施設ページに手を入れようと思ったとき、最初に浮かぶのはたいてい「写真を撮り直す」です。ところが撮り直しから始めると、同じずれがしばらくして戻ってきます。写真は期待を作る側にあり、その期待が正しかったかどうかを確定させる材料は、写真の外にある文字の側に置かれているからです。新しい1枚を足しても、文字の側が空欄のままなら、ずれの入口はそのまま残ります。
先に結論を書きます。施設ページの改善とは、写真が約束してしまっていることを、文字で確定させる作業です。順番もほぼ決まっていて、掲載そのものを止める情報の確認、提供できる部屋かどうかの確認、料金の書き方、写真と文字の食い違い、写真では伝わらない条件の追記、そのあとに撮り直しが来ます。撮影は最後です。
断っておくことが一つあります。どんな写真を何枚載せると予約が増えるのか、という点を示した公的な資料は、今回の調査では見つけられませんでした。構図、明るさ、掲載枚数と予約件数の関係についても同じです。そのためこの記事では、効果の大小や撮影のコツを扱いません。扱うのは、公開の前に自分で確かめられること、つまり直す順番です。集客の経路全体の見取り図は民泊の集客方法に、SNSへ投稿する素材を使ってよいかの判定は民泊のInstagram集客にあります。
写真も「表示」に含まれる
消費者庁は景品表示法の表示規制について、商品・サービスの品質や価格についての情報は、消費者が商品・サービスを選択する際の重要な判断材料であり、消費者に正しく伝わる必要がある、と説明しています。ここでいう表示には媒体の限定がありません。同庁は、景品表示法上の表示を、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件について行う広告その他の表示としており、容器や包装、チラシ、パンフレット、ポスター、看板、新聞広告、放送、インターネットなど、あらゆる媒体が対象になるとしています。
つまり施設ページの写真は、部屋の紹介であると同時に、宿泊という役務の内容についての表示です。文章で「広い」と書いていなくても、広く見える写真を置けば、それ自体が内容を示したことになります。
規制は大きく3つに分かれています。品質・規格その他の内容についての不当表示が優良誤認表示(第5条第1号)、価格その他の取引条件についての不当表示が有利誤認表示(第5条第2号)、そのほか内閣総理大臣が指定する表示(第5条第3号)です。優良誤認表示については、実際のものよりも著しく優良であると示すものと、事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すものが挙げられています。
写真を扱ううえで知っておきたいのが、その先にある仕組みです。消費者庁長官は、表示が第5条第1号に該当するか判断する必要がある場合に、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとされています(第7条第2項)。資料の提出がなければ、その表示は同号に該当する表示とみなされます。説明を用意しておく責任は、載せた側にあるということです。
もう一点、同庁は故意のものだけでなく、誤って表示してしまった場合も規制の対象になるとしています。悪意がなかったかどうかは、判定の入口になりません。だから「気をつける」ではなく、ずれが入ってくる場所を先に押さえるという作り方が要ります。
実物との差は、4か所から入ってくる
写真と実物の差は、撮影の下手さから生まれるわけではありません。むしろ、うまく撮ろうとする過程で入ってきます。差し込み口は4か所です。
1つめは画角です。広い画角で撮ると部屋全体が1枚に収まりますが、奥行きが強調され、広さの印象が実際と離れます。2つめは明るさと色の補正です。窓からの光を持ち上げ、壁の色を整えると、その部屋で実際に見える状態から離れていきます。3つめは写す範囲の選択です。写さなかったものは伝わりません。通路にある段差、隣室との距離、共用部の状態などは、写真に入っていなければ存在しないのと同じに読まれます。4つめは撮影した時期です。窓の外の景色も、庭の植栽も、撮った日のものです。夏に撮った1枚は、冬に着いた人にとって別の景色です。
この4つは、どれも「やってはいけないこと」ではありません。宿を魅力的に見せるための普通の判断です。問題になるのは、その判断を文字の側で打ち消していないときだけです。広く見える写真を置くなら、居室の面積を書いておけば、読み手は写真ではなく数値で判断できます。共用部を写していないなら、共用であることを文章で書けば足ります。写真が作った期待を、文字が引き取る形です。
その日、その部屋を本当に提供できるか
写真そのものが正確でも、別の問題が残ります。載せている部屋を実際には提供できない場合です。これは景品表示法第5条第3号にもとづく告示「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)が扱っています。
告示が挙げている類型は4つです。宿泊施設の掲載に置き換えると、次のように読めます。
| 告示が挙げている類型 | 施設ページで起きる形 | 公開前に確かめること |
|---|---|---|
| 取引を行うための準備がなされていない場合の表示 | 工事中・届出前の部屋の写真を先に載せている | その部屋を今日申し込めるか |
| 供給量が著しく限定されているのに、限定の内容が明りょうに記載されていない場合の表示 | 1室しかない部屋タイプを、複数あるように見せている | 室数と定員が書かれているか |
| 供給期間・供給の相手方・顧客一人当たりの供給量が限定されているのに、限定の内容が明りょうに記載されていない場合の表示 | 特定の季節や特定の人数でしか使えない部屋を、通年・全員向けに見せている | 使える時期と条件が書かれているか |
| 合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合の表示 | 見栄えのよい部屋で集めて、別の部屋へ振り替えている | 申し込まれたとおりに提供できるか |
ここで効いてくるのが限定の内容を明りょうに記載するという部分です。告示は限定そのものを禁じていません。1室しかないこと、特定の時期しか使えないこと、定員に達すると別室になることは、書いておけば表示として成り立ちます。逆にいえば、書かないまま写真だけを並べるほうが危ない、ということです。届出住宅で何室を、どういう単位で貸すのかという整理は住宅宿泊事業者とはで扱っています。
