OTA比較/比較

民泊のOTA比較|料率の安い順では並べられない。公表条件で比べる4項目

主要なOTAを横に並べると、ホストが負担する料率を公開ページで数値まで確かめられるのは一部だけです。観光庁の登録情報、料率の公表状況、率が掛かる金額の範囲、入金と請求の時点、キャンセル時の扱いという公表条件だけで比較表を組み立てます。

掲載先を選ぶとき、最初に欲しくなるのは「どこがいちばん安いか」の一覧です。ところが各社の公開ページを読み進めると、その一覧は作れないことが分かります。この記事で読んだ4つの経路のうち、ホストが負担する料率の数値を公開ページで確かめられたのはAirbnbだけでした。残りは「契約に定める料率」「立地などで決まる」「リーズナブルなお手数料」という書き方で、数値がありません。

数値が無い相手を推測で埋めれば、比較表は完成します。けれどその表は、自分の契約書を開いた時点で崩れます。ここでは逆の順序を取ります。公表されていて誰が調べても同じ答えになる項目だけを先に並べ、料率の数値は自分の契約書と管理画面から埋める欄として空けておくという作り方です。

並べる項目は4つあります。制度上の立場と登録番号、料率を公開しているかどうかと自分の率を確かめる場所、料率が掛かる金額の範囲、そして代金の回収と手数料の支払いがどの向きでいつ起きるか。これに、泊まらなかった予約の扱いを加えます。どれも金額を左右しますが、料率と違って公開されている文面から読み取れます。

取り上げるのはAirbnb、Booking.com、Agoda、楽天トラベルです。各社の手数料の仕組みそのものはAirbnbの手数料、Booking.comの手数料、Agodaに民泊を掲載するで1社ずつ扱っているので、この記事では横に並べたときに見えてくる違いだけを書きます。順位は付けません。順位の根拠になる公表値がそろっていないためです。

並べる前に、相手がどちらのルートで登録されているかを見る

比較の前段に、省略できない確認があります。民泊の掲載を委託できる相手は、住宅宿泊仲介業者か旅行業者のどちらかに限られます。この判定を飛ばして手数料だけを比べると、委託できない相手を表に並べることになります。判定の手順そのものはOTAとはにまとめました。

ここで比較の材料になるのは、観光庁が公表しているリストです。住宅宿泊仲介業者のほうは令和8年6月22日時点で66社が載り、登録番号と所在地まで示されています。名前を知っている会社かどうかではなく、番号が振られているかどうかで見る形になっています。次の表は、公表されている登録番号の昇順に並べたものです。評価の順ではありません。

事業者 制度上の立場 登録番号 所在地の記載
Airbnb Global Services Limited 住宅宿泊仲介業者 S0001 アイルランド
Booking.com B.V. 住宅宿泊仲介業者 S0044 オランダ
EXPEDIA, INC. 住宅宿泊仲介業者 S0106 アメリカ
AGODA TRAVEL SERVICES PTE. LTD. 住宅宿泊仲介業者 S0118 シンガポール
楽天ステイ(株) 民泊を取り扱う旅行業者の一覧に掲載 一覧に記載なし 一覧に記載なし

同じページに並んでいますが、2つの一覧は性質が違います。旅行業者のほうは令和7年3月末時点で10社が載っており、「本リストは、令和7年3月末時点における取扱民泊物件に関する報告依頼により報告のあった旅行業者を掲載しております。本リストに名前のない旅行業者においても、民泊物件を取り扱うことは可能です」と注記されています。報告があった分の一覧であって、網羅した名簿ではありません。

この違いは比較表の読み方を変えます。住宅宿泊仲介業者の側は、名前が無ければそこで止まります。旅行業者の側は、名前が無いことが委託できない理由にはなりません。楽天トラベルのように広く使われている経路でも、運営会社がこの一覧に出てこない場合は、旅行業法の側の登録を別途確かめることになります。一覧を「掲載先の候補リスト」として読まないでください。使える相手を絞るための道具であって、良し悪しを示すものではありません。

