出入国在留管理庁は2026年10月16日、令和8年上半期における外国人入国者数及び日本人出国者数等について公表しました。発表本文によると、外国人入国者数は2,144万7,220人で前年同期に比べ7万1,050人(0.3%)増加し、外国人新規入国者数は1,970万6,953人で前年同期に比べ2万1,452人(0.1%)減少しています。
同じ発表の中に、方向の違う数値が並んでいます。特例上陸許可を受けた外国人の数は137万546人で前年同期に比べ64万9,984人(32.2%)減少し、入国者数と特例上陸許可を合計した外国人入国者等の総数は2,281万7,766人で、前年同期に比べ57万8,934人(2.5%)減少しました。増えた区分と減った区分が同時にあるため、どの区分を引用するかで見える絵が変わります。
この記事では、発表本文に載っている値を区分ごとにそのまま並べ、国籍・地域別と在留資格別の上位、特例上陸許可の内訳、日本人出国者数を確かめます。あわせて、この統計が日本政府観光局の訪日外客数とも、宿泊施設側の報告を集計した宿泊旅行統計調査とも別のものであることを整理します。増減の理由は発表本文に書かれていないため、この記事でも理由を補いません。
公表されたのは5つの区分の数値です
| 区分 | 令和8年上半期 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 外国人入国者数 | 2,144万7,220人 | 7万1,050人(0.3%)増加 |
| 外国人新規入国者数 | 1,970万6,953人 | 2万1,452人(0.1%)減少 |
| 特例上陸許可を受けた外国人の数 | 137万546人 | 64万9,984人(32.2%)減少 |
| 外国人入国者等の総数 | 2,281万7,766人 | 57万8,934人(2.5%)減少 |
| 日本人出国者数 | 694万4,615人 | 33万5,619人(5.1%)増加 |
発表本文の冒頭には、この5つが並んでいます。いずれも令和8年上半期の値で、前年同期と比べた増減が人数と割合の両方で示されています。割合は表示桁数未満を四捨五入していると注記されています(注13)。区分の名前が似ているため、転記するときは「入国者数」と「入国者等の総数」を取り違えないようにしてください。
外国人入国者数は、新規入国者数と再入国者数の合計として定義されています。新規入国者数は入国時に在留資格を受けて上陸を許可された者の数、再入国者数は中長期にわたり在留している外国人(特別永住者を含む)が一時的に出国して再び入国した者の数です(注1・注2)。再入国者数そのものの値は、この発表本文には示されていません。新規入国者数が減って入国者数が増えている以上、残りの部分がどう動いたかは本文からは確かめられません。
対象期間の月ごとの内訳も本文にはありません。発表ページからは公表資料のPDFとExcelが案内されているため、月別や出入国港別の数値が必要なときはそちらを開くことになります。本文だけを見て月の動きを語ることはできない、という前提で引用してください。
国籍・地域別の新規入国者数は韓国・台湾・米国の順です
| 国籍・地域 | 新規入国者数 | 対前年同期 |
|---|---|---|
| 韓国 | 555万3,483人 | 19.0%増 |
| 台湾 | 376万9,254人 | 21.2%増 |
| 米国 | 178万9,080人 | 7.3%増 |
| 4位以下 | この発表本文には記載がありません | - |
国籍・地域別の新規入国者数は、韓国が555万3,483人(対前年同期19.0%増)で最も多く、次いで台湾が376万9,254人(同21.2%増)、米国が178万9,080人(同7.3%増)と公表されています。発表本文に名前が出ているのはこの3つで、4位以下の順位と人数は本文に示されていません。本文では、国籍・地域別の参照先として第2表・第3表・第5表が示されています。
この並びを、自分の宿に来る客層の予想としてそのまま使うことはできません。入国した人数の多さは、同じ割合でどの宿にも配分されるものではなく、地域や施設の種類、販売している予約経路によって客層は変わります。それでも、上位の市場がどこかを押さえておくと、案内や表記をどの言語から整えるかの順番は決めやすくなります。受け入れの具体的な支度は韓国人ゲストの受け入れ、台湾人ゲストの受け入れ、言語の揃え方は民泊の多言語対応にまとめています。
在留資格別は「短期滞在」が全体の98.2%を占めます
在留資格別の新規入国者数は、「短期滞在」が1,935万915人(対前年同期0.04%減)で最も多く、全体の98.2%を占めると示されています。次いで「留学」が11万1,930人(同8.2%増)、「技能実習」が7万6,715人(同3.9%減)です。技能実習は1号イ、1号ロ、2号イ、2号ロ、3号イ、3号ロの合算であることが注記されています(注3)。
ここから分かるのは在留資格の区分だけで、旅行や業務といった目的別の内訳は発表本文にありません。短期滞在という資格の中で、どれだけが観光なのかを示す数値も載っていません。短期滞在の割合を、そのまま観光目的の割合として読み替えることはできません。外国人ゲストの受け入れで実際に手を動かすのは名簿や本人確認の側で、記載する項目と確かめ方は民泊の宿泊者名簿にまとめています。
特例上陸許可は137万546人、うち乗員上陸許可が78.5%です
| 区分 | 令和8年上半期 | 補足 |
|---|---|---|
