入国・ビザのニュース/ニュース

観光庁が9月22日にニューヨークで訪日観光と食の発信イベント、米国は民泊宿泊者の1位

観光庁が2026年9月17日、ニューヨークで「観光・食」の魅力発信イベントを9月22日に開くと発表しました。開催概要と実施体制、通年キャンペーンでの位置づけ、届出住宅の外国人宿泊者で米国が第1位である公表値を整理します。

観光庁が9月22日にニューヨークで訪日観光と食の発信イベント、米国は民泊宿泊者の1位 - myHotelsメディア

観光庁は2026年9月17日、米国・ニューヨークで日本の「観光・食」の魅力発信イベント「Japan-U.S. Tourism and Culinary Night」を開催すると報道発表しました。日米の官民が連携して実施している「日米観光交流促進キャンペーン2026」の一環で、米国からの訪日観光と消費額拡大を一層推進し、さらには双方向の観光交流の拡大に繋げるためだと説明されています。

民泊を運営している側から見ると、この発表そのものは手続きを変えるものではありません。届出や許可の話は出てきませんし、宿泊施設への支援でもありません。それでも読んでおく価値があるのは、米国が、届出住宅に泊まった外国人宿泊者の国籍別で第1位だからです。いま自分の物件にいちばん多く泊まっている国の市場に向けて、国がどんな座組みで何をしているのか。それを確かめておく、という読み方になります。

この記事では、発表に書かれている開催概要と実施体制を表記のまま整理し、その上位にある通年のキャンペーンでの位置づけを確認します。そのうえで、米国が宿泊の側と入国の側の公表値でどこにいるのかを、別の一次情報から確かめます。発表に無い項目は埋めずに、記載が無いことをそのまま書きます。

発表が示しているのは、9月22日の1回のイベントです

まず、発表の「開催概要」に並んでいる項目を、表記のまま整理します。

項目 発表の記載
名称 Japan-U.S. Tourism and Culinary Night
日時 令和8年9月22 日(火) 17:30~19:30(現地時間)
日本時間 23 日(水) 6:30~8:30
場所 Gotham Hall(ニューヨーク市内)
内容 歌舞伎俳優 市川團十郎氏による歌舞伎舞踊披露、観光コンテンツを紹介するブース出展、日本産食材を使用した料理の提供や、日本のお酒を提供するブース出展など
取材 イベントの全体を取材可能。希望する報道関係者は9月18 日(金)12 時(日本時間)までに申込フォームから申し込む

日程はこの一日だけで、会期のある催事ではありません。発表には、日本各地の観光コンテンツの紹介や、日本産食材を使用した料理・日本産酒類の提供のほか、来年にせまった2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)のPRを行う、と書かれています。開催地の選び方についても理由が添えられており、「日米観光交流促進キャンペーン2026」を実施している今年、国連総会が開催され世界の注目が集まるニューヨークの地において、日本の観光・食・お酒等の魅力を紹介する、と説明されています。

発表を読むときに区別しておきたいのは、ここで紹介されるのが日本各地の観光コンテンツだという点です。個別の宿泊施設を米国の消費者へ売り込む場ではありませんし、出展する自治体や事業者の名前も発表には出てきません。宿を営む側が直接参加できる枠があるかどうかも書かれていません。読み取れるのは、国の側が米国の消費者に向けて日本旅行そのものへの関心を作ろうとしている、という方向性までです。

なお、取材の受付は報道関係者向けで、期限は9月18 日(金)12 時(日本時間)とされています。この記事はその期限より後に公開しているため、現地の様子については何も書けません。イベントの結果や来場者数が公表されるかどうかも、この発表からは分かりません。

観光庁の報道発表「米国にて日本の「観光・食」の魅力発信イベントを開催 ~訪日観光及び日本食をPR~」のページのファーストビュー
引用キャプチャ この記事が扱っている発表そのもののページです。開催の趣旨と、日時・場所・内容という開催概要、取材を希望する報道関係者向けの申込期限が、同じページに並んでいます。 出典:米国にて日本の「観光・食」の魅力発信イベントを開催 ~訪日観光及び日本食をPR~(観光庁 報道発表)(確認日 2026-09-18/表示のファーストビュー)

主催は観光庁、共催は農林水産省です

実施体制についても、発表は具体的に書いています。観光庁主催・農林水産省共催により、国税庁、JNTO、JFOODO、GREEN×EXPO協会等の関係機関が連携した、オールジャパンでの訪日観光及び日本食のプロモーションイベントを開催する、という書き方です。

発表に書かれている実施体制の図。観光庁が主催、農林水産省が共催で、連携する関係機関として国税庁、JNTO、JFOODO、GREEN×EXPO協会が並び、その下に9月22日にニューヨークのGotham Hallで開くイベントが置かれている
発表の本文に名前が出ている機関だけを並べています。関係機関は「等」と書かれているため、この4つで全部とは限りません。 出典:観光庁 報道発表「米国にて日本の「観光・食」の魅力発信イベントを開催」(確認日 2026-09-18)

