく必要があるとされています。方法を契約に書いていないまま委託することは想定されていません。
委託した場合、法第5条から第10条の規定はその委託を受けた住宅宿泊管理業者に準用され、届出住宅の維持保全に関する業務も含めて住宅宿泊管理業者の責任の下で住宅宿泊管理業務を行うこととなります。宿泊者名簿の備付け等はこの範囲に入ります。
そして委託は全部委託です。本人確認だけは自分で行うという切り分けはできません。委託の範囲の決まりは民泊の鍵の受け渡しにまとめました。
機器は事業者・管理業者の側が用意する
次に、何を使うのかです。ここが最も間違えやすいところです。
よくあるご質問では、非対面の本人確認について次のように示されています。宿泊者所有のスマートフォン等の機器による本人確認は、レンズ等の破損、充電不足など住宅宿泊管理業者の管理の及ばない要因により、適切な業務に支障を及ぼすおそれがあるため、住宅宿泊管理業者が適切な代替措置を予め用意せずに宿泊者所有の機器で行うことは認められません。
続けて、住宅宿泊管理業者は、遠隔で本人確認を行う場合には、自ら必要な機器を必ず用意し、確実に機能維持を行うことが必要とされています。
非対面にすると機器が要らなくなる、という理解は逆です。 届出住宅の側に機器を置き、それが動き続けるように面倒を見ることになります。壊れていないか、充電されているかを確かめるのは事業者や管理業者の側の仕事です。
宿泊者の機器が使える例外
例外が示されています。ただし、条件が重なっています。
よくあるご質問は、住宅宿泊管理業者が適切な代替措置を用意したにもかかわらず宿泊者が希望した場合などの特別な場合であって、顔を十分判定できる解像度が確保され、情報発信された位置の情報が確認できる場合に、宿泊者が所有する機器を用いてなされた本人確認は、適法なものとみなされますとしています。
順に読むと、こうなります。まず代替措置を用意してあること。そのうえで宿泊者の側が希望したこと。そして顔を十分判定できる解像度と情報発信された位置の情報が確認できること。
最初から宿泊者のスマートフォンだけで回す設計は、この例外に当てはまりません。 代替措置を用意していないためです。宿泊者の機器を使う運用を考えているなら、届出住宅の側の機器を先に用意したうえで、そちらが選ばれなかった場合の道として置くことになります。
オンラインで行うときの2つの条件
方式そのものの要件も、あらためて確認しておきます。
本人確認は、宿泊行為の開始までに、宿泊者それぞれについて行う必要があり、対面または対面と同等の手段として、次のいずれも満たすICTを活用した方法等により行われる必要があります。
A 宿泊者の顔及び旅券が画像により鮮明に確認できること。
B 当該画像が住宅宿泊事業者や住宅宿泊管理業者の営業所等、届出住宅内又は届出住宅の近傍から発信されていることが確認できること。
方法の例として、届出住宅等に備え付けたテレビ電話やタブレット端末等による方法が挙げられています。Bの条件があるため、宿泊者が空港や自宅から送ってくる画像では足りません。詳しくは民泊のチェックイン方法にあります。
確認できなかったときの手順
旅券を見せてもらえない場面の手順も決まっています。
日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、宿泊者名簿の国籍及び旅券番号欄への記載を徹底し、旅券の呈示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存することとされています。
呈示を断られた場合は、当該措置が国の指導によるものであることを説明して呈示を求め、さらに拒否する場合には、当該宿泊者は旅券不携帯の可能性があるものとして、最寄りの警察署に連絡する等適切な対応を行うこととされています。
現場で判断させると迷います。断られたときにどうするかを、対応する人へ先に渡しておいてください。
確認したあとにも続く
チェックインで終わりではありません。
長期の滞在について、定期的な清掃等の際に、チェックイン時に本人確認を行っていない者が届出住宅に宿泊するようなことがないよう、不審な者が滞在していないか、滞在者が所在不明になっていないか等について確認するようにされています。
さらに、宿泊契約が7日以上の場合には、定期的な面会等により上記の確認を行う必要があると明記されています。非対面で受け入れた場合も、長期の予約では会いに行く前提になります。
決める順序
体制は、次の順で決まります。
誰の責任で行うかを確定する。 委託義務があるなら管理業者の責任です。方法を管理受託契約に書きます。
届出住宅の側に置く機器を決める。 顔と旅券が鮮明に確認でき、画像の発信元が届出住宅内・近傍・営業所等であると確認できるもの。用意するのは事業者・管理業者の側です。
機能を維持する担当を決める。 破損と充電切れは想定されている問題です。誰がいつ確かめるかを決めておきます。
宿泊者の機器を使う道を置くかを決める。 置くなら、代替措置を用意したうえでの例外として扱います。
断られたときの手順を配る。 旅券の呈示を拒否された場合の流れを、対応する人へ渡します。
長期の予約を受けるか決める。 7日以上では定期的な面会等が必要になります。
次に読むもの
名簿への書き方と保存は民泊の宿泊者名簿、対面と非対面の運用は民泊のチェックイン方法、離れた場所から回す場合の体制は民泊の遠隔運営にあります。
この記事は観光庁の民泊制度ポータルサイトが公表しているページを整理したものです。特定の機器やサービスを評価するものではありません。運用の形について判断に迷う場合は、届出先の都道府県知事等の窓口へ確認してください。
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