料率の数値を公開ページで確かめられたのは一社だけだった

ここが、この記事の結論にあたる部分です。4つの経路について、ホストが負担する料率を公開ページで探した結果を並べます。

経路 料率の数値が公開されているか 公開されている記載 自分の率を確かめる場所
Airbnb ある 分割負担型はホスト通常3%、シングルサービス料はほとんどのホストが15.5%(それ以外は通常14〜16%) ヘルプの条件と、自分のリスティングの型
Booking.com ない 「本契約に定める関連するコミッション料率」 自分が結んだ契約書
Agoda ない 施設の立地によって決まり、場合によっては支払いモデルも関係すると記載 Partner Portalの財務の画面(契約上の報酬)
楽天トラベル ない 「リーズナブルなお手数料をご用意」 資料請求と申込みの手続き

Airbnbの記載は2つの体系に分かれています。ホストとゲストが分けて負担する形では「通常のホストサービス料率は3%」とされ、ゲスト側には予約料金の小計の14.1〜16.5%が乗ります。ホストだけが負担する形では「ほとんどのホストには15.5%、それ以外のホストには通常14〜16%の料率が適用されます」と書かれています。数値はあるものの、自分がどちらに当たるかはヘルプの記載だけでは一つに決まりません。体系の見分け方はAirbnbの手数料で扱っています。

残る3つは、数値が公開ページの外にあります。Booking.comの一般取引条件は計算方法を書いたうえで、料率を契約へ委ねています。Agodaのパートナー向けヘルプは、報酬が施設の立地によって決まり、場合によっては支払いモデルも関係すると説明し、自分の水準は管理画面の財務の項目で確認するよう案内しています。楽天トラベルの宿泊施設向けページには、費用について「リーズナブルなお手数料をご用意」という記載があるだけで、金額も率も見当たりませんでした。

制度の側には、料金を示すことを求める規定があります。観光庁は住宅宿泊仲介業者の業務として、宿泊者及び住宅宿泊仲介業務に関する料金を定め、営業所又は事務所における掲示か、インターネットによる公開のいずれかの方法で公示することを挙げています。ただし、この公示がホストから受け取る料率を含むのかどうかは、この記事で読んだページからは判定できませんでした。各社の公示をどこで読めるかについても、民泊向けの料率として確かめられたものはありません。公示の範囲は、所管の窓口か各社へ確認してください。

観光庁の民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊仲介業者の業務」のページのファーストビュー
引用キャプチャ 料率を比べる前提になる規定が置かれている公式ページです。住宅宿泊仲介業約款の届出と並んで、住宅宿泊仲介業務に関する料金の公示が業務として挙げられています。 出典:住宅宿泊仲介業者の業務(観光庁 民泊制度ポータルサイト「minpaku」)(確認日 2026-09-21/表示のファーストビュー)

公開されているのが1社だけだと分かると、比較の形が決まります。横並びにできるのは「料率がいくらか」ではなく「料率をどこで確かめるか」です。この欄が埋まっていれば、見積もりを置かずに自分の数値へ差し替えられます。

率が同じでも、掛かる土台が違えば引かれる額は変わる

料率が分かったあとに効いてくるのが、その率が何に掛かるのかです。ここは各社とも公開ページに書いています。そして書きぶりが違います。

Airbnbは、サービス料が宿泊料金およびホストが請求するすべての手数料に一定の割合を掛けた金額であり、ゲストサービス料および税を除くと説明しています。清掃料金のようにホストが別建てで請求するものは、土台の側に入ります。Booking.comの一般取引条件は、1件の予約あたりの金額を泊数、1泊1室あたりの客室料金とその他の追加サービス料金および追加料金、客室数、料率の掛け算で求めるとし、追加料金の例として朝食、追加人員料金、リゾート料、レイトチェックアウトやアーリーチェックインの料金を挙げています。

つまりどちらも、客室料金を下げて別の名目へ寄せる形では土台が小さくなりません。時間をずらす料金まで名指しされている点は、滞在時間の前後を有料にするときの判断材料になります(アーリーチェックインとレイトチェックアウト)。Agodaについては、報酬が発生する場面の説明は見つかったものの、何に対して率が掛かるのかを示す記載を公開ページで確認できませんでした。

