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訪日外国人旅行消費額は2兆2,076億円|2026年7-9月期の1次速報

観光庁がインバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)を公表しました。訪日外国人旅行消費額2兆2,076億円、1人当たり旅行支出23.4万円、消費額上位5か国・地域を、前の2四半期と同じ形で並べて整理します。

観光庁は2026年10月21日、インバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)の結果を公表しました。報道発表のページに示されているのは、訪日外国人旅行消費額が2兆2,076億円(前年同期比+3.2%)、1人当たり旅行支出(消費単価、全目的)が23.4万円(前年同期比+6.1%)、そして消費額上位5か国・地域の順位という3点です。

引用する前に、気をつけておきたい点を2つ出しておきます。1つは、金額の水準と前年同期比が同じ向きを向いているとは限らないことです。今回の消費額は、前の四半期である4-6月期の2兆5,096億円よりも低い水準にあります。それでも前年同期比は、4-6月期の+0.2%から+3.2%へ広がっています。どちらの数字を使うかで、説明がまるごと変わります。

もう1つは、1人当たり旅行支出が宿泊の単価ではないことです。これは滞在中の支出を全目的・全費目で合計した値で、宿泊費だけを取り出したものではありません。23.4万円を、1泊あたりの料金を決める材料には使えません。

この記事では、公表された3点を発表の表記のまま並べ、前の2つの四半期と同じ形で比べ、報道発表の本文に記載がない項目をはっきりさせます。そのうえで、民泊や小規模な宿の運営でこの数値をどこまで使えるかを整理します。発表に無い項目は推測で埋めず、記載がないと書きます。

公表されたのは、2つの金額と1つの順位です

項目 2026年7-9月期(1次速報) 前年同期比
訪日外国人旅行消費額 2兆2,076億円 +3.2%
1人当たり旅行支出(消費単価、全目的) 23.4万円 +6.1%
消費額上位5か国・地域 台湾/中国/韓国/米国/香港 記載がありません

報道発表の結果概要は、この3行で終わっています。金額の内訳も、訪日した人の数も、ページの本文には書かれていません。細かい数値は、同じページに置かれた報道発表資料のPDFと、観光庁の統計のページに置かれたファイルへ分かれています。

項目名に付いている「消費単価、全目的」という言葉を落とさないでください。観光やレジャーだけでなく、業務や親族訪問といった目的も含めた平均として公表されている値です。目的別に分けた数値は、この発表の本文にはありません。

そして、ここに出ている値はすべて1次速報です。インバウンド消費動向調査では、同じ四半期について1次速報が出たあとに2次速報が公表されます。社内の資料へ転記するときは、金額と一緒に「1次速報」と書き添えてください。段階を書いておかないと、数か月後に出典を開き直して値が合わなかったときに、誤りなのか更新なのかを判断できません。

前の2四半期と並べると、水準と前年同期比が別の向きを向きます

対象期間 訪日外国人旅行消費額 前年同期比 1人当たり旅行支出 前年同期比 公表日
2026年1-3月期(1次速報) 2兆3,378億円 +2.5% 22.1万円 −0.6% 2026年4月15日
2026年4-6月期(1次速報) 2兆5,096億円 +0.2% 24.4万円 +3.3% 2026年7月15日
2026年7-9月期(1次速報) 2兆2,076億円 +3.2% 23.4万円 +6.1% 2026年10月21日
訪日外国人旅行消費額の水準を3四半期分の棒で並べ、右に前年同期比のプラス2.5パーセント、プラス0.2パーセント、プラス3.2パーセントを並べた図。水準が前の四半期より低くても前年同期比は大きくなることを示している
左は金額の水準、右は前年の同じ四半期と比べた値です。2つは同じ向きに動くとは限りません。 出典:観光庁「インバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)の結果について」、同2026年4-6月期(1次速報)、同2026年1-3月期(1次速報)(確認日 2026-10-22)

