Airbnbの手数料を調べると、3%と書いてあるページと15%台と書いてあるページの両方に行き当たります。どちらかが古いのではありません。Airbnbには料金体系が二つあり、どちらが適用されるかで、ホストから引かれる率の桁が変わります。自分の収支表に書く数字を決めるには、率そのものより先に、自分がどちらの側にいるのかを見分ける必要があります。
この記事は、Airbnbに部屋を出している、あるいは出そうとしている住宅宿泊事業者に向けて、公表されている資料だけで手数料の決まり方を並べたものです。扱うのは五つ。二つの料金体系と公表されている料率、どちらが適用されると書かれているか、率が掛かる金額の範囲、サービス料と税の切り分け、そして手数料を避けるための場外への誘導がどう扱われているかです。
先に、書けなかったことを挙げておきます。自分のリスティングに適用されている率を、ヘルプページの記載だけで一つに特定することはできません。公開されているのは「ほとんどのホスト」に適用される率と、それ以外の幅だけで、個別の率を照会する手順はこの記事で読んだページに記載がありませんでした。日本の民泊のうちどちらの体系が何割を占めるのかを示す公的な集計も見つけられなかったため、その比率も扱いません。他社の仲介サイトとの高い安いの比較も、率を公表していない事業者があるため行いません(率が公表されていない例はAgodaに民泊を掲載するで扱っています)。
引かれ方は二通りあり、率の桁が違う
Airbnbのヘルプセンターは、ホストサービス料を二つに分けて説明しています。一つ目が分割負担型ホストサービス料で、ホストとゲストの双方が負担します。「通常のホストサービス料率は3%ですが、一部のホストにはより高い料率が適用されます」とされ、ブラジルおよびメキシコ国内のリスティングを掲載しているホストの場合は4%だと書かれています。このときゲストの側にも料率が乗ります。「ゲストサービス料は通常、予約料金の小計(宿泊料金およびホストが請求する追加の手数料を含み、ゲストサービス料および税を除く金額)の14.1〜16.5%です」という記載です。
二つ目がシングルサービス料で、こちらはゲストの負担がなく、サービス料の全額をホストが負担します。料率は「ほとんどのホストには15.5%、それ以外のホストには通常14〜16%の料率が適用されます」とされ、ブラジルおよびメキシコ国内のリスティングを掲載しているホストの場合は16%と書かれています。
この二つを「ホストの負担が3%か15.5%か」と読むと、差が五倍あるように見えます。ただし分割負担型では、同じ予約にゲスト側の料率も乗っています。ゲストが支払う総額と、ホストが受け取る金額の関係は、片方の数字だけでは決まりません。比べるなら、ホストの率だけでなく、ゲストの画面に出る総額まで含めて見る必要があります。この記事ではどちらが得かを断定しません。総額の見え方が予約の入りやすさに与える影響を測った公的な資料を、確認できなかったためです。
もうひとつ、読み飛ばせない記載があります。分割負担型について、Airbnbは「分割負担型ホストサービス料体系は、段階的に廃止され、ホストのみなさま全員がシングルサービス料体系へ移行した後は、ご利用いただけなくなります」と書いています。つまり、いま分割負担型で運用していても、その前提が続くとは限りません。収支の見通しを何年も先まで引く場合は、シングルサービス料の率で計算し直しておくほうが安全側に倒れます。
どちらが適用されるかは、施設の型と使っている道具で決まる
自分がどちらになるのかについて、Airbnbはシングルサービス料の側に条件を挙げています。「こちらの料金体系は、ホテルやサービスアパートメントなどの従来型宿泊施設のリスティング、宿泊施設管理システムを使用しているホスト、およびこちらの料金体系が適用される国/地域のホストを含む、ほとんどのホストに必ず適用されます」という書き方です。
| Airbnbが挙げている対象 | 自分のリスティングで確認すること |
|---|---|
| ホテルやサービスアパートメントなどの従来型宿泊施設のリスティング | Airbnb上でどの宿泊タイプとして登録しているか |
| 宿泊施設管理システムを使用しているホスト | 外部の管理システムやサイトコントローラーを接続しているか |
| こちらの料金体系が適用される国/地域のホスト | 物件の所在地がその国/地域に含まれるか |