| 特例上陸許可の合計 | 137万546人 | 前年同期比 64万9,984人(32.2%)減少 |
| うち乗員上陸許可 | 107万6,025人 | 全体の78.5% |
| うち船舶観光上陸許可 | 28万1,792人 | 前年同期と比べ50万3,392人(64.1%)減少 |
| その他の上陸許可 | この発表本文には記載がありません | - |
特例上陸許可は、入国時に在留資格を受ける上陸許可ではない許可の総称で、船舶観光上陸許可、寄港地上陸許可、通過上陸許可、乗員上陸許可、緊急上陸許可、遭難上陸許可、一時庇護のための上陸許可が含まれると定義されています(注4)。令和8年上半期の数は137万546人で、前年同期に比べ64万9,984人(32.2%)減少しました。
内訳として本文に出ているのは2つです。乗員上陸許可を受けた者の数は107万6,025人で全体の78.5%を占め、船舶観光上陸許可を受けた者の数は28万1,792人で、前年同期と比べ50万3,392人(64.1%)減少しました。残る許可の種類ごとの数値は本文に示されておらず、参照先として第8表が挙げられています。
定義の文言も読み方に関わります。船舶観光上陸許可は、出入国在留管理庁長官が指定するクルーズ船に乗っている外国人が観光のため上陸する場合に、その指定旅客船が出港するまでの間に帰船することを条件として、出国するまでの間7日又は30日を超えない範囲内で与えられるものです(注5)。乗員上陸許可は、外国人乗員が乗換えや休養等の目的で寄港地に一時的に上陸する場合に与えられるものです(注8)。どちらも宿泊したかどうかを示す数値ではありません。宿泊との関係について、発表本文には記載がありません。
日本人出国者数は694万4,615人で5.1%増えました
日本人出国者数は694万4,615人で、前年同期に比べ33万5,619人(5.1%)増加しました。これは日本から出国した人の数で、国内旅行の動きを示すものではありません。国内の宿泊需要をこの数値から読み取ることはできず、発表本文にも国内旅行や宿泊への言及はありません。日本人の国内旅行について公表されている統計と、その読み方は日本人の国内旅行の統計で扱っています。
「訪日外客数」とも「宿泊者数」とも別の統計です
入国に関する数値は複数の機関が公表しており、名前が似ているため混ざりやすいところです。日本政府観光局の訪日外客統計のページには、入国外国人の男女別・年齢別・国籍別については法務省発表の出入国管理統計年報により公表されていることと、法務省発表の入国外国人総数はJNTO発表の訪日外客数と異なることが明記されています。同じ期間を見ていても、出どころの違う2つの数値を同じ指標として並べることはできません。
宿泊の実績は、さらに別の統計です。観光庁の宿泊旅行統計調査は宿泊施設側の報告を集計したもので、延べ宿泊者数や客室稼働率を示します。入国者数が増えた期間に宿泊が同じだけ増えるとは限らず、1人が何泊したかによって人泊の数は変わります。統計の区分と公表段階の違いは宿泊旅行統計調査の見方、訪日外客数の段階と改定は訪日外国人数の推移をどう読むか、国籍別をどの統計から読むかは国籍別の訪日客数の見方で扱っています。
この発表本文に記載がないこと
| 知りたくなる項目 | 今回の発表本文の記載 |
|---|---|
| 月ごとの内訳 | 記載がありません |
| 再入国者数の値 | 記載がありません |
| 目的別(観光・業務など)の内訳 | 記載がありません |
| 出入国港別・空港別の数値 | 記載がありません |
| 宿泊した人数・宿泊日数 | 記載がありません |
| 4位以下の国籍・地域 | 記載がありません |
| 増減の理由・背景の説明 | 記載がありません |
| 下半期の見通し | 記載がありません |
空欄が多いのは、この発表が上半期の主要な区分の値を先に示すものだからです。発表ページには公表資料のPDFとExcelが用意されているため、細かい区分はそちらで確認することになります。本文に無い項目を、本文にある数字から作らないでください。入国した人の数から、宿泊した人の数を割り出すことはできません。
民泊の運営でこの数値を使うときに分けて考えること
この発表から確認できるのは、上半期に入国した外国人の数と、そのうちの新規入国者数、国籍・地域別と在留資格別の上位、特例上陸許可の数と内訳、そして日本人出国者数です。いずれも全国の合計で、特定の物件に来る客数や稼働率を示すものではありません。全国で増えた区分があっても、自分の地域や物件が同じ方向に動くとは限りません。
売上の見積もりに、この種の全国統計をそのまま掛け算で持ち込まないほうが安全です。確定している条件から枠を出し、条件を振って試算する手順は民泊の売上予測の立て方にまとめています。届出住宅に泊まった人の数を見たい場合は、民泊の宿泊者数の統計のほうが近い区分です。
数値を社内や社外の資料へ引用するときは、統計の名前、公表した機関、対象期間、区分、そして確認した日を一緒に残してください。「上半期の外国人入国者数」と書くだけでは、入国者数なのか総数なのか、新規なのか再入国を含むのかが、後から見分けられません。法令の解釈や自分の物件で必要になる手続きの判断は、届出先である都道府県知事等の窓口に直接確認してください。
このメディアの運営元について
myHotelsメディアは、民泊予約システムを提供する myHotels が運営しています。 記事は自社サービスの利用を前提にせずに書いており、料金や条件は下のページで確認できます。