台湾人旅行者/解説

民泊で台湾人旅行者を受け入れる|統計の読み方と、報告・案内で台湾を分ける場面

台湾は民泊の外国人宿泊者で第3位(令和8年4-5月分)、台湾側の統計では2025年の出国先の第1位が日本で673.1万人次です。三つの統計が数えているものの違い、定期報告で台湾を中国・香港と分けること、中国語案内の字体、台湾の連休を一次情報で整理します。

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台湾からの旅行者は、日本の民泊にとって小さな存在ではありません。観光庁が公表している届出住宅の宿泊実績では、令和8年4月1日から5月31日までに泊まった外国人の国籍別で台湾は第3位です。台湾側の統計を見ても、2025年(民国114年)に台湾から出国した1,894.4万人次のうち、行き先の第1位は日本で673.1万人次でした。

ただし、受け入れのための法令上の手続きが台湾の人だけ違うわけではありません。本人確認、宿泊者名簿、外国語での案内は、どの国・地域の宿泊者にも同じ条文が当てはまります。台湾という区分が実際に意味を持つのは、定期報告で国籍を振り分けるときと、中国語で案内を作るときの二つです。

この記事では、台湾からの旅行者を示す三つの統計がそれぞれ何を数えているか、定期報告で台湾をどう扱うか、中国語の案内で台湾向けに何が分かれているか、台湾の休日がどう決まるかを、日本と台湾の公的機関の発表で確かめられる範囲に絞って並べます。台湾からの旅行者の好みや消費の傾向は、民泊に限って集計した公的な資料を今回確認できなかったため、書いていません。

台湾からの旅行者を示す数字は、三つとも数えている場所が違う

「台湾からの旅行者は多い」という話をするとき、根拠になる数字は少なくとも三つあります。どれも公的機関が出しているものですが、数えている人の範囲も、単位も、期間も違います。混ぜて使うと、実際には出せない数字を出したつもりになります。

一つ目は台湾側の出国統計です。台湾の内政部移民署の国境事務大隊が2026年6月3日に出した発表によると、民国114年(2025年)の台湾からの出国は総計1,894.4万人次で、そのうち日本が673.1万人次で最も多い行き先でした。第2位以下は中国大陸323.8万人次、韓国183.5万人次、香港162.6万人次、ベトナム121.4万人次、タイ102.7万人次と続きます。単位の「人次」は延べ回数で、同じ人が年に2回日本へ行けば2と数えます。

二つ目は日本側の入国の統計です。日本政府観光局(JNTO)は2026年1月21日の発表で、2025年の年間訪日外客数を42,683,600人(前年比15.8%増)とし、年間累計で過去最高を記録した20市場の一つに台湾を挙げています。この値は推計値です。今回参照したページには台湾単独の年間人数は書かれていなかったため、この記事では人数ではなく「過去最高を記録した」という記述だけを使います。

三つ目が、届出住宅に泊まった人の数です。観光庁の「住宅宿泊事業法の施行状況」では、令和8年4月1日から5月31日までの宿泊者数が626,765人、うち外国人が391,174人(62.4%)でした。外国人の国籍別は、第1位が米国、第2位が韓国、第3位が台湾、第4位が中国、第5位がオーストラリアで、上位5カ国・地域で外国人宿泊者数の47.0%を占めるとされています。台湾の人数は載っていません。

台湾を出国した人、日本に入国した人、届出住宅に泊まった人の三つの統計を左から並べ、公表元・単位と期間・台湾について分かる値を示し、三つを割り算でつなげないことを下段に付けた図
左の台湾側の出国統計から右の届出住宅の宿泊実績へ進むほど、数える範囲は狭くなります。ただし期間と単位がそろっていないため、左の二つから右の人数を割り出すことはできません。 出典:台湾 内政部移民署 国境事務大隊の発表、日本政府観光局「訪日外客数(2025年12月推計値)」、観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(確認日 2026-09-18)

三つの違いを表にすると、次のようになります。

統計 公表元 数えているもの 期間 台湾について分かること
台湾からの出国 台湾 内政部移民署 出国の延べ回数(人次) 2025年(民国114年) 日本行きが673.1万人次で第1位
訪日外客数 日本政府観光局 日本に入国した外国人(推計値) 2025年 年間で過去最高を記録した市場の一つ
届出住宅の宿泊実績 観光庁 報告のあった届出住宅の宿泊者 令和8年4月1日〜5月31日 外国人の第3位。人数は非公表

いちばん気をつけたいのは右端の列です。台湾からの旅行者のうち何割が民泊に泊まったのか、という数字は、どの資料にも載っていません。期間の違う二つの統計を割り算して「民泊の利用率」のような値を作ると、どの公的機関も出していない数字を当サイトが作ったことになります。三つは別々に引用し、つなげないでください。

