自社サイトを用意したあと、すぐに突き当たるのは「このURLをどこに出すか」です。人がすでに集まっている場所に出すのがいちばん早い、と考えるのは自然で、候補もすぐに浮かびます。宿泊予約サイトにある自分の掲載ページ、ゲストとのメッセージ、地図のプロフィール。ところがこの三つはどれも他社のサービスの中にあり、そこに何を書けるかを決めているのは自分ではありません。
そうであれば、出したい場所を挙げてから規約を読むのではなく、規約のほうから出せる場所を絞るほうが速く進みます。出せない場所に工夫を重ねても、書いたものが消されるか、アカウントの扱いが変わるかのどちらかになるからです。この記事では、自社サイトへの入口になりうる場所を四つに分け、Airbnbのプラットフォーム外取引ポリシー、Googleのビジネス プロフィールのガイドライン、観光庁の民泊制度ポータルサイトに文章として書かれている範囲だけを並べます。
読めなかったものも先に書いておきます。Booking.comと楽天のパートナー向けヘルプは自動取得が拒否され、記載を確認できませんでした。自分が掲載しているサービスの決まりは、管理画面から入れるヘルプで読んでください。民泊で自社サイト経由の予約がどれくらいを占めるかを示す公的な集計も見つけられなかったため、割合や効果の数値はこの記事では扱いません。自社サイトに置くページそのものは自社予約サイトの作り方、検索から見つけてもらう側は民泊のSEO対策、集客の経路全体の見取り図は民泊の集客方法にあります。
入口は四つ。書けることを決めているのは自分ではない
自社サイトへの入口になりうる場所を挙げると、四つに分かれます。仲介サイトの中(掲載ページとゲストへのメッセージ)、宿泊者との連絡、地図のビジネス プロフィール、そして自分の媒体です。分け方の基準は、宿泊者がどこから来るかではありません。その場所の決まりを誰が書いているかで分けています。
この四つを同じ「集客の手段」として横並びにすると、いちばん人が多い場所、つまり仲介サイトの中に労力が寄ります。そこは規約で止まる場所なので、費やした時間がそのまま無駄になります。逆に、自分で決められる場所は地味に見えるぶん後回しにされがちですが、消される心配のない唯一の持ち場です。順番を先に決めておく価値は、ここにあります。
もうひとつ、この分け方には副次的な利点があります。トラブルが起きたときに、どこを読み直せばよいかがすぐ分かることです。掲載が消えたのなら仲介サイトのポリシー、地図に出ないのならGoogleのガイドライン、募集の頼み方で指摘を受けたのなら観光庁の資料。困ってから探すのではなく、置き場所と対応させて覚えておくほうが早く片付きます。
仲介サイトの中に、自社サイトのリンクは置けない
いちばん誤解が多いのがここです。Airbnbは「プラットフォーム外の取引および料金・手数料の透明性に関するポリシー」を公開していて、その中で禁止される行為を具体的に列挙しています。列挙のしかたが細かいので、抽象的な禁止ではなく、実際にやりがちな操作がそのまま名前で挙がっています。
| 自社サイトへ送るためにやりがちなこと | ポリシーに書かれている記載 |
|---|---|
| 掲載ページの説明文に公式サイトのURLを書く | 「リスティングやメッセージに、Airbnbプラットフォーム外にアクセスするためのリンクを含めること」 |
| メッセージで「次回からは直接どうぞ」と伝える | 「現在、将来、又は繰返しの予約(予約の延長を含む)をAirbnb外に移行するよう、ユーザーに依頼したり、奨励したりすること」 |
| 直接予約なら安くなると案内する | 「Airbnbサイト外で予約することを条件に割引を提供すること、又はそのような予約に勧誘すること」 |
| いったんキャンセルしてもらって自社サイトで取り直す | 「Airbnbサイト外で再予約するために、既存の予約を完全に又は一部キャンセルすること」 |
| 自社の会員サイトへ登録してもらってから案内を渡す | 「リスティングにアクセスするために、ゲストに別のアカウントの作成、又はAirbnb.com以外の別のウェブサイトへの登録を求めること」 |
表の右側はいずれも、ポリシーが禁止行為として挙げている項目です。読むと分かるのは、止められているのがリンクだけではないということです。リンクを貼らずに「公式サイトで検索してください」と言葉で伝える形も、予約を外へ移すよう奨励する行為として同じ列に並びます。抜け道を探す方向に頭を使っても、列挙のしかたが行為ベースなので回りません。