Airbnb、Booking.com、Agodaについて、率が掛かると書かれている金額、税の扱いについての記載、公開ページで確認できなかったことを縦に並べて比べた図。Airbnbは宿泊料金とホストが請求するすべての手数料が対象でゲストサービス料と税を除き、Booking.comは1泊1室あたりの客室料金と追加サービス料金が対象で泊数と客室数も掛け合わせ、Agodaは対象金額の記載を確認できなかった
3列のうち下段がそろって埋まらないのが、いまの公開状況です。上段の「土台」が違えば、同じ率でも引かれる額は一致しません。 出典:Airbnb「Airbnbのサービス料について」、Booking.com「一般取引条件」、Agoda Partner Hub「What compensation (commission) do I pay to Agoda?」(確認日 2026-10-02)

比較表に料率の欄を作るなら、その隣に土台の欄を並べてください。率だけを写すと、追加料金の多い組み立てをしている施設で実際の負担を低く見積もります。逆に、追加料金をほとんど取らない運用なら、率の差がそのまま効いてきます。どちらに転ぶかは自分の料金表で決まり、他人の比較表では決まりません。

手数料が引かれて入るのか、あとで別に払うのか

同じ料率でも、代金から引かれて残りが入る形と、代金を全額受け取ってから別に払う形では、手元の現金の動きが違います。ここは公開情報で比べられる項目です。

Airbnbは、ゲストが予約を入れた日がどれだけ前であっても、宿泊予約の場合はチェックイン予定時刻の24時間後までホストに料金が支払われることはないと説明しています。代金の流れがプラットフォームを通る形で、サービス料は差し引かれて送られます。Booking.comは逆向きです。コミッションは宿泊客の出発した日の翌月に請求され、請求書は月次で処理されて管理画面に提供され、施設は請求書の日付から14日以内に支払うとされています。売上が立つ月と、手数料が出ていく月がずれます。

Agodaには2つの支払いモデルがあります。Agodaが事前に代金を回収する形と、ゲストがチェックイン時に施設へ全額を支払うProperty Collectです。後者では、手数料の請求書を個別に出す代わりに、他のプリペイドの予約から控除する形が取られると説明されています。同じ会社の中でも、代金と手数料が動く向きが予約ごとに変わるということです。設定の確かめ方はAgodaに民泊を掲載するで扱っています。

手数料が引かれて入金されるのか、あとで別に請求されるのかを三つの経路で比べた図。Airbnbはチェックイン予定時刻の24時間後に送金処理が始まり、Booking.comは出発した日の翌月に請求書が管理画面に出て請求書の日付から14日以内に施設が支払い、AgodaはAgoda CollectとProperty Collectの二つのモデルがあり、Property Collectでは手数料が他のプリペイド予約から控除される
上の2段は時間の流れ、下の段は選択の関係です。Airbnbは送金の時点が遅れて始まり、Booking.comは支払いの期限が後ろに来ます。 出典:Airbnb ヘルプセンター「ホストへの送金のタイミング」、Booking.com「一般取引条件」、Agoda Partner Hub「Introduction to Property Collect」(確認日 2026-10-02)

複数の経路に同じ部屋を出すと、この違いが同じ月の中で混ざります。入金として差し引かれるもの、請求書で払うもの、他の予約から控除されるものが並ぶため、手数料の総額を1つの欄で管理すると合いません。固定費と変動費の分け方は民泊のランニングコスト、確定している値から埋めていく組み立ては民泊の収支計画にまとめています。

泊まらなかった予約に手数料が残るかどうか

稼働が高い時期ほど効いてくるのが、崩れた予約の扱いです。ここも公開されている条件から読み取れます。

場面 Booking.com Agoda Airbnb
無料キャンセル期間内のキャンセル キャンセル料が適用される時点より前なら発生しない 無料キャンセル期間内のゲストのキャンセルでは発生しない 無料キャンセル期間が終了する前のキャンセルはサービス料が返金されると記載
その時点以降のキャンセル 発生する キャンセル料を請求した場合は発生する 読んだページでは確認できず
ノーショー(無断不泊) 請求が行われたノーショーは発生する ノーショーの料金を請求した場合は発生する 読んだページでは確認できず
オーバーブッキング 客室料金が免除されたか否かを問わず常に請求される 記載を確認できず 記載を確認できず