届出住宅の宿泊実績には、もう一つ前提があります。対象期間の届出住宅数41,207件に対して報告件数は34,902件、報告率は84.7%です。報告のなかった住宅に泊まった台湾からの旅行者は、第3位という順位の計算に入っていません。国籍別の統計が全体として何を数えているかは国籍別の訪日客数はどの統計で見るかで扱っています。

定期報告では、台湾は中国とも香港とも別の区分

公表値では順位しか分かりませんが、自分の届出住宅については、台湾からの宿泊者の数を自分で出しています。都道府県知事等への定期報告です。

観光庁の案内では、住宅宿泊事業者は毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の15日までに、それぞれの月の前2月における、届出住宅に人を宿泊させた日数、宿泊者数、延べ宿泊者数、国籍別の宿泊者数の内訳を報告します。この国籍の区分は、日本、韓国、台湾、香港、中国、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム、インド、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、米国、カナダ、オーストラリア、その他の22区分です。

台湾は、中国とも香港とも別の区分として置かれています。中国語を話す宿泊者をまとめて「中国」に入れてしまうと、報告の内訳がずれるだけでなく、自分の物件の客層を後から読み返すときにも区別できなくなります。予約の段階で届く住所や国・地域の情報を、名簿の国籍欄まで崩さずに運ぶことが、ここでの実務です。

もう一つ、見落としやすい決まりがあります。観光庁の「電子宿泊者名簿・定期報告方法」のページにある宿泊者名簿の内容の表で、国籍の欄は「宿泊者の国籍。日本に住所を有している外国人については『日本』と分類」と説明されています。旅券番号の欄は「国籍が『日本』以外の場合、入力が必要です」です。つまり、日本に住んでいる台湾の人は、この名簿の上では「日本」に分類され、台湾の区分には入りません。

宿泊者を定期報告の国籍区分へ振り分ける流れ図。日本に住所を有していれば台湾の人でも日本に分類し、有していなければ22区分のうち台湾へ振り分け、韓国・香港・中国とは別の区分になること、公表では台湾は第3位という順位だけが出ることを示している
最初に確かめるのは国籍ではなく、日本に住所があるかどうかです。住所がなければ22区分へ進み、台湾は韓国・香港・中国と並ぶ独立の区分になります。集計後に外から見えるのは順位だけです。 出典:観光庁「電子宿泊者名簿・定期報告方法」、観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(確認日 2026-09-18)

この分類は、宿泊者名簿そのものの記載事項とも同じ線で引かれています。名簿に国籍と旅券番号の記載が求められるのは、宿泊者が日本国内に住所を有しない外国人であるときです。住所で分かれるという判定の順序は、韓国からの宿泊者を例に民泊で韓国人宿泊者を受け入れるで詳しく扱っているので、ここでは繰り返しません。名簿の作り方そのものは民泊の宿泊者名簿にまとめています。

観光庁「電子宿泊者名簿・定期報告方法」のページのファーストビュー。定期報告の方法と報告データの項目が並んでいる
引用キャプチャ この節で引いた国籍の22区分と、日本に住所を有している外国人を「日本」と分類する名簿の項目が載っている公式ページです。 出典:電子宿泊者名簿・定期報告方法(観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」)(ページの確認日 2026-09-18/キャプチャの取得日 2026-09-06/表示のファーストビュー)

全国の順位は2か月ごとに入れ替わる可能性がありますが、自分の物件の台湾比率は、過去に出した報告を並べれば分かります。全国で第3位だから自分の物件でも多いはずだ、と考える前に、手元の報告を開いてください。公表値が何を数えたものかは民泊の宿泊者数は何を数えた数字かで整理しています。

中国語で案内を作るなら、台湾向けの繁体字は別の版になる

外国語での案内は、住宅宿泊事業法が求める措置の一つです。観光庁は、外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること、移動のための交通手段に関する情報を提供すること、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすること、の三つを挙げています。

そして、ここでいう「外国語」とは、宿泊予約の時点で日本語以外の言語として提示したものをいいます。台湾からの宿泊者のために中国語を用意しなければならない、という決まりはありません。予約の時点で中国語を提示していれば、その言語で案内する、という関係です。何語を提示するかの考え方は民泊の英語対応はどこまで必要かで整理しています。

中国語を提示すると決めたときに問題になるのが字体です。観光庁の「地域観光資源の多言語解説整備促進事業」の中国語のページでは、「地域観光資源の中国語解説文作成のためのライティング・スタイルマニュアル」が日本語版・簡体字版・台湾繁体字版の三つに分かれています。用語集も、英語と併せて中国語(簡体字・台湾繁体字)で用例を示す形です。

観光庁が公開している中国語の資料 簡体字 台湾繁体字
中国語解説文作成のためのライティング・スタイルマニュアル 簡体字版あり 台湾繁体字版あり
中国語解説文作成のための用語集 掲載あり 掲載あり
2025年度の中国語解説文事例集 11地域、245点の中国語解説文(字体別の点数は今回確認していません) 同左