例外として挙げられているものもあります。ポリシーは、キーレスエントリー用のアプリや、Sonos、Nest、コンシェルジュアプリのように滞在体験を向上させるために使われるアプリを、別途の登録やインストールを求めてよいものとして示しています。また、地域の法律、HOAの規則、建物のセキュリティ規則など、法的又はコンプライアンス上の理由により必要で、Airbnbからの要請に応じて証明できる場合には情報を求められるとし、その条件としてリスティング説明文に必要な情報とその理由を記載することを挙げています。例外の形は決まっていて、集客のための例外ではありません。
なお、この記事で読んだのはAirbnbのポリシーだけです。他の仲介サイトにも同じ趣旨の決まりがあるかどうかは、それぞれのパートナー向けヘルプで確認してください。冒頭で書いたとおり、Booking.comと楽天のヘルプは自動取得が拒否されたため、この記事では扱っていません。
予約の前と後で、できることが入れ替わる
同じポリシーの中で、宿泊者との連絡だけは時点で扱いが変わります。ここを知らないまま「連絡は全部禁止」と思い込むと、必要な連絡まで止めてしまいます。
予約が確定する前は、ゲストとのコミュニケーションはすべてAirbnb上で行うとされています。あわせて、予約前にゲストに連絡先情報を尋ねることが禁止行為に挙がっています。問い合わせの段階でメールアドレスを聞いて、そこから自社サイトの案内を送る、という流れはここで止まります。
予約が確定したあとには例外が置かれます。ポリシーは、予約確定後にゲストからリクエストがあった場合は、別の方法(チャットアプリなど)でゲストと連絡を取ることができる、としています。起点がゲスト側にあることが条件です。こちらから別の連絡手段へ誘う形は、この例外に当てはまりません。同じ段落の中で、予約後にAirbnbのメッセージシステム又はメールエイリアスを使用して、ゲストにメールアドレス、郵送先住所、その他の連絡手段を尋ねることが禁止行為として挙げられています。信用調査又はバックグラウンドチェックを行うために予約確定後に連絡先情報を尋ねることも、同じ列に並んでいます。
つまり、時点で入れ替わるのは連絡の手段であって、誘導の可否ではありません。手段が広がっても、その広がった場所で予約を外へ移すよう依頼すれば、段階に関係なく禁止されている行為のほうに当たります。チェックイン案内の中身そのものは民泊のチェックイン案内で別に整理しています。
宿泊者の連絡先は、集客の名簿にできない
滞在が終わったあとに残るのは、ゲストの連絡先です。これを次の集客に使えるかどうかは、メールを送ってよいかという送信側の問題より前に、名簿を作ってよいかという段階で決まります。
ポリシーは、マーケティング活動のため、又はゲストを連絡先リストに登録するために、ゲストの連絡先情報を販売、共有、若しくは使用することを禁止行為として挙げています。この項目に時期の限定はありません。滞在が終わって数か月経っていても、仲介サイト経由で知った連絡先であることは変わらないためです。
ここを見落とすと、順序が逆になります。送信のルールを調べて、同意の取り方を整えて、配信の仕組みまで用意してから、名簿そのものが作れないことに気づく、という進み方です。打ち手ごとにどの法令が上限を決めているかは自社予約を増やす方法、再訪の特典まわりはリピーターを直接予約につなげるで扱っています。仲介サイトを通さずに自分で受けた予約であれば、この項目は関係しません。名簿は、どこから来た連絡先かで分けて持つことになります。
地図のプロフィールは、民泊では入口にならない
三つめの候補が、地図のビジネス プロフィールです。店舗であれば、地図に出て、そこから自社サイトへ送るのがいちばん短い導線になります。ところが民泊では、この入口が最初から閉じています。
Googleのビジネスの適格性とオーナー権限に関するガイドラインは、掲載が許可されないビジネスの例として「民泊、モデル住宅、アパートの空き部屋などの不動産賃貸物件や販売物件」を挙げています。あわせて、販売または賃貸業務を行うオフィスについてはオーナー確認の対象になる可能性がある、とも書かれています。事務所としての拠点と、貸し出す物件そのものが、別に扱われているということです。
したがって、届出住宅のプロフィールを地図に作り、そのウェブサイト欄から自社サイトへ送る、という組み立てはガイドラインの側で想定されていません。フロントデスクと常駐のスタッフがある施設は扱いが変わり、Google上の経路も別になります。その分かれ方はGoogleから直接予約につなげる方法、地図まわりの見え方は民泊のMEO対策で別に整理しているため、ここでは入口として数えないという結論までにとどめます。
残るのは自分の媒体。自分で出すか、人に出してもらうかで変わる
四つめが自分の媒体です。自分のサイト、自分が運用するSNSアカウント、館内に置く案内。ここは他社の予約の場の中ではないので、書く内容を自分で決められます。前の三つと違って、消されることを前提に設計しなくて済む場所です。