読み方の要点は、手数料が発生する境目を決めているのが自分の側だという点です。Booking.comはキャンセル料が適用される時点を境にしており、その時点は施設が設定したキャンセルポリシーで決まります。Agodaも、キャンセル料やノーショーの料金を請求したときに報酬が発生し、キャンセル料を免除した場合には発生しないという組み立てです。無料キャンセルの期間を長く取るかどうかは、予約の入りやすさだけの判断ではありません。

Airbnbについては、サービス料の返金を扱うページに、予約の無料キャンセル期間が終了する前にキャンセルした場合、またはキャンセル後にホストが全額返金することを決定した場合に返金されるという記載があります。ただし、これがホストサービス料に限った説明なのかどうかは、このページの記載では確かめられませんでした。表の空欄は、発生しないという意味ではありません。読んだページに書かれていなかった、という意味です。

比較表は三段に分けて埋める

ここまでの項目を1枚の表に詰めると、公開情報と自分の数値が混ざって読めなくなります。埋まり方の違いで三段に分けると、どこで止まるかがはっきりします。

一段目は公開情報です。制度上の立場と登録番号、料率の数値を公開しているかどうか、キャンセルとノーショーの扱いが条件に書かれているか。ここは誰が調べても同じ答えになり、この記事の表がそのまま使えます。二段目は契約書と管理画面でしか埋まりません。自分の料率、その率が掛かる金額の範囲、代金を誰が回収して手数料をいつどの向きで支払うか。三段目は自分の予約の中身で決まり、月ごとに動きます。追加の料金が売上に占める割合、無料キャンセル期間の置き方、ノーショーのときに料金を請求するかどうかです。

OTAの比較表を三段に分けて埋める手順の図。一段目は公開情報で埋まる項目、二段目は契約書と管理画面でしか埋まらない項目、三段目は自分の予約の中身で月ごとに変わる項目を並べている
段が下へ行くほど、答えが自分の条件に寄っていきます。一段目だけで結論を出すと、二段目の料率で順序が入れ替わります。 出典:観光庁「住宅宿泊仲介業者および民泊を取り扱う旅行業者のリスト」ほか各社の公開ページ(確認日 2026-10-02)

この並びにすると、よくある失敗の形も見えてきます。一段目の情報だけで順位を付け、二段目を埋めずに掲載先を決めてしまうことです。料率は一段目に無く、土台の範囲も自分の料金表と組み合わせないと金額になりません。一段目でできるのは、委託できる相手を絞り、確かめる場所を特定することまでです。

掲載する経路を増やすか絞るかという判断も、同じ順序になります。経路を減らしたときに何が自分の側へ戻ってくるかはOTA依存を減らす方法、自社サイトの価格を動かせる範囲は最低価格保証を掲げる前にで扱っています。価格については、Booking.comの一般取引条件に等価性の条項があり、日本が限定的等価性の対象国として挙げられています。

この記事で比べられなかったこと

最後に、埋められなかった欄を挙げておきます。経路ごとの予約件数、掲載施設数、宿泊者の内訳を比べられる公的な集計を確認できませんでした。各社が公表している数値も、集計の範囲と時点がそろわないため横に並べられません。したがって「どこがいちばん予約が入るか」は、この記事では扱っていません。

費用の面でも、料率以外の項目が残っています。掲載そのものの費用、決済の手数料、ポイントや割引の負担がどう分かれるかについて、4つの経路を同じ条件で並べられる公開資料は見つかりませんでした。ここを推測で埋めると、比較表の見た目は整うぶんだけ危険になります。空欄のまま、自分の契約書で確かめてください。

その代わりに、この記事の表は時間が経っても形が変わりません。登録番号と制度上の立場、料率を公開しているかどうか、率が掛かる金額の範囲、代金と手数料が動く向き、崩れた予約の扱い。この5つの欄を用意しておけば、新しい経路から声をかけられたときも同じ手順で判定できます。料率の数値は、最後に自分の契約書から書き写す欄として空けておくのが、いまの公開状況に合った作り方です。

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