国の資料が簡体字と台湾繁体字を最初から別の版として作っているということは、一方をもう一方へ機械的に置き換えれば済む、という前提には立っていないということです。案内を中国語で作るなら、簡体字の一つで済ませるのか、台湾向けの繁体字も用意するのかを、予約で提示する言語と合わせて決めておく必要があります。

ただし、これらの資料が対象にしているのは地域観光資源の解説文で、民泊の案内文のために作られた文例集ではありません。使えるのは用語の当て方や表記のそろえ方の部分です。案内の原稿をどの単位で作り、更新のときにどう版をそろえるかは民泊の多言語対応で扱っています。言語が一つ増えると、直す版も一つ増えます。

台湾の休日は、行政院人事行政總處が年ごとに決める

台湾からの予約がいつ入りやすいかを考えるとき、手がかりになる公的な情報は台湾側の休日です。台湾では、行政院人事行政總處が政府行政機関の辦公日暦表(勤務日と休日の暦)を年ごとに定めて公表しています。

同總處の新聞稿によると、民国115年(2026年)の総放假日数は120日で、3日以上の連続休暇(例假日と合わせたもの)は9回です。

2026年(民国115年)の3日以上の連続休暇 日数
農暦春節假期 9日
和平紀念日 3日
兒童節及清明節 4日
勞動節 3日
端午節 3日
中秋節及孔子誕辰紀念日/教師節 4日
國慶日 3日
臺灣光復暨金門古寧頭大捷紀念日等 3日
行憲紀念日 3日

同じ新聞稿は、民国114年(2025年)の下半年に孔子誕辰紀念日/教師節(9月28日)、臺灣光復暨金門古寧頭大捷紀念日(10月25日)、行憲紀念日(12月25日)の3つの国定假日が新しく加わったことも伝えています。休日の並びは年によって変わるということです。前の年の暦を見て翌年の予定を立てると、ずれることがあります。

それぞれの連続休暇が何月何日から何日までかは、同總處が公表している辦公日暦表の本体で確かめてください。今回参照した新聞稿の本文では、2026年の各休暇の開始日と終了日を確認できなかったため、この記事には日付を載せていません。

ここで、書かないことも一つ決めておきます。台湾で連休があることは、自分の届出住宅に台湾からの予約が増えることの根拠にはなりません。台湾側の移民署の発表も、端午節の連休と夏休みが近づいていることに触れてはいますが、どの時期にどれだけ日本へ向かうかの内訳は示していません。料金や最低宿泊日数を動かすなら、休日の暦ではなく、自分の物件の過去の予約と定期報告の台湾の数字を先に見てください。

出典が取れず、この記事で書かなかったこと

書かなかったことを残しておきます。いずれも、裏づけになる一次情報を今回確認できなかったためです。

台湾からの旅行者の平均泊数、1人あたりの旅行支出、利用した宿泊施設の種類については、観光庁のインバウンド消費動向調査に国籍・地域別の集計があります。ただ、公表されている形式の都合で今回は数値を読み取れていないため、この記事では扱っていません。台湾からの旅行者のうち何割が民泊を使ったかという値も、先に書いたとおり、どの資料にも見当たりませんでした。

好まれる設備や部屋の広さ、予約に使う経路、決済の手段も書いていません。民泊に限って台湾からの旅行者を集計した公的な資料が見つからなかったためです。台湾からの旅行者の口コミや体験談を集めて紹介することもしていません。

入国の手続きは宿泊事業者が行うものではないため扱っていません。外国人宿泊者の受け入れ全体の準備の順番はインバウンド民泊の準備にまとめています。

台湾を分けるのは報告と案内の二か所だけ

台湾からの旅行者は、台湾側の統計では日本が第1位の行き先として、日本側の統計では年間で過去最高を記録した市場として、届出住宅の宿泊実績では外国人の第3位として現れます。ただし三つの統計は数えているものが違い、つなげて一つの数字にすることはできません。全国の傾向を知るには順位と記述で足ります。自分の物件の判断には、自分の報告の数字を使います。

受け入れの実務で台湾という区分が効くのは、二つの場面です。一つは定期報告で、台湾を中国や香港と混ぜずに独立の区分へ入れること。その前に、日本に住所がある人は「日本」に分類されることを確かめておくこと。もう一つは中国語で案内する場合で、観光庁の資料が簡体字と台湾繁体字を別の版で用意していることを踏まえ、予約で提示する言語と字体を合わせて決めることです。

本人確認、名簿の作成と保存、宿泊中に閲覧できる形での外国語の案内は、台湾からの宿泊者に限らず同じ作業です。そこを崩さないまま、報告の区分と案内の字体だけを台湾に合わせる。それが、公的な資料から言える受け入れの準備の範囲です。

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