ただし、SNSは他社のサービスの上にあります。アカウントを作れる条件や、分析の数字が出はじめる下限は、サービスごとに公式ヘルプへ書かれています。そちらは民泊のSNS集客、プロフィールから予約画面までの受け渡しはSNSから直接予約につなげるで扱っています。
自分の媒体で気をつける点は、規約ではなく法令の側にあります。自分で出しているうちは自由ですが、人に出してもらった時点で相手の資格の話になります。観光庁の民泊制度ポータルサイトは、委託できる相手を住宅宿泊仲介業者か旅行業法上の登録を受けた旅行業者に限っており、それ以外へ委託した場合は業務改善命令等の対象になるとともに、50万円以下の罰金が科されることがあるとしています。知り合いのアカウントに空室の告知を出してもらう、申込みの希望を代わりに受けてもらう、といった頼み方は、深くなるほどこの線に近づきます。判断に迷う形にするくらいなら、自分のアカウントで自分が出す形に寄せておくほうが確実です。
仲介サイトの側にも、対応する決まりがあります。住宅宿泊仲介業者の業務として、住宅宿泊事業者からの届出番号を確認せずに仲介サイトに掲載することが、届出をした者であるかどうかの確認を怠る行為として示されています。掲載を頼む相手には、確認する義務のほうが課されているということです。自分の媒体には、この確認の仕組みが外側にありません。自分で出す自由と、自分で確かめる責任が同じ場所にある、と考えておくのが実態に近いと思います。
着手の順番は「出せる場所」から決まる
ここまでを、着手できる順に並べ直します。順番を決めているのは効果の見込みではなく、出せるかどうかです。
一つめは集客ではありません。観光庁は、住宅宿泊事業者は届出住宅ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示する必要があるとしています。掲示位置は門扉、玄関等の、概ね地上1.2メートル以上1.8メートル以下で、公衆が認識しやすい位置とされ、住宅宿泊事業を実施している間は継続して掲示する必要がある、とも書かれています。人を呼ぶ前に、現地がこの状態になっていることが前提です。
二つめは、仲介サイトの中を入口の候補から外すことです。外すと決めてしまうと、掲載ページの書き方に迷わなくなります。掲載ページは掲載ページとして、その場で予約を取る道具に徹する。自社サイトの露出は別の場所で作る。役割を分けたほうが、どちらの質も上がります。
三つめが自分の媒体、四つめが宿泊者との接点です。四つめを最後に置いたのは、優先度が低いからではありません。こちらから起点を作れないからです。ゲストからリクエストがあった場合、という条件が付いている以上、計画に本数として積めません。積めるのは三つめまでで、四つめは起きたときに使える枠として持っておく、という置き方になります。
| 工程 | 自分から起点を作れるか | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 標識を掲示する | 作れる | 観光庁 民泊制度ポータルサイト「事業者の業務[2]」 |
| 仲介サイトの中を入口から外す | 作れる | Airbnb「プラットフォーム外の取引および料金・手数料の透明性に関するポリシー」 |
| 自分の媒体を入口にする | 作れる(委託するなら相手の資格を確認) | 観光庁 民泊制度ポータルサイト「仲介業者への委託について」 |
| 宿泊者との接点を使う | 作れない(ゲストからのリクエストが条件) | Airbnb「プラットフォーム外の取引および料金・手数料の透明性に関するポリシー」 |
この記事で確認できなかったこと
最後に、埋められなかった項目を残しておきます。
Booking.comと楽天のパートナー向けヘルプは、自動取得が拒否されて記載を読めませんでした。迂回はしていないため、これらのサービスに同じ趣旨の決まりがあるかどうかは、この記事では判断していません。自分の管理画面から入れるヘルプで確認してください。
館内に置く紙の案内に自社サイトのURLを書くことが、Airbnbのポリシーのどの項目に当たるのかも、明示の記載を見つけられませんでした。禁止行為として挙がっているのは、リスティングやメッセージにリンクを含めることと、予約を外へ移すよう依頼したり奨励したりすることです。紙の案内が後者に当たるかどうかは、書き方によって変わります。当たらないと言える根拠を確認できていないため、この記事では紙の案内を安全な抜け道として示しません。
そして、経路ごとの予約の割合や、自社サイトを整えたあとに予約がどう動くかを示す公的な集計も見つけられませんでした。この記事が並べたのは掲載の可否だけで、どこに労力を割くと何件増えるか、という話はしていません。数字を出せるようになった時点で、この記事に追記します。
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