民泊の運営で引っかかりやすいのは二段目です。複数の予約サイトに同じ在庫を出すために管理システムを接続すると、この条件に触れます。接続そのものは在庫と料金の二重販売を防ぐための作業ですが、同時に手数料の体系が変わる操作でもあります。道具を増やすときは、便利さだけでなく、引かれ方が変わるかどうかまで一緒に確かめてください。
一方で、三段目の「こちらの料金体系が適用される国/地域」について、どの国が該当するかの一覧は、この記事で読んだページには記載がありませんでした。日本がそこに含まれるかどうかも、同じ理由で確認できていません。したがってこの表は、自分の率を確定するためのものではなく、問い合わせるべき点を絞り込むための材料として使ってください。確定した率は、契約や管理画面の表示で確かめることになります。
率が掛かるのは小計。清掃料金を上げると、掛かる額も増える
料率と同じくらい効いてくるのが、その率を何に掛けるかです。Airbnbは、率の基礎になる小計を「宿泊料金およびホストが請求する追加の手数料を含み、ゲストサービス料および税を除く金額」と定義しています。短い一文ですが、運営の判断を二つ変えます。
一つ目は清掃料金です。清掃料金はホストが請求する追加の手数料にあたるため、小計に入ります。仮に清掃料金を1,000円上げたとすると、その1,000円にも同じ率が掛かり、差し引かれるサービス料もその分だけ増えます。これは仕組みを示すための例で、いくらに設定すべきかを示すものではありません。清掃にかかる実際の手間と頻度から料金を決める手順は民泊の清掃で扱っています。
二つ目は、宿泊料金を下げて追加の手数料へ振り替えても、掛かる率の基礎が変わらないことです。宿泊料金と追加の手数料は、どちらも同じ小計の中にあります。配分を変えると検索結果での見え方は変わりますが、率の基礎は動きません。手数料を減らす目的で費目を組み替えても、効果は生まれないということです。
Airbnbは、どの費目を所定の欄で開示するかも挙げています。公共料金、追加ゲスト料金、ペット料金、リゾート料金、管理費、施設使用料、住宅所有者組合(HOA)費、税金です。ゲストの人数やペットの有無が変わったときの金額の調整も、外部の方法ではなくAirbnbの予約変更の機能で行うこととされています。費目を自分の都合で作り替える余地は、思ったより狭く設計されています。
サービス料と税は、別の枠に置かれている
手元に残る金額を数えるとき、サービス料と税を一緒くたにすると合いません。Airbnbの記載では、この二つは別の枠にあります。
| 費目 | 負担するのは | Airbnbの記載 |
|---|---|---|
| ホストサービス料 | ホスト | 受取金を算出するにあたり、合計金額から自動的に差し引かれる |
| ゲストサービス料 | ゲスト(分割負担型の場合) | 予約を行う前に表示される料金内訳に記載される |
| サービス料に対するVAT | 管轄地域の法律による | 管轄地域の法律によっては、上記の手数料にVAT(付加価値税)が課される場合がある |
| 宿泊料金にかかる税 | ゲスト | 特定の税金はAirbnbがホストに代わって自動で徴収・納付する。それ以外はホストが自ら徴収・納付を行わなければならない場合がある |
| 清掃料金 | ゲスト | ホストが請求する追加の手数料として小計に含まれる |
三段目は読み違えやすいところです。ここでいうVATは、宿泊料金ではなく手数料そのものにかかる税です。率の基礎から税が除かれることと、手数料に税が乗ることは、別の話として並んでいます。
四段目については、Airbnbは「Airbnbは、宿泊、体験およびサービスを提供するホストに代わって特定の税金を自動で徴収・納付しています」としたうえで、それ以外の税はホスト自身の徴収と納付が必要になる場合があると書いています。徴収された分の見え方も示されていて、「徴収済みの税金の合計額は、ホストアカウントの支払い履歴にある『総収入』のセクションで確認できます」とされ、ゲストの領収書には税が宿泊料金とは別名目で記載されるとしています。日本の宿泊税がこの自動徴収の対象に含まれるかどうかは、この記事で読んだページからは確認できませんでした。自分の物件の所在地に宿泊税があるかどうかは自治体の公表資料で、Airbnbが徴収しているかどうかは支払い履歴の表示で、それぞれ確かめてください。毎月出ていく費用の並べ方そのものは民泊のランニングコストにまとめています。
手数料を下げるために、場外へ誘導することはできない