3つの四半期を同じ形で並べると、消費額の水準は2兆円台の前半から中ほどに収まっていて、大きく離れてはいません。一方で前年同期比は+2.5%、+0.2%、+3.2%と動いています。水準が前の四半期より低くても、前年同期比は大きくなることがあります。比べている相手が違うからです。

1人当たり旅行支出も同じ形です。22.1万円、24.4万円、23.4万円と並び、前年同期比は−0.6%、+3.3%、+6.1%。金額の並びだけを見れば今回は前の四半期より低く、前年同期比だけを見れば3つの四半期で最も大きい値です。1つの発表の中に、向きの違う2つの読み方が同居していることになります。

ここで気をつけたいのは、四半期どうしの増減について、報道発表が理由を説明していないことです。発表が公表しているのは前年の同じ四半期と比べた値で、直前の四半期と比べた増減は示されていません。旅行には時期による波があるため、前の四半期と比べた増減だけを取り出して勢いとして語ると、発表が示していない話になります。引用するときは、どちらの軸で比べたのかを文のなかに書いてください。

上位5か国・地域は、今回また先頭が入れ替わりました

順位 2026年7-9月期 2026年4-6月期 2026年1-3月期
1番目 台湾 米国 台湾
2番目 中国 台湾 韓国
3番目 韓国 中国 中国
4番目 米国 韓国 米国
5番目 香港 香港 香港

今回の上位は、台湾、中国、韓国、米国、香港の順です。前の四半期は米国が先頭で、その前の四半期は台湾でした。3回のうち先頭が二度入れ替わっています。動いていないのは香港で、3回とも5番目に並んでいます。

ただし、ここで読めるのは順位だけです。それぞれの国・地域がいくら使ったのかは、報道発表の本文に記載がありません。1番目と2番目がわずかな差なのか大きく開いているのかも分かりません。順位が入れ替わったことを、その市場の消費が倍になった、半分になった、という話へ読み替えないでください。

運営の側から見ると、この入れ替わりの速さそのものが手がかりになります。案内文の言語や決済の手段を直近の先頭に合わせて組み替えると、次の四半期には前提が変わっている可能性があります。そして、自分の宿に実際に泊まっている人の内訳は、宿泊者名簿と自分が出した定期報告のほうが正確です。届出住宅に泊まった人の国籍別の集計は民泊の届出と宿泊実績の公表値で扱っています。

1人当たり旅行支出は、宿泊単価ではありません

1人当たり旅行支出23.4万円が全目的・全費目の合計であることを示した図。宿泊費・飲食費・交通費・娯楽等サービス費・買物代それぞれの金額は報道発表の本文に記載がないと示している
消費単価という名前ですが、宿泊の単価ではありません。費目ごとの金額は報道発表の本文に無く、統計ページの集計表側にあります。 出典:観光庁「インバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)の結果について」(確認日 2026-10-22)

1人当たり旅行支出は、訪日した人が滞在中に使った金額を全目的で平均した値です。宿泊費だけでなく、飲食費、交通費、娯楽等サービス費、買物代を合わせた合計として公表されています。費目ごとの金額と構成比は、報道発表の本文には記載がありません。

このため、23.4万円という数字から宿泊の単価を取り出すことはできません。滞在した日数も発表の本文にはないので、1泊あたりへ割り戻すこともできません。宿泊料金をどう組み立てるかという話は、この統計とは別の材料から始めることになります。考え方は民泊の客室単価の考え方に分けて書いています。

費目別の内訳が必要なときは、観光庁の統計のページに置かれている四半期ごとの集計表を開くことになります。そこまで確認したうえで引用するなら、どのファイルのどの表から取った値かを添えてください。報道発表のページだけを出典に挙げて費目別の金額を書くと、本文に無い数値を、その出典に基づく値として示すことになります。