観光に関する役所だけで組んでいないところが、この発表の特徴です。食材と酒類が中身に入るため、農林水産省が共催に、酒類を所管する国税庁が連携先に入っています。観光の側は観光庁と日本政府観光局(JNTO)が担い、そこへ来年の国際園芸博覧会の主催団体が加わる、という並びになっています。

注意しておきたいのは、関係機関の列挙に「等」が付いていることです。ここに名前が出ている4機関で全部だとは書かれていません。逆に、宿泊事業者の団体や、民泊に関わる団体が参加しているという記載もありません。宿泊の受け入れ側がこの場にどう関わるのかは、発表からは読み取れません。

このイベントは、4月から続くキャンペーンの一部です

発表が「一環」と書いている「日米観光交流促進キャンペーン2026」については、観光庁が2026年3月17日に別の報道発表を出しています。そちらに、期間と背景が示されています。

項目 2026年3月17日の報道発表の記載
キャンペーン期間 2026年4月~2027年3月
2025年の日米間の交流人口 527万人(歴代2位)
2026年の位置づけ 米国の建国250周年を迎える節目の年
同年の国際的イベント ワールド・ベースボール・クラシック、FIFAワールドカップ
日本側の制度面 日本の旅券(パスポート)手数料の引下げが計画されている
ロゴ 特別ロゴを制作。使用には一般社団法人日本旅行業協会(JATA)への申請が必要

ここで押さえておきたいのは、このキャンペーンが双方向だという点です。3月の発表は、米国の建国250周年やワールド・ベースボール・クラシック、FIFAワールドカップといった国際的イベントが続くこと、日本の旅券手数料の引下げが計画されていることを挙げ、日本人の米国への旅行需要が一層高まる好機となることが期待される、と述べています。訪日を増やす話だけではなく、日本から米国へ行く人を増やす話も同じ枠の中にあります。

そのうえで、インバウンド市場の多様化や地方誘客、消費拡大を進める上では、米国からの訪日旅行を更に促すことが重要だ、とも書かれています。今回のニューヨークでのイベントは、この後半の部分にあたる取り組みだと位置づけられます。キャンペーンの期間は2026年4月から2027年3月までなので、9月22日のイベントはその途中に置かれた一日です。

ロゴについては、観光関係の団体や事業者が申請して使える形になっています。申請先は一般社団法人日本旅行業協会(JATA)だと3月の発表に書かれています。ただし、申請できる範囲や条件、宿泊施設が使えるかどうかまでは、この発表には書かれていません。使用を検討する場合は、発表に示された申請先に直接確かめることになります。

届出住宅に泊まった外国人宿泊者は、米国が第1位です

ここからは発表を離れ、米国が民泊の宿泊者として公表値の上でどこにいるのかを確かめます。この節の数値は観光庁が民泊制度ポータルサイトで公表している「住宅宿泊事業法の施行状況」のもので、今回のイベントの発表に載っているものではありません。

項目 令和8年4月1日~5月31日分の記載
宿泊者数の合計 626,765人(前年同期比130.1%)
うち日本国籍を有する者 235,591人(37.6%/前年同期比135.5%)
うち外国人 391,174人(62.4%/前年同期比127.1%)
宿泊日数の合計 624,088日(前年同期比138.6%)
延べ宿泊者数 1,745,359人泊(前年同期比133.0%)
対象の届出住宅数 41,207件
報告件数/報告率 34,902件/84.7%

届出住宅に泊まった人の6割以上が外国人である、という構成がまず見えます。そのうえで、同じ資料は外国人宿泊者を国籍別でみた順位を示しています。

届出住宅に泊まった外国人宿泊者の国籍別順位の図。第1位が米国、第2位が韓国、第3位が台湾、第4位が中国、第5位がオーストラリアで、国籍ごとの人数と割合は公表されていないことを注記している
令和8年4月1日から5月31日までを対象期間とする宿泊実績です。公表されているのは順位だけで、国籍ごとの人数は同じ資料に掲載されていません。 出典:観光庁 民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業法の施行状況」(確認日 2026-09-18)

第1位が米国、第2位が韓国、第3位が台湾、第4位が中国、第5位がオーストラリアです。ここで気をつけたいのは、公表されているのが順位だけだという点です。米国が何人でその割合がどれだけか、2位との差がどれくらいかは、この資料には載っていません。「米国が突出している」とも「僅差だ」とも言えません。順位の情報を、そのまま順位として扱うことになります。

もうひとつ、この集計は住宅宿泊事業法第14条にもとづく住宅宿泊事業者からの定期報告を観光庁がとりまとめたものです。対象の届出住宅数が41,207件であるのに対し、報告件数は34,902件、報告率は84.7%と示されています。届出住宅すべての実績ではありません。引用するときは、対象期間と報告率をあわせて示すのが前提になります。定期報告の項目と、そこから何が読めるかは民泊の宿泊者数に、件数と実績の関係は民泊の統計の読み方に整理しています。