率を見たあとに浮かぶのが、Airbnbで知り合ったゲストに直接予約してもらえないか、という発想です。これについては、Airbnbが独立したポリシーを置いています。禁止されている行為として、「現在、将来、又は繰返しの予約(予約の延長を含む)をAirbnb外に移行するよう、ユーザーに依頼したり、奨励したりすること」が挙げられ、あわせて「Airbnbサイト外で予約することを条件に割引を提供すること、又はそのような予約に勧誘すること」も挙げられています。
違反したときの扱いも書かれています。「違反が繰り返される場合や深刻な場合、Airbnbはユーザーのリスティング又はアカウントを一時的に利用停止又は完全に無効化できるものとします」という記載です。手数料の数パーセントを惜しんだ結果、掲載そのものが止まる可能性がある、という構図になります。
ここで注意したいのは、直接予約を持つこと自体が禁じられているわけではないという点です。禁じられているのは、Airbnbの中で得た接点を使って予約を外へ移すよう頼んだり、勧めたりすることです。自分の媒体で募集し、自分の経路で受ける予約は、この話とは別の場所にあります。どこにURLを置けるかを規約の側から仕分けた整理は民泊の自社サイト集客に、経路の偏りを段階的に戻す進め方はOTA依存を減らす方法にあります。
「手数料」という語は、三つの層をまたいでいる
最後に、言葉の整理をしておきます。民泊で「仲介の手数料」と言うとき、指しているものが三つの層にまたがっているためです。
いちばん上が法令の層です。観光庁は、住宅宿泊仲介業者の業務として、業務の開始前に宿泊者および住宅宿泊仲介業務に関する料金を定め、営業所での掲示またはインターネットでの公開により公示することを挙げています。あわせて、住宅宿泊仲介業約款を日本語および英語で定めて実施前に観光庁長官へ届け出ること、契約を締結するまでに宿泊者へ書面を交付すること、営業所または事務所ごとに公衆の見やすい場所へ標識を掲げることが挙げられています。料金が公示されているのは、仲介業者の裁量ではなく制度としての要件です。だからこそ、ヘルプページに率が書かれていることを前提にできます。
真ん中がプラットフォームの層で、この記事で見てきたホストサービス料とゲストサービス料です。いちばん下が税の層で、サービス料にVATが課される場合があること、宿泊料金にかかる税が別名目で記載されることが置かれています。三つは別々の資料に書かれているので、一つのページだけを見ても全体にはなりません。
Airbnbが法令の層のどこにいるかも確かめられます。観光庁の「住宅宿泊仲介業者および民泊を取り扱う旅行業者のリスト」に、Airbnb Global Services Limited が登録番号 S0001 として載っています。所在地はアイルランドのダブリンです。リストの時点は令和8年6月22日で、住宅宿泊仲介業者は66社と記載されています。届出住宅の宿泊者の募集を他人に委託するときは、住宅宿泊仲介業者または旅行業法上の登録を受けた旅行業者に限られており、このリストがその確認先になります。事業者としての義務の全体像は住宅宿泊事業者とはにまとめてあります。
収支表の手数料欄に、いま書けること
ここまでを収支表の一行に落とすと、書けるのは次の形です。率は、自分に適用されているのが分割負担型なら3%、シングルサービス料なら15.5%を起点に置きます。掛ける相手は宿泊料金と追加の手数料の合計で、ゲストサービス料と税は含めません。清掃料金を動かすときは、その額も掛ける相手に入ることを忘れないでおきます。
確定できない部分は、空欄のままにしておくほうが安全です。自分の率が「ほとんどのホスト」の側なのか、それ以外の幅の側なのかは、ヘルプページの記載だけでは決まりません。分割負担型で運用している場合も、段階的に廃止されると書かれている以上、長期の見通しはシングルサービス料の率でも一度引いておくことになります。数字を一つに決めきれないときは、二通り置いて幅で持つほうが、誤った一つの数字より使えます。収支の枠そのものの組み立て方は民泊の収支計画で扱っています。
そして、手数料を下げる目的で場外へ誘導する経路は、ポリシーの側で閉じられています。残っているのは、掛かる相手の金額を自分で説明できる状態にしておくことと、直接予約を別の場所で育てることの二つです。どちらも今日から手を付けられる作業で、料率の改定を待つ必要はありません。
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