報道発表の本文に記載がない項目

知りたくなる項目 報道発表の本文
費目別の内訳(宿泊費・飲食費・交通費など) 記載がありません
都道府県別の消費額 記載がありません
施設タイプ別(ホテル・旅館・簡易宿所・住宅宿泊事業)の内訳 記載がありません
上位5か国・地域それぞれの金額 記載がありません
目的別(観光・業務など)の内訳 記載がありません
訪日外国人旅行者数と平均泊数 記載がありません
四半期をまたいだ増減とその理由 記載がありません

この記事では、これらの項目の数値を書いていません。確認できていないものを本文へ置かないためです。空欄が多く残るのは、発表の形がそうなっているからで、調べ足りないからではありません。

とくに注意したいのは施設タイプ別です。この調査は訪日した人の支出を調べたもので、泊まった施設の種別ごとに金額を分けた内訳は、報道発表の本文には出てきません。民泊に支払われた分を、この発表から切り出すことはできません。宿泊の側から数えた統計は調査そのものが別で、公表の段階も集計の区分も違います。読み分け方は宿泊旅行統計調査の見方にまとめています。

同じ値にたどり着くための、公表ページの構造

報道発表のページは、結果概要の3行と、報道発表資料のPDFへのリンク、そして詳細結果を置いた統計のページへのリンクで組み立てられています。全体の向きをつかみたいなら報道発表のページ、数値を細かく見たいなら統計のページ、という順で使うことになります。

統計のページ側には、2026年7-9月期(1次速報)の分として、調査の概要、集計表、都道府県別集計表が並んでいます。都道府県別の値が必要なときに開くのは、報道発表ではなくこの集計表です。自分で開いて同じ値にたどり着ける形になっているかどうかが、数字を引くときの分かれ目です。出典として挙げるページと、実際に値を取ったファイルが違うなら、両方を書いてください。

観光庁の報道発表「インバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)の結果について」のページのファーストビュー
引用キャプチャ この記事が扱っている発表そのもののページです。訪日外国人旅行消費額、消費額上位5か国・地域、一人当たり旅行支出という結果概要の3行と、報道発表資料のPDFおよび詳細結果のページへのリンクが、同じページに並んでいます。 出典:インバウンド消費動向調査2026年7-9月期(1次速報)の結果について(観光庁 報道発表)(確認日 2026-10-22/表示のファーストビュー)

民泊の運営で、この数値をどこまで使えるか

まず、ここに出ている金額はすべて全国を合計した値です。地域ごとの需要は読めません。自分の物件がある地域の動きを見たいなら、統計のページの都道府県別集計表か、施設の所在地別に公表されている別の統計へ移る必要があります。消費額の統計と宿泊の統計は、数える対象も単位も違います。同じ図に重ねないでください。

次に、訪日した人の消費が増えたことと、自分の売上が増えることは別の話です。住宅宿泊事業には営業できる日数の上限があり、泊められる人数も物件で決まっています。需要の伸びが、そのまま売上に反映されるわけではありません。枠を先に出してから条件を振っていく手順は民泊の売上予測はどう立てるに書いています。

そのうえで、この統計に向いている使い方もあります。四半期ごとに更新されるため、収支計画に置いた前提を点検する参照先として使えます。客単価を据え置いたままでよいか、稼働の前提が市場の向きと逆になっていないか、といった確認です。半年に一度、前提を置き直すときに開く資料だと考えると位置づけがはっきりします。総額と1人あたりのどちらを見ているのかを取り違えないための整理は訪日外国人の消費額はどこで確認するか、人数の側の統計は訪日外国人数の推移をどう読むかにあります。

この記事に載せた数値は、上に挙げた観光庁の報道発表ページを確認日時点で転記したものです。1次速報はのちに2次速報へ置き換わり、次の四半期の発表が出れば順位も前年同期比も変わります。数か月後に同じ数字を使うときは、必ず出典のページを開き直してください。

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