料金を画像やキャッチに入れるなら、税込の総額で
施設ページでは、写真の上に料金を重ねたり、見出しに「1泊◯◯円から」と書いたりすることがあります。この形は価格の表示なので、消費税法の総額表示がかかります。
国税庁は、総額表示を、事業者が消費者に対しあらかじめ価格を表示する際に、消費税額(地方消費税額を含む。)を含めた価格(税込価格)を表示することを義務付けるものと説明しています。根拠は消費税法第63条です。対象は、事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格であり、それがどのような表示媒体(店頭表示、チラシ広告、新聞・テレビの広告など)により行われるものであるかを問いませんとされています。画像の中に焼き込んだ文字も、ページの見出しも、この外にはありません。価格を表示していない場合と、口頭で伝える価格は対象外です。
国税庁が挙げている表示例は次のとおりです(税込価格11,000円、標準税率10%の場合)。
| 表示例 | 書かれているもの |
|---|---|
| 11,000円 | 税込価格だけ |
| 11,000円(税込) | 税込価格と、税込である旨 |
| 11,000円(税抜価格10,000円) | 税込価格と税抜価格 |
| 11,000円(うち消費税額等1,000円) | 税込価格と消費税額等 |
| 11,000円(税抜価格10,000円、消費税額等1,000円) | 税込価格・税抜価格・消費税額等 |
| 10,000円(税込価格11,000円) | 税抜価格と税込価格 |
いずれも税込価格が示されている点が共通しています。表示事項や取消しの条件まで含めた自社サイト側の作りは自社予約サイトの作り方にまとめてあるので、ここでは画像と見出しに載る価格に絞ります。なお宿泊税など地方税の扱いは自治体ごとに異なるため、この記事では金額を示しません。届出先の自治体の公表資料を確認してください。
写真では答えられない問いを、文字で引き受ける
ここまでの3つは「載せてよいか」の話でした。残りは「足りているか」の話です。
観光庁は、高齢者の方や障害のある方が宿泊施設を安心して利用するためには、バリア・バリアフリー等の情報を積極的に発信することが求められます、としています。同庁は「宿泊施設におけるバリアフリー情報発信のためのマニュアル」を公表しており、ページには令和6年11月に更新されたことが示されています。マニュアルの中身をここで引き写すことはしませんが、発信が求められているのは、バリアフリーの設備がある施設だけではありません。バリアがあるならあると分かることが、利用できるかどうかの判断材料になります。
そして、この種の情報は写真では伝わりません。玄関の段差は写真に写っていても高さが分からず、通路の幅も同じです。写っていないものは、無いのか、写さなかっただけなのかも区別できません。読み手が知りたいのは見た目ではなく、自分が使えるかどうかなので、答えは文字の側にしか置けません。
設備そのものを法令がどこまで求めているかは民泊に必要な設備に、外国語での案内を先に伝えておく考え方は外国人向けの民泊施設ページに分けて書いています。
掲載が始まる前に確定している情報
最後に、いちばん手前にある条件です。仲介サイトに載せる場合、写真より先に確定していなければならない情報があります。
観光庁は、住宅宿泊仲介業者及び旅行業者が新規物件を掲載する際、住宅宿泊事業者から通知される商号、名称又は氏名、物件の所在地及び届出番号について、都道府県等から送付された届出番号等の情報または観光庁から提供される適法な物件のデータベース情報との照合にもとづいて、適法な物件であることを確認したうえで掲載することとしています。事業者の側は、届出番号等が記載されたメールの情報や標識のコピーに記載された情報を正確に伝えることになります。確認に時間を要する場合、掲載が留保されることがあるとも示されています。
仲介業者の側には、届出をした者であるかどうかの確認を怠る行為、つまり届出番号を確認せずに仲介サイトへ掲載することが、禁止される行為として挙げられています。本法に基づく届出、旅館業法に基づく許可、特区民泊の認定等を受けていない物件を掲載する行為も同様です。届出や許可がない状態の扱いは民泊の無許可営業で整理しています。
同じページには、仲介業者が宿泊者に対し、住宅宿泊仲介契約を締結するまでに書面を交付して説明する事項が並んでいます。仲介業者の商号・名称、登録年月日と登録番号、住宅宿泊事業者の商号・名称と届出番号、宿泊者が正確に届出住宅の位置を把握できる情報、宿泊者が支払う合計金額と支払時期、提供されるサービスの内容、申込みの方法と契約の成立要件、責任と免責、変更・解除の条件、必要に応じた宿泊者の資格、安全衛生に関する情報です。
これは仲介業者に課された義務であって、事業者の掲載ページに課されたものではありません。ただし宿泊者が予約までに知る項目の一覧としては、そのまま使えます。合計金額、位置、サービスの内容、解除の条件。どれも写真では答えられないもので、先ほどの「文字で引き受ける」側に並ぶ項目です。
直す順番:撮り直しは最後に置く
ここまでの項目を、手をつける順に並べ直します。上から順に見て、「いいえ」が出た時点で、その対応を先に済ませます。
この順番にする理由は単純です。上の4つは、直すとページが伝える内容そのものが変わります。室数を書き足す、税込価格に直す、面積を書く。どれも読み手の判断材料が増えます。撮り直しは、内容を変えずに見え方だけを変える作業なので、内容が固まっていない段階で行っても、次の撮影でまた同じ判断を繰り返すことになります。
最後に、この記事で扱わなかったことを明示しておきます。何枚載せるべきか、どの順に並べるべきか、どの部屋から撮るべきかを示した公的な資料は見つけられませんでした。撮影を外注したときの費用の相場も同じです。数値を置けない部分は空欄のままにしてあります。自分の物件で試して記録を取り、変えた項目と時期を残しておくのが、いまのところ確実な進め方です。
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