同じページに掲載されている届出の件数も、時点とあわせて控えておきます。令和8年7月15日時点で、届出件数は65,837件、事業廃止件数は23,767件、届出住宅数は42,070件です。宿泊実績の対象期間と、この件数の基準日は別々に書かれているため、並べるときは混ぜないようにします。

8月の訪日外客数は全体で減り、米国は8月として過去最高でした

入国の側も見ておきます。日本政府観光局が2026年9月16日に公表した訪日外客数(2026年8月推計値)では、8月の訪日外客数は3,098,900人で、前年同月比9.6%減とされています。同じ発表で、韓国、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、インド、米国、メキシコ、フランス、イタリア、スペイン、ロシア、北欧地域、中東地域の14市場が、8月として過去最高を記録したことが示されています。

全体が前年同月を下回っている月に、米国は8月として過去最高を記録している。この二つは矛盾しません。訪日外客数は市場ごとに動き方が違い、合計の増減がそのまま個々の市場の増減を表すわけではないためです。発表は、前月に引き続き欧米豪・中東を中心に夏季休暇や祝日に合わせた訪日需要の高まりが見られた一方で、東南アジアでは訪日需要が減速し、減便や台風による欠航の影響で前年を下回った市場があったと説明しています。合計だけを見て「インバウンドが減った」と受け取ると、自分の施設に来ている市場の動きを取り違えます。国籍別の見方は国籍別の訪日客数に、全体の推移は訪日外国人数の推移にまとめています。

もうひとつ、この節の数字と前の節の数字は、別々の統計です。訪日外客数は入国した人の数、施行状況の宿泊者数は届出住宅に泊まった人の延べの集計で、対象も期間も単位も違います。片方をもう片方で割って1人あたりの泊数を出すような使い方はできません。米国が両方で上位に出ていることは事実ですが、それは二つの統計がそれぞれ別に示していることであって、一方から他方を導いたものではありません。

この発表に記載がないこと

宿を営む立場から知りたくなる項目のうち、今回の報道発表からは埋まらないものを、推測で補わずに並べます。

知りたくなる項目 発表の記載
出展する自治体・事業者の名前 記載がありません
宿泊事業者が参加・出展できる枠の有無 記載がありません
来場予定者の人数や属性 記載がありません
事業の予算額と実施事業者 記載がありません
イベントの成果の公表予定 記載がありません
民泊・住宅宿泊事業への言及 記載がありません
米国市場に向けた今後の実施予定 記載がありません(キャンペーン期間だけが3月の発表に示されています)

埋まらない項目が多いのは、これが一日のイベントの開催を知らせる報道発表であり、支援制度の公募でも、調査結果の公表でもないためです。中身は、今後それぞれの取り組みが公表された段階で読むことになります。

民泊を運営する側が、いま確かめられること

この発表から持ち帰れることは多くありません。それでも、次の三つは手元で確かめられます。

ひとつめは、自分の施設の宿泊者の国籍構成です。住宅宿泊事業者は2か月ごとの定期報告で国籍別の宿泊者数を報告しているので、その報告の控えを見れば、自分の物件で米国からの宿泊者がどの位置にいるかが分かります。全国の順位と自分の施設の順位が一致するとは限りません。地域によっても違います。国の統計は、自分の数字を置く物差しとして使うものです。

ふたつめは、外国人宿泊者の受け入れで法令が求めている手続きを、いま満たせているかどうかです。プロモーションで旅行者が増えるかどうかとは関係なく、宿泊者名簿の備付けと本人確認は、届出住宅に常に課されています。観光庁の民泊制度ポータルサイトは、日本国内に住所を有しない外国人宿泊者については、旅券の呈示を求めるとともに、旅券の写しを宿泊者名簿とともに保存することを求めています。手順は民泊の本人確認に、名簿の記載事項は宿泊者名簿に整理しました。受け入れ全体の考え方はインバウンドと民泊にまとめています。

みっつめは、案内をどの言語でどこまで用意するかの見直しです。同じポータルサイトには、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保として、外国語を用いて届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること、外国語を用いて移動のための交通手段に関する情報を提供すること、外国語を用いて火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすることが挙げられています。英語での案内で実際に何を書くことになるのかは民泊の英語対応に、言語を増やすときの考え方は民泊の多言語対応にまとめています。国の側が二国間で行う取り組みを、施設の集客計画に直接つなげることはできませんが、来ている人の構成に合わせて案内を整えることは、発表と関係なく今日からできます。同じ枠組みで韓国との間に何があったかは第40回日韓観光振興協議会で扱いました。

この記事は、公表された報道発表と公的資料の記載を整理したものです。イベントの内容や日程は変更される可能性があり、統計の数値は公表のたびに更新されます。制度の適用や、自分の物件で必要になる手続きの判断は、この記事ではなく、届出先の都道府県知事等の窓口に直接確認してください。

このメディアの運営元について

myHotelsメディアは、民泊予約システムを提供する myHotels が運営しています。 記事は自社サービスの利用を前提にせずに書いており、料金や条件は下のページで確認できます。

サービスの内容を見る オーナー登録に進む